ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 43 シャロン首相が危ない!
父がその子をあわれむように、
父はご自分を恐れる者をあわれまれる。
主は、私たちの成り立ちを知り、
私たちがちりにすぎないことを心に留めておられる。(詩篇103:13-14)
ガザと一部の西岸地区からの入植地撤退が具体化してきました。聖書に約束された地を譲り渡すことはできないとする右派勢力が過激になってきています。イスラエル人同士の暴力が懸念されています。国際法廷ではイスラエルの防護フェンスが違法と判決され、解体撤去を求められました。イスラエルは再び内外からの攻撃にさらされています。
エルサレム旧市街を代表するラビのネバンツァル氏が、約束の地を異邦人に明け渡した者には「ディン・ローデフ」が適応されてもおかしくないと発言しました。
「ディン・ローデフ」とは、対象とされたユダヤ人を同胞であるユダヤ人が殺すことを宗教的に認めるという律法のことです。
もちろん現在社会において、正式に「ディン・ローデフ」を発動することはできません。しかしネバンツアル氏は次のように語りました。
「イスラエルの土地を少しでも明け渡してしまう者(ガザ撤退を計画するシャロン首相はじめ政府関係者を示唆するものと思われる)は「ディン・ローデフ」のようなもの。ましてや偶像礼拝者に約束の土地を渡してしまうなどもってのほかだ」
「ディン・ローデフ」は9年前、故ラビン首相が、オスロ合意でガザと西岸地区をパレスチナ人に引き渡す方針を示したときにも、ラビン氏に適応されるかどうか、公に論議が行われていました。*ラビン故首相はユダヤ人青年によって暗殺されました。(ハアレツ6月30日)
7月4日には、宗教的シオニストのラビ300人が西壁に集まり、シャロン首相の分離政策に反対するデモ・祈りの集会を決行しました。ラビが社会問題に関して、このような抗議行動を行うには初めてのことです。ラビたちは、「トーラーに反することにはたとえ政府であっても最高裁であっても受け入れることはできない」主張しています。
国内の治安責任者(警視庁長官のようなもの)ハネグビィ氏、並びにシン・ベト(国内の反乱分子を監視する組織)のディッチャー長官は違法植民地の撤去に関わった従軍ラビが右派戦闘員に襲われて暴行されたことを証言し、国内の右派勢力が極端化していることを警告しました。
ハネグビィ氏は1995年に右派活動家によってラビン首相が暗殺された事件をとりあげ、同様のことが、シャロン首相の身の上におこらないように、政府が対応策をとるよう警告しました。
シン・ベトはすでにシャロン首相とモファズ国防相の身辺警護を強化した模様です。警護レベルについては、すでに「最高レベル」をとっています。
また、シン・ベトが反対右派勢力が最も多いとされる西岸地区北部入植地の監視を強化したところ、住民がこれを阻止したため、諜報活動がかなり困難になっている模様です
。ハネグビィ氏は、首相や国防軍兵士、警察官を殺すことがイスラエルを守ることだと信じている人々がすでに、活動を開始しているとして、強い懸念を示しています。(イスラエルインサイダー7月7日)
シャロン首相は、「私は同胞であるユダヤ人を守るため、一生を捧げてイスラエルの戦争を戦ってきた。それなのに今はそのユダヤ人から命をねらわれている。」とその痛んだ心中を語っています。
首相は防弾チョッキを着用していません。治安当局はボディガードとシン・ベトによる護衛にすべてを託しています。(ハアレツ7月8日)
ガザ撤去に関しては、住民のかなりの抵抗が予想されています。
モファズ国防相は、これはユダヤ人同士の内輪のことだから、警察が動くべきだと主張しています。
警視庁長官であるハネグビィ氏はかつてシナイ半島の入植地に住んでいました。シナイ半島がエジプトに返還された際、彼は入植地撤去に反対する抵抗運動に加わった経験があります。
ハネグビィ氏は、撤去に力も規模も警察より大きい軍隊でないと無理だと主張しています。
いまのところ、ガザ撤去の方策は国防軍と警察の両者が協力して行うことになっています。国防軍が撤去中の入植地周囲を警護し、警察が住民との対応にあたることとなっています。
(イスラエルインサイダー7月5日)
7月1日、ガザから飛来したカッサムロケットがイスラエルの町スデロットの幼稚園近くに着弾。4歳の幼児を含む2人が死亡した。
ガザではイスラエル軍が再度侵攻、イスラエル、パレスチナ両者に犠牲者が相次いでいます。
7月10日、ハーグの国際法廷は、イスラエルが建設中の防護壁について、国際法に違反しているとの判決を下しました。
この問題はパレスチナ側の訴えを受けて今年2月から審議が行われていたものです。今回の判決によりイスラエルは、フェンスの解体撤去を求められることになります。また、フェンス建設でパレスチナ側に生じた損害をイスラエルが補償することも求められています。
アラファト議長、クレア・パレスチナ自治政府首相、ハマスは判決を高く評価するコメントを出しています。パレスチナ側は国際法廷の判決を国連総会でも可決するよう国連に要請しています。
国連総会(191メンバー)での決議は実行力はありませんが、国際的な影響力は大きく、実際に制裁などを課すことができる国連安全保障理事会に持ち込まれる可能性があります。
防護フェンスの問題は、法的に論議される性質のものではないとして、イスラエルは文書による弁論は送っていましたが、国際法廷に代表団を送っていませんでした。その後、イスラエルは、自らの最高裁にてこの問題を取り上げ、審議を行っていました。
国際法廷の判決に先だって7日、イスラエル国内の最高裁は、エルサレム北西部に建設された防護壁40Kmのうち、30Kmが違法であるとの独自の判決を出しました。イスラエル政府はこれに従い、フェンスの位置を変更することを決めています。
イスラエル政府関係者は、判決がイスラエルが防衛目的でフェンスを建設していることが述べられていなかったこと、パレスチナ側がテロリストを生み出し、イスラエル市民が犠牲となっていることが述べられていないとして不満を表明しています。
イスラエル国防軍のヤアロン総参謀長は、テロリストが民間人である自爆テロリストの場合、防護フェンスが最善策であるという新しい状況を国際法廷は理解していないと述べています。(実際にテロ発生件数は防護フェンスによって激減しています)
イスラエルのシャロム外相はアメリカに、安全保障理事会に持ち込まれることがないように協力を要請しました。(ハアレツ7月10日)
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