ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 147 希望のはてに・・・
ヒズボラに拉致された2兵士、ゴールドワッサーさんとレゲブさんが遺体となってイスラエルに帰還しました。交換条件にヒズボラに返還されたのは凶悪なテロを働いたサミール・クンタール。釈放後まもなくイスラエルへの攻撃を宣言しています。
東エルサレムに住むイスラエル国籍のアラブ人が再びブルドーザーテロ。「国内の敵」への対処が必要になってきています。
イランがウランの遠心分離器6000基が稼働中であると発表。「イスラエルとアメリカがイランを攻撃した場合」のシナリオが新聞紙上に出始めました。
今週もイスラエルの人々の霊肉が守られるように祈りましょう。
主に信頼する人々はシオンの山のようだ。
ゆるぐことなく、とこしえにながらえる。
山々がエルサレムを取り囲むように、
主は御民を今よりとこしえまでも囲まれる。
悪の杖が正しい者の地所の上にとどまることなく、
正しい者が不正なことに、
手を伸ばさないためである。
主よ。善良な人々や心の直ぐな人々に、
いつくしみを施してください。(詩篇125:1-4)
7月15日、ヒズボラが2年前のレバノン戦争で拉致したイスラエル兵2人(エフード・ゴールドワッサーさん(26)とエルダッド・レゲブさん(31))の遺体を返還してきました。遺体はイスラエルとレバノン国境の町ローシュ・ハニクラから帰還し、最寄りのイスラエル基地に運ばれて両名の遺体であることが確認されました。
翌日、バラク国防相も参列する中、それぞれの出身地ハイファとナハリヤで2人の葬儀が正式な軍葬で行われました。葬儀はテレビでも報じられ、全国に落胆と悲しみがひろがりました。多くの人々が参列しました。
ゴールドワッサーさんの妻カルニットさんは葬儀の中で亡き夫へのメッセージを語り、2年間の戦いが終わったことを告げ、もう二度と姿を見、声を聞くことのない夫を偲びました。カルニットさんは、夫がいつもイスラエル軍に従軍することを特権と考えていたとも語りました。
エフードさんの母であるミキさんは、「イスラエルは2年前のレバノン戦争を負けたとみるべきでない」と語りました。バラク国防相は「イスラエルは捕虜になったイスラエル兵は生きていようが負傷しようが、死んでいようが必ずとりもどす。今ガザで捕虜となっているギラッド・シャリートさんだけでなく、20年以上も前にレバノンで墜落し捕虜となったロン・アラッド飛行士についてもあきらめていない。」と語りました。
葬儀の2日後、シモン・ペレス大統領がイスラエル国民を代表して両家族を訪問しています。
イスラエルはレバノン戦争の目的であった拉致兵士を生きて連れ戻すというゴールを果たすことができませんでした。これにより「無敵のイスラエル」のイメージが大きくゆらいだことは否定できません。
しかし、同時にイスラエル政府は国防軍兵士を見捨てることはない、たとえ遺体になっても取り戻すという、政府と兵士との信頼関係回復には大きな前進となりました。
2人の遺体と引き替えにレバノンに帰還したのは生きたテロリスト5人です。そのうちの一人サミール・クンタールはイスラエルの一般家庭に入りこみ、4才の少女の頭を銃で殴って殺した極悪犯でした。ヒズボラは、今回の捕虜交換で2年前のレバノン戦争に勝利したことを改めて祝いました。
ヒズボラのナスララ党首は、イスラエルが2人を取り返すために全面戦争にまで至ると計算していなかったと予想外の被害についての失敗を認めていました。
しかし、最終的にはイスラエル兵2人の遺体と交換に、クンタールのような大物を取り返すことに成功したため、結局は勝利であったと言っています。また、サミール・クンタールは改めてイスラエルに対する戦闘を開始すると豪語しています。
1979年8月、まだ16才であったサミールはPFLメンバーとともにナハリヤを攻撃するためイスラエルに侵入。夜中にハランさんの家庭に入りこみました。そこで31才の警察官ダニーと4才の娘エイナットを捕らえビーチへ逃走しました。そこへ駆けつけたイスラエルフ警官隊と撃ち合いになりました。
ゴムボートに乗って逃げられなくなったサミールは、ダニーさんを娘の目の前で背後から銃で撃ち、海でおぼれさせて殺害。4才のエイナットは海岸の石の上でライフル銃の底を使って頭蓋骨がつぶれるほどに頭部を砕いて殺しました。
夫と娘がとらえられるのを、母親スマダールと下の娘ヤエル(2才)はもの影に隠れて息をひそめて見ていました。スマダールさんは叫ぶヤエルの口を押さえすぎたため、ヤエルは隠れていたところで息絶えてしまいました。
この悲惨な犯行によりクンタールは17才の時から終身刑でイスラエルの刑務所に服役中でした。クンタールは収監中にイスラエル在住のアラブ人女性と結婚(この女性は収監者家族として特別な補助をイスラエルから受けていました)。サミールは収監中に大学での学びも受けています。
捕虜交換で大きな益を得たヒズボラは、さらなるイスラエル人拉致を計画すると予測されています。またヒズボラだけでなく、ハマスもイスラエル人の拉致に意欲を示しています。
ハマスでイスラエルに収監された者は獄中でヘブライ語を習得するため、釈放された後はヘブロンなどでヘブライ語教室を開いている者が多くいます。彼らは戦いの愚かさを実感し、「このまま放っておいても出生率の高いパレスチナ人のほうがユダヤ人より多くなり、土地は我々に帰る。なぜ今戦うのか。」と語っています。
7月2日にエルサレムでブルドーザーが市内バスに突っ込んで3人を殺害したテロから3週間後の7月22日、エルサレムでまた同様のテロがありました。
キング・デービッド・ホテル付近で建設現場にいたブルドーザーが、市内巡回バス13番に突然衝突してきました。バスの運転手は最初事故かと思ったようですがブルドーザーが執拗に追突を繰り返し、ショベルで窓を割るなどしたため、テロであると気づきました。
運転手がバスを急転回させその場から脱出。数台の車が巻き添えになりました。通りかかった国境警備隊員が犯人を射殺してようやくテロがやみました。バスの乗客らはすばやく逃げて、負傷者は16人と報告されています。犯人は22才、東エルサレム在住の「アラブ系イスラエル人」でした。
この2件のブルドーザーテロはどこからも犯行声明がなく、単独犯の可能性があります。同様のテロを防ぐため、犯人の実家を破壊する、東エルサレム住民を市の建設業に雇用品しないなどの対策が上がっています。
7月18日、ガザで爆弾テロがありハマス戦士5名と少女1人が死亡しました。ハマスはライバル組織ファタハ(アッバス議長側)の犯行と見て、20日、ガザのファタハのオフィス40箇所になだれ込み、160人のファタハ・メンバーを逮捕しました。これを受けてアッバス議長側では西岸地区でハマス・メンバー20人を逮捕しています。
ハマスとイスラエルは停戦協定を実行中ですが、西岸地区とは停戦協定していないため、イスラエルの西岸地区でのテロリスト掃討作戦は続けられています。先週、ディモナのテロを計画した首謀犯の家にイスラエル軍が突入。目標のテロリストを殺害しました。このようなことがあると、ガザからミサイルが飛来するという悪循環が続いています。
イランが遠心分離器を6000基稼働して、ウランの濃縮をすすめているとアフマディネジャド大統領が公言しました(正式発表ではありません)。これはアメリカと世界諸国に対する挑戦です。
国連安全保障理事会とドイツは、イランにウラン濃縮を停止する見返りとして、パッケージ案を提示していますが、イランは無視し続けています。通常、ウラン濃縮のための遠心分離器数で保有を認められているのは3000基までです。
アシュケナージ参謀総長が先週アメリカを訪問し、チェイニー副大統領やミューレン将軍など政府軍関係高官たちと会見を持ちました。アシュケナージ氏は、イランが核兵器保有国にならないよう、外交手段を最後まで望むが、イスラエルはあらゆる可能性を排除しないと警告しました。
イラン問題の他、ガザのミニ・ハマス国家、西岸地区のパレスチナ自治政府からの脅威、レバノンで勢力と影響力を伸ばしているヒズボラについて、イスラエルが抱える治安問題への理解を求めました。
しかしながら、アメリカは現在アフガニスタン、イラクと中東において二つの戦争を抱えており、もう一つ増やしたくないというのが現状です。
イランはロシアからs300と呼ばれる最新の対空ミサイルシステムを導入しようとしていますが、それはまだ今年中には実現しないとの見通しとなりました。
s300があると、100機の戦闘機を一度に攻撃することができ、もしイスラエルがイランを攻撃した場合、大きな妨げとなります。先月イスラエルはギリシャがクレタ島に設置したs300上空を戦闘機100機で通過し、そのデータを入手しています。
元モサド(イスラエル諜報機関)長官・ハネグビィ氏は、イスラエルがイランを攻撃すれば、まずイスラエル本土がミサイル攻撃の嵐にみまわれるだけでなく、アラブ諸国からの反感も買うこととなり今後100年間のイスラエルの将来に大きく影響すると警告しています。選択肢としては本当に最後にするべきだと語っています。
アメリカの次期大統領選挙が近づいてきました。7月24、25日の2日間、民主党候補のオバマ氏がイスラエルを訪問しました。
オバマ氏は、AIPAC(American Israel Public Affairs Committee)で演説を行い、アメリカはイスラエルの側に立ち続ける、エルサレムは分割されず統一されたイスラエルの首都であると明言しました。
オバマ氏は嘆きの壁に立ち寄り、詩篇122編を朗読し、願いの紙片を壁に残していきました。
イスラエルで32時間を使ったのに対し、パレスチナのアッバス議長との対談は1時間にも満たなかったことから、パレスチナ側からは「相変わらずイスラエル寄り政策」のアメリカに怒りをあらわにしています。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
画像提供:www.israelimages.com、Isranet他
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