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ハイメール通信No. 136 理解されない苦しみ・・・

ガザで混乱が続いています。ガザからのカッサム・ロケット攻撃が激化したことを受けて、イスラエルがガザへの電力供給を大幅に削減。

ガザ市民は石炭やまきで生活しています。これを受けて23日、ハマスがガザとエジプトの境にある防護壁の一部を破壊。20万人以上のガザの人々がエジプトへ食物などを買いに殺到しました。国連はイスラエルへの避難決議を出しました。

エルサレムで24日、ファタハのアルアクサ部隊(アッバス議長側)のテロリストによって国境警備隊員1人が射殺、3人が重傷を負いました。テロリストは数日以内にテロを決行する、これはテロの波の始まりと言っています。

国連の安全保障理事会がイランの核兵器開発疑惑に対する制裁強化を決議。強気のイランとアメリカとの関係が悪化しています。イスラエルは石油なしでも動く電気自動車を導入する計画です。

イスラエルでは来週、ヴィノグラード戦争調査委員会が2006年の第二次レバノン戦争について最終報告書を発表することになりました。戦死者の家族らがオルメルト首相退陣を要求しています。ガザをめぐって難しい決断の続くイスラエル。来週、イスラエル政府に混乱が起きないようにとりなしましょう。

(写真:ロケット弾で負傷したスデロット住民)

神よ。私をあわれんでください。
人が私を踏みつけ、一日中、戦って、
私をしいたげます。
私の敵は、一日中私を踏みつけています。
誇らしげに私に戦いをいどんでいる者が
多くいます。
恐れのある日に、私は、あなたに信頼します。
神にあって、私はみことばを、ほめたたえます。
私は神に信頼し、何も恐れません。
肉なる者が、私に何をなしえましょう。(詩篇56::1-4)



■ ガザ-エジプト国境に穴:20万人以上が殺到

22日からガザとエジプトのラファ国境付近に群衆が集まり混乱状態となっていました。23日、午前3時、両国を分断する金属製の壁3分の2が17発の爆弾で破壊されました。

開いた部分からガザの住民20万人以上(イスラエル・マアリブ新聞によると35万人・ガザの総人口の4分の1)が殺到。現在までに50万人がエジプトに入国して、食物やたばこ、山羊や羊、おむつ、燃料、あらゆる生活必需品を買い込み、ガザに戻りました。(写真:イスラエル外務省HPより)

ハマスはこの日に先駆けてメンバー16000人に給与を支払い、8500家族に一時給付金を出していたと伝えている新聞もあります。エジプト側には、タクシーが待ち受け、20エジプトポンド($3.6)でガザの人々を買い物に連れて行きました。ある人々は離ればなれになっている家族と再会しました。

エジプト政府は人道目的でこの動きを静観するとしています。エジプト国境警備隊は、ガザ市民の出入りを妨害せず、静観しました。エジプトのムバラク大統領は、ガザ市民を困窮させているとしてハマスとイスラエル双方を避難しました。

ハマスは今回の国境壁爆破を数ヶ月も前から計画していたと報告されています。このような出来事は2005年にイスラエルが撤退してからすでに数回起こっています。行き来が自由になっている間にハマスなどテロリストや武器、麻薬が無制限に入りこんでいることは明らかですが、イスラエルは、ガザから撤退しているため、この件については何もすることができません。

イスラエルは、エジプトが事態を収拾し、管理体制を強化することを期待すると表明しています。

<ガザへのガソリンと電力供給停止>

なぜこのような事態になったのでしょうか。1月中旬にハマス幹部ザハル氏の息子がイスラエル軍の攻撃によって死亡しました。これを受けてスデロット、南ネゲブ地方へのカッサム・ロケット攻撃が激しくなっていました。

1月16日までに200発以上のロケット弾がスデロットに着弾しました。直撃を受けて破壊された家屋が1軒、5才の子供が負傷(写真)、女性一人が骨折の他は、負傷者が出ていないのは奇跡です。

発電施設にも着弾し、一時停電にもなりました。ユダヤ人富豪のガイダマーク氏が、バスをチャーターして住民を避難させました。避難していない子供たちは地下壕で勉強しています。

これを受けて、イスラエル政府は17日、ガザへの国境をすべて閉鎖。ガザへ供給しているガソリンと電力を大幅にカットしました。ガザの電力はエジプトとイスラエルからの供給にたよっているため、イスラエルからの電力停止によって、ガザの産業とともに市民の生活が麻痺状態に陥りました。

パレスチナ地方は今年、例年にない寒波に見舞われています。ガザ市民は寒さにこごえて石炭や、まきによって暖をとっています。ガザには木材が少ないので石炭やまきもだんだん入手しにくくなっています。夜間は街灯もなく真っ暗になります。

子供たちはランプで勉強していますが、すすで目が痛いと訴えます。パレスチナ人はこれを対処するためエジプト国境に穴をあけたと思われます。 エジプトへ殺到した市民が買い求めた物の中にたば こがあります。たばこはガザへ帰ると原価の5倍の値で売買されているとのことです。

アラブ諸国は、国連の緊急総会を要請し、イスラエルのガザ市民に対する「違法行為」を議題に乗せるよう要請をいれました。アッバス議長は、イスラエルは和平推進を妨害していると訴えています。

<国連安全保障理事会でイスラエル非難決議>

24日、ガザとエジプト国境での混乱を受けて、国連は緊急会議を開きました。イスラエルが電力を止めてガザ市民の生活を脅かしているとして、イスラエルに対する避難決議を可決しました。

イスラエルのリブニ外相は「ロケット弾をイスラエルに向けて発射しながら、イスラエルからの援助を要求するなどありえないことです。イスラエルにも自国の市民を守る権利はある。」と主張しました。イスラエルは最低限の人道支援のためには国境を解放するが、ロケット攻撃が続く以上は、解放しないことを表明しています。

<ガザの子供たちを治療するイスラエルの病院>

テルアビブから南へ下ったホロンの病院ウォルフソン・メディカルセンターでは、国境を越えて心臓疾患のある子供たちに治療を無料で行っています。この病院は「Save the children’s heart」という団体(アメリカのユダヤ人とヨーロッパ連合)からの献金によってなりたっています。

昨年だけで128人の子供たちがユダヤ人医師たちによる手術で思い先天性心臓疾患から回復することができました。その多くが西岸地区とガザ地区の子供たちです。

治療前後は家族も共に病院施設に入って手術に備えます。イスラエル政府はこの病院に出入りする患者とその家族に特別な入国許可を出しています。しかし、この特別許可証を持った人物がガザとの国境で自爆し、イスラエル国防軍兵士4人が死亡したことがあります。

<1月27日国連ホロコースト解放記念日>

1月27日は、ホロコースト時代にアウシュビッツ収容所にいたユダヤ人が解放されたことを記念する日です。2005年から国連でもこの日を記念することになりました。

<祈り>

  1. オルメルト首相、バラク国防相が最善の決断をするように
  2. ガザ市民、ガザにいるクリスチャンたちを覚えて

■ エルサレムで同時テロ:1人死亡、3人重傷

24日、エルサレム南北の郊外で、射撃テロがありました。エルサレム郊外シュアファットで、走行中の車が射撃され、乗っていた国境警備隊員一人が死亡、同乗していた20才の警備隊員も重傷を負って病院に収容されています。

またエルサレム南部のクファル・エツィオンでは高校へ2人のテロリストが侵入。会議していた学校カウンセラーたちを襲撃しました。彼らの抵抗によってテロリストたちは射殺されましたが、カウンセラー2人が刺されて重傷です。ファタハ(アッバス議長側)のアルアクサ殉教団が犯行声明を出しました。

ファタハはここ数日中にテロがおこる、これは一連のテロの始まりに過ぎないと表明しています。現在、イスラエルはテロに対する警戒態勢をとっており、シナイ半島への旅行を控えるよう注意を促しています。

イスラエルでは先週、ガザから100mしか離れていないキブツ・エン・ハシロシャの芋畑でボランティアとして働いていたエクアドル人の青年がパレスチナ人によって射殺されてたばかりでした。(写真)

<祈り>

  1. すべてのテロが未然に発見されるように
  2. 重傷者の回復のために

■ イランに制裁強化

イランがウラン濃縮を継続しています。国連安全保障理事会は、イランの核開発疑惑が払拭できないとして、制裁を強化することを決めました。さらにイランはアメリカからの会談への呼びかけにも応じず、緊張が高まっています。

イランはイラクのシーア派を支援しています。アメリカは、イランを通じてなんとかシーア派にイラク国内でのテロをやめさせようとして、これまでにイランとバグダッドで3回、直接会談を持っていました。イラク政府は、今回イランが対話を拒否したことにより、これまで積み上げてきた合意事項が反故になるのではないかと心配しています。

イランがこれほど強気になっているのはアメリカのNIE(National Intelligence Estimate)が突然「イランは2003年で核兵器開発を中止している。」と今までとは違う見解を発表したためとみられています。

<イスラエルの長距離ミサイル>

イスラエルが射程1500Kmの長距離ミサイル発射実験に成功しました。イランが射程に入ります。イランのアフマディネジャド大統領は、この件でイスラエルを避難しています。

<電気自動車開発>

石油が高騰し、中東が不安定であることから、国際的に電気自動車の開発が進められています。今回、日産などにより開発された電気自動車は1回のチャージで200Km移動できます。

イスラエルは小さな国であるため、1台の車が1日に移動する距離は平均72Km以下。郊外へ行ったとしても160Km以内です。充電箇所15万地点を設置することも可能です。イスラエルは電気自動車の普及テストケースとして最適な国とされました。

イギリスや中国を含む15ヵ国がこのプロジェクトに興味を示しています。まず2009年に10万台が売り出されます。12年以内には、国内中のガソリン車と入れ替わることを目標としています。プロジェクトを推進する会社アガシはすでに200万ドルの出資を受けています。

<祈り>

  1. イランの核兵器開発を止めることができるのは主お一人です。
    イランの悪しき破壊への計画が押しとどめられ、失敗し明るみに出るように
  2. イランの制裁強化によって最も影響を受けるのは日本と言われています。
    制裁措置によって期待する効果が得られるように

■ ウィノグラード戦争委員会最終発表予定

第二次レバノン戦争の調査を行ってきたウィノグラード戦争委員会は来週30日、いよいよ最終発表を行います。オルメルト首相が今まで以上に厳しく糾弾されることは必至で、政権運営に大きな影響が及びます。

オルメルト政権は先週「イスラエル我が家」のリーバーマン氏が連立から脱却したことで打撃を受けています。

発表に先駆けて、同戦争で戦死した兵士らの家族が集会をもち、改めてオルメルト首相辞任を涙ながらに訴えました。焦点はなぜ戦争をはじめたのか、戦争を始めた時期はよかったのか、停戦後に攻撃を続行して36人もの兵士が死亡したことについてなどの責任が問われます。

オルメルト首相は、ヘルツェリア会議(イスラエルの防衛会議)においてヒズボラが今は更に戦力を上げていることを認めました。しかし、停戦後1年半になるが、一発のミサイルもヒズボラから飛んできていないことを上げ、これほど平穏が続いたのはイスラエル史上25年ぶりだとして、戦争を「後悔していない」と強調しました。

オルメルト首相の発言とは逆に、ヒズボラのナスララ党首が久しぶりに大群衆の前に姿を現し、もしイスラエルが少しでも攻撃するなら、応戦する構えを叫びました。

現在、レバノンとイスラエルの国境には徐々に黄色のヒズボラ旗が姿を現しており、ヒズボラ戦士が、国境にいるイスラエル兵の動きを監視していると報告されています。

<祈り>

  1. オルメルト首相を覚えて
  2. イスラエル政府の混乱が最小限になるように
  3. 戦争で家族を失った人々、障害を負った人々、家屋を破壊された人々を覚えて

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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