ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 44 気を変えたEU25か国 ~イスラエルの防護フェンス撤去を支持~
身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食い尽くすべきものを探し求めながら、歩き回っています。
堅く信仰に立って、この悪魔に立ち向かいなさい。(1ペテロ 5:8-9)
イスラエルの防護フェンス撤去を求めるICJ(国際法廷)の判決が7月20日、国連総会での審議にかけられ、賛成150の圧倒的多数で、可決されました。EU25ヶ国すべてが賛成に回ったことからイスラエルは今後の中東和平推進に危機感を高めています。
パレスチナ自治政府・国連オブザーバーのキドワ氏の訴えにより、イスラエルの防護フェンスに関するICJ(国際法廷)の判決が7月19日国連総会で審議されました。
ICJの判決:イスラエルが建設中の防護フェンスはパレスチナ人の土地を接収するものであり、国際法上違法である。イスラエルはフェンスを直ちに撤去し、フェンスによって被害を受けたパレスチナ人に対する補償を行うよう勧告するというもの。(判決7月9日)
国連総会(総議席191)での審議では150カ国が賛成、6カ国が反対、10カ国が棄権し、圧倒的多数の可決となりました。
反対に回ったのは、イスラエルとアメリカ、オーストラリア、マーシャル諸島、ミクロネシア、パラウ。EU25カ国をはじめ、昨年12月には防護フェンスを国際法廷に持ち込むことに反対していた諸国が、今回は防護フェンスに反対する意向を示しました。(エルサレム・ポスト7月19日)
この国連決議の前に、パレスチナの国連オブザーバー・キドワ氏はEU諸国に対し、外交努力を精力的に展開していました。
イスラエル外相シャロム氏も、EU諸国に対して国連総会の直前まで、棄権するよう、交渉を続けていました。
その中には、現EU大統領のオランダ外相も含まれていました。国連総会の1時間前に、EU25カ国はオランダ外相の方針に従って棄権することを決め、大統領はキドワ氏にその旨を急遽連絡しています。
ところが最終段階になってから、フランスがスウェーデンと協力して、EU諸国を説得し、棄権から賛成へと方針を変えることになったもようです。
EU諸国は賛成に回るために、決議に次のような文を盛り込むことを要求しました。
また決議文には、いかなる国も市民の安全が脅かされたときは、国際法の範囲内で対応策をとる権利があるとの確認も盛り込まれました。
EUの外交担当ソラーナ氏は、「イスラエルはイスラエルの領土内部(グリーンラインよりはみ出さない)にフェンスを立てても自衛できるではないか。われわれは決議案の文面に最大限の配慮をした。」と説明しています。(ハアレツ7月22日他)
イスラエルの国連大使ギラーマン氏は、EU(ヨーロッパ連合)諸国大使らとの会談の中で、この“一方的”な決議にEU諸国がこぞって賛成したことにより、「EU、UN(国連)が本当に中東和平に貢献できるのかどうか分からない。この決議案に賛成するということは、イスラエルが自衛する権利すら否定している。」と話しています。
国連総会での決議には実効力はありません。
しかし、イスラエルの孤立はさらに深刻なものとなりました。国連大使たちは、今やパレスチナ人がいつでも振り上げられるメむちモがイスラエルの前に置かれたと評しています。
パレスチナ自治政府のキドワ氏は、この問題を安全保障理事会に持ち込む構えをみせています(安全保障理事会での決議は実効力があります)。現ブッシュ政権はすでに棄権を表明しています。キドワ氏は、アメリカの大統領選が終わってから、問題を安全保障理事会に持ち込みたいとしています。
フランスでは、「ユダヤ人と間違えられ、6人の男性に囲まれた」として、ある女性が訴えをおこしました。
調査により、これは女性がでっちあげた情報であったことが判明しましたが、フランスでの反ユダヤ主義が凶悪化していることを表しています。
この10日後、エルサレムにて、アメリカのユダヤ人指導者たちが集まって行われた会議の中で、シャロン首相は「在仏ユダヤ人は、できるだけ早くイスラエルに移住することを勧める。」と発言しました。
シャロン首相の前にも、ユダヤ機関の総責任者も同様のコメントを出しています。これに対し、フランス政府は強く講義し、メ説明モを求めています。
シャロン首相のスポークスマン・ギシン氏は「フランスでの反ユダヤ主義の増悪は、フランスが民主主義国家であることからきている。フランスにはイスラエルを敵視するイスラム教徒が多い。」と言っています。
イスラエル政府は、シャロン首相の発言について、「フランス政府は反ユダヤ主義に対する最大限の対処をしているが、実際は、反ユダヤ主義は拡大増悪傾向にある。
シャロン首相はフランスだけを指して言ったのではなく、世界のどの地域にも同様の勧めをしている。」と説明しました。しかしフランスは憤慨しており、シラク大統領は“シャロン首相はフランスで歓迎されない”と言っています。(イスラエル・インサイダー7月19日)
シャロン首相は、反対勢力に対抗するため、連立政権への模索をしています。
労働党をはじめ、宗教政党などにも打診しています。21日、リクードと労働党メンバーによる会談が持たれ、一方的分離案を計画的に推進し、11月にも開始することをリクード側が表明したことで、労働党が政権に参加する可能性が高まっています。
リクードは今後予定されている宗教政党との会談にも期待を寄せています。(イスラエル・インサイダー7月23日)
イスラエルの撤退を前に、ガザでは混乱が表面化してきています。
アラファト議長がガザの治安警察長官に甥のムーサ・アラファトを指名したことで、ガザ南部の町ハンユニスでは、「アルアクサ殉教団(アラファト議長の配下にある組織))が反乱を起こしました。
反乱軍は軍情報警察の事務所を占拠、フランス人ボランティアを人質にとりました(人質は無事解放されています)。
この反乱はガザの前治安長官のダーラン氏が関係していると言われています。
ガザ市では17日、数千人規模のデモも行われました。この混乱をみて、パレスチナ自治政府のクレア首相は、責任をとって辞表を提出。アラファト議長は、ムーサ・アラファトの治安長官指名を撤回、クレア首相に残留するように説得しました。
アラファト議長が治安権力を掌握し続ける限り、自治政府内に何の改革も進まないことを内外に証明したことになりました。(イスラエル・インサイダー7月18日)
ガザ南部の町ベイト・ハヌンで、ハマス戦闘員がザニン一家の自宅横にカッサム・ロケット(ミサイルの一種)の発射台を据えようとしました。
イスラエル軍の攻撃を恐れたザニン一家がハマスに抗議したところ、戦闘員が発砲、15歳の少年が死亡、家族5人も負傷しました。
ベイト・ハヌンは以前より、ハマスが多くのカッサム・ロケットの発射地として利用してきた町です。そのためベイト・ハヌンは、イスラエル軍の激しい攻撃にさらされ、多くの住民が家や果樹園を破壊されました。
イスラエル軍は町の通りや水道施設なども破壊していったため、被害を受けた住民らがことし5月にも大規模な反ハマスのデモを行っています。
ガザにはこの混乱の中でイスラエル軍が駐留、過激派への攻撃を続けています。この中には多くの主イエスを信じる兄弟姉妹がいます。ハイファの教会から、従軍中の兄弟姉妹が守られるように祈ってほしいとの依頼がきています。
●ビル&栄子・スティーブンス師の、エルサレムでの引越し作業がやっと終わりを迎えようとしています。
アメリカに向けて送る荷物を載せるコンテナが届くという間際になって、イスラエルの運送業界がストライキに入り、ギリギリまで待たなければならなかったことや、ビル師の運転している車が市バスに追突されたり(ビル師に怪我はありません)と、最後の最後までさまざまな困難の中を通らされ、お二人にとって心身ともに消耗する毎日が続きました。
いよいよ来週25日、15年間住み慣れたエルサレムを離れ、アメリカへと旅立たれます。
すでに12歳を超えるネコのミーコを連れていきますが、道中は薬を飲ませて眠らせるということで、慣れない移動の中で体に異変が出ないかどうか心配されています。
どうぞ、お二人、そしてミーコが、ビル師のお母様の家にたどり着くまで無事に守られますよう、送った荷物が無事に届きますよう、覚えてお祈りいただければ幸いです。到着後のアメリカでの生活にも、速やかに順応していくことができますように……。どうぞよろしくお願いいたします。
●予想を超える暑い毎日が続いています。皆様のお体が支えられ、この夏を乗り越えることができますよう、スタッフ一同お祈り申し上げております。
シャローム!!
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