ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 144 忍び寄る策略
ガザからの攻撃が続いています。グラッド・ミサイルがアシュケロンの市場に着弾し、負傷者が多数出ました。
飛距離が着実に伸びていることから、さらにイスラエル領内に向けた攻撃が始まると治安組織は警告しています。エジプトが仲介にあたっていますが、進展はありません。
オルメルト首相が水面下でシリアとゴラン高原をめぐる交渉をしていることを明らかにしました。内容は明らかにされていないため、様々な憶測をよんでいます。
レバノン政府とヒズボラの内戦は新しい大統領が選出されることで一応の収拾を見ています。イスラエルはヒズボラとも水面下の交渉をしており、拉致兵士返還への動きも見られます。
様々な交渉が行われる中、首相の汚職疑惑に対する捜査が続けられています。イスラエルに主の守りがあるように。指導者たちを覚えて取りなしましょう。
(写真:ガザの学校の校庭で押収されたロケット弾)
神よ。沈黙を続けないでください。
黙っていないでください。
神よ。じっとしていないでください。
今、あなたの敵どもが立ち騒ぎ、
あなたを憎む者どもが頭をもたげています。
彼らは、あなたの民に対して
悪賢いはかりごとを巡らし、
あなたのかくまわれる者たちに
悪だくみをしています。
彼らは言っています。
「さあ、彼らの国を消し去って、
イスラエルの名が
もはや覚えられないようにしよう。」(詩篇83:1-4)
スデロットなどガザ周辺へのロケット弾や迫撃砲による攻撃が続いています。
9日、ジミー・カドシムさん(48才・3人の父親)が車を降りたところへ迫撃砲が着弾し、死亡しました。即死でした。
その5日後、夕方6時、ガザからのグラッド・ミサイルがアシュケロンの混雑する市場を直撃。90人が負傷、4人が重傷です。
手製のカッサム・ロケットに比べてグラッド・ミサイルは、本格的な武器のため飛距離も長くなります。
シン・ベト(イスラエル治安当局)のユバル・ディスキン長官は、今のうちに対処しなければ、アシュドッドやキリアット・ガットなどさらにイスラエル領内深くにまで攻撃が及ぶと強く警告しています。
(地図左:緑のラインがスデロットのライン:赤がアシュケロンのラインでミサイルの飛距離がにびてきています。)
22日、朝6時45分、ガザとイスラエルの間のエレツ検問所で爆弾テロがありました。ガザ側から同検問所に向けて爆弾を積み込んだジープが突入し爆発したものです。
かなりの大爆発だったため、30キロ離れたところにまで爆音が響いたと報告されています。幸い負傷者はありませんでした。
この爆発で検問所付近に巨大な穴があき、物資を乗せたトラックなどが通過できなくなっています。(写真)
エレツ検問所は以前より頻繁に攻撃を受けてきたところです。イスラエル政府は、危険が大きすぎるとして、同検問所に駐留するイスラエル兵の数を減らすことを決めました。周辺住民からは、防衛上手薄になると強い反発が出ています。
現在、ハマスとイスラエルの間をエジプトが仲介しています。25日、イスラエル国防相補佐のアモス・ギラッド氏がカイロを訪問。エジプト諜報機関長官のスレイマン氏と会談を持ちました。
ハマスは停戦を呼びかけていますが、イスラエル側の条件をいっさい受け入れる様子はありません。ハマスが要求しているのは、イスラエルが道路封鎖を解除することです。
イスラエル側は、もしハマスが真実に停戦を求めているなら、まずハマスに拉致されているイスラエル兵シャリートさんの消息を明らかにするべきだと主張し、交渉は決裂したままです。
先週、オルメルト首相がゴラン高原をめぐって、トルコの仲介の元でシリアと水面下で交渉をしていることを明らかにしました。「歴史的な交渉になる」とのオルメルト首相の発言に、イスラエルではゴラン高原をシリアに引き渡すのではないかとの憶測が飛び交いました。
国会では61人の議員が反対票を投じると約束署名しました。彼らは「交渉を始めた時点でイスラエルは、すでにゴラン高原を引き渡すことになる」と反発しています。シリアの要求はただ一つ、ゴラン高原の返還だからです。
イスラエルはエジプトと和平交渉を結びました。しかしいまだにイスラエル人がカイロを自由に訪問することはできません。
シリアとイスラエルの関係は、エジプトとイスラエルの関係よりはるかに複雑で相容れないものです。たとえ「和平交渉」が成立したとしても、イスラエル人がダマスカスを自由に訪問できるほどの平和が来るはずがない・・そんな和平は意味がないと議員たちは訴えています。
オルメルト首相は「実際にはまだなにも約束したわけではない。」と語っています。
イランのアフマディネジャド大統領は、シリアとイランの軍事同盟関係を改めて強調し、シリアはイスラエルと交渉するべきでないと言っています。
イスラエルに停戦を呼びかけているハマスですが、着実に武装を強化しています。ロンドンの有力紙サンデイ・タイムスにハマス・メンバーがインタビューで以下のように語っています。
前回、レバノン政府とヒズボラが内戦状態であることをお伝えしました。先月だけで62人が死亡しています。この内乱を収拾するため、先週、カタールの首都ドーハで両者の会議が開かれました。
カタールが仲介となり、両者は昨年11月から空いたままになっていたレバノンの大統領ポストに、マイケル・スレイマン氏を擁立することで同意しました。
スレイマン氏はレバノン軍総司令官を10年務めた人物です。スレイマン氏は、国民に人気があり、国際的にも高い評価を受けています。25日、スレイマン氏が新しく大統領に着任すると、アメリカのブッシュ大統領が歓迎を表明したほか、イラン・シリアも歓迎の意向を表明しました。
イランは大統領着任式にモッタキ外相を送っています。ヒズボラも態度を軟化させており、ベイルート市内の道路封鎖を解除しています。しかしヒズボラのナスララ党首は、スレイマン大統領着任式の直後にスピーチを行い、シリアに庇護された組織(ヒズボラのこと)の武装解除はありえないと釘をさしました。
スレイマン氏の着任と同時にシヌエラ首相率いる現政府は解散となります。28日の選挙で新しい首相が選出され、内閣を構成することになります。スレイマン氏はヒズボラが拒否権をもつ連立政権を構想とする方針を打ち出しており、イランはレバノンの変化を「勝利」だとも評しています。
国民、並びに国際社会は、スレイマン大統領がレバノン内戦に終止符を打ってくれるのではないかと期待を持っていますが、今後レバノンの新しい大統領がイスラエルにどのような影響を及ぼすのか注目されます。
ナスララ党首がヒズボラに拉致されたイスラエル兵2人と、イスラエルに収監されているテロリスト5名、及びヒズボラ戦士の遺体10体の交換に応じた模様です。仲介者はドイツと国連。解放される見込みとなったのは、2006年のレバノン戦争で拉致されたエフード・ゴールドワッサーさんとエルダッド・レゲブさんです。
イスラエルが解放するとされている5名の中には542年の刑を受けたサミール・カンター(45)が含まれています。サミールは1980年、ナハリヤでのテロでイスラエル人男性とその娘(4才)を殺害しています。
緊張続くイスラエルですが、オルメルト首相の収賄疑惑が紙面に連日上げられています。疑惑はオルメルト首相がニューヨーク在住のユダヤ人富豪モシェ・タランスキー氏から賄賂を受け取ったというものです。
現在タランスキー氏の証人喚問が続けられています。タランスキー氏は一回15万ドル(1800万円相当)の現金を首相に渡したほか、16年のつきあいの中で何度も現金を渡していたことを証言しています。
しかし、タランスキー氏は、現金の支援を行ったのは、オルメルト首相のシオニズムや政治姿勢に共感したためであって、引き替えに何かを要求したことはないと主張しています。引き続き捜査が続けられます。
次期首相にはツィッピー・リブニ副首相兼外相が有力です。しかしリブニ氏は女性であるため、イスラエルを女性が導けるのか等の中傷も出ています。
イスラエルのシェケルに対して、ドルの価値が下がり続けています。そのため国民総生産(GDP)が上四半期の時点で5.4%に上昇しました。これは経済省が予想していた3.2%を大幅に上回っています。
今週、イスラエルのシェケルがCLS(連続同時外為決済)のメンバーとして加えられました。今後国際通貨として換金の対象となることができます。貿易関係の会社では、支払いの小切手をシェケルで切る事ができます。
イスラエル銀行総裁は、これがイスラエルの国際社会入りに大きな一歩になったと高く評価しています。経済誌「グローブ」によると、CLSは、メンバー入りの象徴として「世界で最も価値ある通貨の一つ」としての証印を押しています。しかしまだ今のところ、シェケルに敬意を表しているのは数カ国にしかすぎません。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
画像提供:www.israelimages.com、Isranet他
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