ハイメール通信

■ 与党カディマの党首にツィッピー・リブニ氏

オルメルト首相が汚職疑惑で退陣を決意したため、与党カディマでは17日、党首選挙が行われました。ツィッピー・リブニ現外相、モファズ交通相ら４人が立候補していましたが、リブニ氏が43.1％（16936票）、モファズ氏が42％（16535票）で、わずか431票差でリブニ氏が当選を決めました。

これによりイスラエル史上２人目となる女性首相誕生の可能性が出てきました。開票結果が確実となった18日朝6:15、リブニ氏は勝利宣言を行い、党内、また国内の一致が重要であると述べました。

＜もしかしたら１票差で当選！？＞

今回の選挙では異例の処置が２件ありました。そのため当選を不当とする声もありましたが、二位のモファズ氏（写真）はリブニ氏を支持することを表明。他の２人も同様の声明を出しました。異例の処置とは以下の２件です。

１．投票時間延長

カディマ党員は73,000人。当初、投票率が悪かったため、リブニ選挙本部が投票時間の延長を要請し、全国で投票時間が30分延長されました。結果投票率は50％を超えました。

２．ラハットの投票が無効となったこと

ラハットでは一人の男性が投票用紙を引き破り、投票された封筒をまきちらすという事故がありました。そのため、ラハットの投票が無効になりました。無効となった投票は430票でした。もし、ラハットで投票した人がすべてモファズ氏に投票していたら、リブニ氏はたった１票で、当選したことになります。

＜新首相決定までの動き＞

今回、リブニ氏が与党党首となりましたが、そのまま首相になれるとは限りません。もし、リブニ氏が国会で過半数を占める連立政権を形成できなければ、90日以内に総選挙となります。総選挙になった場合は、リクードのネタニヤフ氏や、労働党のバラク氏などと選挙戦を争うことになります。今後の動きは以下の通りです。

• ①オルメルト首相が辞任する。内閣も同時に解散する。
  ＊21日（日）の国会後とみられています。
• ②ペレツ大統領の使命によりリブニ氏が連立内閣設立に向けて動き出す。
• ③リブニ氏は42日以内に国会で過半数を占める連立政権を構成できるよう、各党と交渉する。
  ＊現時点では、左派のリクードはもとより、ユダヤ教宗教政党のシャス氏も、もしリブニ氏がパレスチナ側とエルサレム分割を前提とした交渉を行うなら連立には加わらないと表明しています。
• ③もし有効な連立政権を立ちあげることができれば、ペレス大統領によって与党党首のリブニ氏が首相に任命される。
• ④もし連立に失敗した場合は90日以内に総選挙
• ⑤新政権誕生まではオルメルト首相が首相府に残留し、首相職代理を務める。

＜祈り＞

1. 与党を率いるリブニ氏を覚えて
2. 指導者が決まるまで、治安が守られるように

■ 株価下落の影響

アメリカで第４位の証券会社リーマン・ブラザースが史上最大67兆円の赤字を出して破綻しました。今回、米国政府が救済措置をとらなかったことから、アメリカの証券会社がドミノ形式につぶれるのではないかとの不安感が世界中に広がっています。

市場では株価下落と共に、米ドルが値下がりし、日本円もですが、シェケルも強くなっています。輸出業者をはじめ、様々な業界に影響が出ると予想されています。

統計によるとイスラエルの経済関係担当者の34％が経済の低迷を予想し、14%は顧客を失うと考えています。（写真：テルアビブ証券取引所）

イスラエル銀行のフィッチャー総裁は17日、イXラエルの大手５銀行の総裁を招集し、現状把握を行いました。バンク・ハポアリームがサブプライムローンに関わる株を最も多く保持しており、１億900万ドルの影響を受ける可能性があります。

フィッチャー氏は今のところ、イスラエル経済が大きく影響されることはないとの見解を発表していますが、今後も注意が必要です。

今回、最も頭を抱えているのがアメリカのユダヤ系チャリティ団体UJAです。UJAではリーマン・ブラザース始め、ニューヨークのウォール街（株式会社）から献金として毎年4300万ドルを受け取っていました。

献金はユダヤ系団体やイスラエル支援に使われてきました。今後献金額が激減すると予想されています。これはBFPを通しての献金も同じです。

＜祈り＞

1. 経済恐慌にまで発展しないように　すでに影響を受けている会社経営者を覚えて
2. イスラエル経済が守られ、特別に祝福されて主の栄光にしてくださるように
3. アメリカのクリスチャンの経済が祝福され、献金額が守られるように

■ イエメンの爆弾テロとユダヤ人

17日、イエメンの首都にあるアメリカ大使館前で車２台による爆弾テロがありました。少なくとも16人が死亡しています。（テロリスト６人、大使館警護員６人、市民４人）イエメンはアルカイダによるテロの被害に近年だけでも２回もみまわれています。

2000年にアデン港に「停泊していたアメリカの戦艦に対しての爆弾テロで乗組員17人が死亡。2000年にはアメリカ軍のイラク攻撃に抗議して群衆が大使館に押し寄せました。その時に射殺された人が２人です。

イエメンにはまだ50組のユダヤ人家族が住んでいますが、イスラム過激派から絶え間ない死の脅迫通知を受けています。（写真：イエメンからイスラエルへ移住したユダヤ人）

山中の自宅に住むのは危険が大きすぎるため、シャアナの防護施設に引っ越しました。ここでは武装したイエメン軍が24時間監視しています。

＜中東最大の武器供給国イエメン＞

イエメンはイスラム教国です。したがってスンニ派主導の政府にシーア派が反抗を続けるという図式が続いています。イエメンは山がちな国で車が入り込めない地域が多く、徒歩で洞穴を飛び回るテロリストを取り締まることができません。

また部族感覚の強いイエメン人は自分の部族以外の者を10Ｋｍ先から見極めることができます。これもテロリストを取り締まれない理由の一つです。

またイエメン北部はサウジアラビアと国境を接しています。国境周辺はあまりにもへんぴで不毛の地であるため、事実上国境はないに等しい状況です。この国境を介して武器や、テロリストが中東に自由に流れていっているということです。

サウジアラビアといえばアルカイダ。オサマ・ビン・ラディンの出身国です。ビン・ラディンはサウジとイエメンの国境付近で生まれています。どちらかといえば、彼はイエメン人に近いと考えられています。

＜祈り＞

1. イエメンに残されているユダヤ人家族がイスラエルへ来ることができるように
2. テロの企てが明らかになるように

■ ビッグバンにチャレンジ～ＬＨＣ（大型ハドロン衝突型加速器）～

９月10日、ＬＨＣ（大型ハドロン衝突型加速器）が、稼働しはじめました。ＬＨＣとは陽子と陽子を加速して衝突させることにより、高エネルギーを起こすという実験を行う機械です。

スイスのジュネーブ郊外とフランスとの国境をまたいで設置されている円形の地下トンネルの形をしています。直径が27Kmもあり、この中を回る陽子を加速して衝突させるわけです。この実験から様々な物理学的な仮定が証明されていくことになっています。

物理学では、宇宙は150億年前に大爆発（ビッグバン）を起こして誕生し、以来、膨張し続けていると考えられています。したがって、ビッグバン直後の宇宙は非常に小さいが、非常に大きなエネルギーを持っていたということになります。

ところですべての物質はすべて分子から成り、分子は原子核と電子からできています。原子核はさらに陽子と中性子でできていて、これを「ハドロン」と言います。この「ハドロン」もまたクオークとレプトンと呼ばれる素粒子からなります。ビッグバンを起こした直後の宇宙はこのクオークとレプトンのような素粒子ばかりであったと考えられています。

ＬＨＣによっていまだかつてない規模のスピードで陽子（ハドロン）の衝突を起こすことができるため、素粒子の世界を検証できるようになります。ＬＨＣにより小さなブラックホール（宇宙に存在する非常に重い空間で全てを飲み込む）を作り出すことも可能ではないかと言われています。

様々な実験により、最終的には科学の主張する“宇宙の始まり”ビッグバンを証明するところまで行き着く可能性もあります。

ＬＨＣは日本を含む世界各国から物理学チームが共同で様々な研究を行います。いわば、人類の頭脳が寄り集まって、宇宙の始まりはビッグバンであったことを証明しようとしている姿です。このプロジェクトにはイスラエルのチームも大きく関わっています。

＜祈り＞

1. 物理学者たちが天地創造の神を発見するように
2. 特にイスラエルの物理学者たちが先に神を見いだすことができるように

ニュース情報源：GPO（イスラエル・プレスセンター）、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ７、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省ＨＰ、アル・ジャジーラなど

画像提供：www.israelimages.com、Isranet他