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ハイメール通信No. 128 エスカレートする敵対心

イスラエルは、現在、仮庵の祭り中。20日の新年祭以来、ほとんどの検問所が閉鎖され、今も警戒態勢がとられています。祈りが聞かれ、現在までに数多くのテロが未然に防がれています。

先々週、イスラエル政府がガザを「適地」として認定。イスラエルの銀行がガザとの取引を凍結し、電力会社は電気を止めるなどの施策を検討しています。ハマスはこれを「戦争行為」だと激しく非難。両者の敵対心が高まっています。

南部スデロットではガザからカッサム・ロケットと迫撃砲による攻撃が続きました。これに対しイスラエル軍がガザへ侵攻。28日、パレスチナ人11人が死亡しました。ハマスはイスラエルに対する報復を叫んでいます。

北部では、シリアの軍事用ヘリコプターが国境を越えて飛来、イスラエル戦闘機が緊急発進しました。直接の衝突はありませんでしたが、両国の緊張が続いています。

国内では、ネオナチ(ヒトラーを信奉しユダヤ人を襲撃するグループ)を名乗る10代の若者が、70歳の女性を襲撃する事件が起こっています。イスラエルは今、外から内から不穏な足音がしているようです。今週も熱心におとりなしください。

それゆえ、主は
あなたがたに恵もうと待っておられ、
あなたがたをあわれもうと立ち上がられる。
主は正義の神であるからだ。
幸いなことよ。主を待ち望むすべての者は。
ああ、シオンの民、エルサレムに住む者。もうあなたは泣くことはない。あなたの叫び声に応じて、主は必ずあなたに恵み、それを聞かれるとすぐ、あなたに答えて下さる。(イザヤ30:18-19)



■ 秋の例祭 未然に防がれたテロ

イスラエルでは、新年祭、贖罪の日に続いて26日から10月3日まで仮庵の祭りが行われています。1週間、国民の祝日となり、銀行や政府関係、学校は休校となります。休暇中、家庭では庭やベランダに仮庵をつくり、その下で食事をしたり、おしゃべりを楽しんだりします。(写真右はしの小屋)

テロ防止のため、祝日中はイスラエルに入る検問所すべてが閉鎖され、警戒態勢がとられています。現在までにテル・アビブで自爆テロを遂行しようとしたテロリストとその自爆ベルトが事前に発見されています。西岸地区や国境付近でも逮捕者が出ています。

23日、ヘブロンではイスラエル軍から武器を盗もうとした3人を逮捕。国道60号線付近では、走り去る車から男性がいきなり発砲されましたが、男性はとっさにコンクリートの簡易防護壁に隠れて無事でした。

25日、国境警備隊が逮捕したテロリストは、7月にオルメルト首相によって恩赦された者の一人でした。釈放時に「テロ行為は行わない」という念書を書いたにもかかわらず、テロ活動を行っていたことで念書が意味のない物であることが明らかになりました。オルメルト首相はさらに90人の釈放を検討中です。

連休中には海外に出るイスラエル人も少なくありません。政府は大型連休中にシナイ半島でテロがあるとの情報を受け、国民にシナイ半島へは行かないようにと呼びかけました。しかし、数百人が今もシナイ半島で休暇を楽しんでいる模様です。ヨルダンでは、イスラエル人をねらってホテルを爆破しようとした一派が逮捕されています。

<西岸地区でのテロリスト掃討作戦>

イスラエル軍はテロを防ぐため、連休中も西岸地区での掃討作戦を続行しています。 ある家屋では、病に伏して動けないという女性を発見。女性を無理に動かすと、ベッドの下に、武器やテロリストが移動する地下トンネルが掘られていました。

このように一軒一軒調べ上げる作戦は大変危険な任務です。18日、22歳の兵士ベン・ツィオンさんが死亡しました。2週間後には兵役を終える予定でした。

25日には大規模掃討作戦「シェケム作戦」が行われ、シェケムにいるテロリスト40人が逮捕されました。逮捕者の中には7年前にラマラに迷い込んだ2人の予備役兵をリンチして殺した犯人が含まれていました。2000年当時、荒れ狂う群衆のまっただ中へ、2Fから突き落とされ、暴行殺害されるイスラエル兵の映像が流され、世界中を震撼させました。

* キッパの兵士

イスラエルは来年建国60周年を迎えます。これまではキブツやモシャブ出身の元気な若者が建国をささえてきました。しかし、最近はキッパ(保守派ユダヤ教徒)をつけた兵士がキブツ出身兵士より活躍するようになってきました。

彼らは主の約束を信じ、そのために戦うという動機をもって戦っています。そのためどんなことでもあえて行っていく勇気があるのです。キッパ兵士がインタビューに答えて次のように言っています。「ここで起こっている戦いは、霊的な戦いの裏返しにすぎません。ここでは霊的な戦いがかなり激しいと感じます。」(写真の兵士ではありません)

<オルメルト首相への反発>

アメリカで開催予定の国際中東和平会議を前に、なんとか同意に至りたいオルメルト首相とアッバス議長。話はまとまらず、「パレスチナ国家設立に向けた、同じ意向は持っている」とした発表にとどまる見通しです。

まだ合意に達していないとはいえ、オルメルト首相がパレスチナ側に約束したとみられる8項目の中には、西岸地区の95%を委譲する他、エルサレム神殿の丘を共同管理することなどが含まれています。

国会ではオルメルト首相に反発する者も少なくありません。現在、オルメルト首相は、賄賂の疑いで警察による調査を受けています。経済相時代に、160~180万ドルの価値ある物件を120~130万ドルで購入しているからです。議員らは「刑事訴追されている者が、国の指導者であるべきでない」として、首相辞任に向けた署名運動をすすめています。

<祈り>

  1. 祈りは聞かれています。仮庵が終わるまで、イスラエル全土が守られるように
  2. 休暇中にもかかわらず最前線にいる兵士、国境警備隊、警察が守られ、テロリストを摘発できるように
  3. オルメルト首相とアッバス議長の会談を主が支配してくださり、御心だけがなっていくように
  4. 霊的な戦いを意識し、主に信頼して戦っている兵士を主が守り導いてくださるように

■ イスラエルを憎む者たち~外部から内部から~

<ガザ>

未然に防がれるテロが増えたということは、テロへの試みそのものも増えていることを示唆しています。先々週、イスラエル政府はガザを「適地」と認定。これにより、イスラエルの銀行がガザとの関係を凍結。電力会社も電力の供給を止める見通しです。

ハマスはこれを「戦争行為」として強く反発していまキ。ガザからスデロットなど、南部都市へはカッサム・ロケットによる攻撃に加え、迫撃砲による砲撃が26日朝だけでも25発ありました(実際は11発がイスラエル領内へ届かずガザ内部に着弾)。(写真:ハマス・ロゴ)

これを受けて、イスラエル空軍はガザを空爆、パレスチナ人11人が死亡しました。ハマスのハニエ氏は、「イスラエルは必ず大きな痛手をおうことになる」と表明しています。アッバス議長もパレスチナ人11人が死亡したことでイスラエルを激しく非難しています。イスラエルのバラク国防相は近く大規模なガザ侵攻が行われることを示唆する発言をしています。

<シリア>

9月初頭にイスラエル空軍がシリア領内の核施設(未確認)を奇襲して以来、両国とも警戒態勢を最高レベルに引き上げており、北部でも緊張状態が続いています。

27日、シリアのヘリコプターが国境を越えたため、イスラエル戦闘機数機が緊急発進するという事態が起こりました。幸い衝突はなく、イスラエル機は数分で帰還しました。

イスラエルの防衛関係者は、シリアはイスラエルと全面対決の戦争をする気はないと見ていますが、テロ団体を支援するという古くからの方法で報復をねらうものと見て警戒しています。

<イラン>

核問題で国際社会と摩擦が続いているイラン政府。HPで、イスラエルに到達するミサイルを600発以上準備していることを発表しました。

もしイランかシリアが攻撃された場合、イスラエルに向けてミサイルを発射させると警告しています。もしアメリカがイランを攻撃した場合、イスラエルに被害が及ぶと警告しているのです。

イランのミサイルはシュハブ3Sと呼ばれ射程1300キロの弾道ミサイルです。イランは過去に射程2000キロのミサイルも保有していることを表明しています。

*コロンビア大学で演説したアフマディネジャド大統領

今週、イランのアフマディネジャド大統領が、ニューヨークの名門コロンビア大学でスピーチを行いました。大統領は、「アラーの御名により、イマム・マフディの到来が早められますように。マフディに健康と勝利が与えられますように。」という祈りのことばでスピーチを始めました。

マフディとはシーア派イスラム教徒にとっての来るべき救い主的な存在で、政治的宗教的な指導者にあたります。マフディは大いなる裁きの日の前に現れ、イエスとともに、反キリストと戦い、その後イスラムの王国を確立すると言われています。

アフマディネジャド大統領はホロコースト否定発言をしている人物です。今回のスピーチでは、「ホロコーストは歴史的事実であるといわれているが、別の概念からもリサーチがなされるべきだ」と発言しました。

来年建国60周年を迎えるイスラエルについて、中東を不安定にしたのはイスラエルであると改めて強調。「イスラエルは地図からなくなるべきだ」と発言したことについて質問されると「イランはすべての国を愛する。ユダヤ人はイランにもおり、彼らも友人だ。しかし、パレスチナにいるユダヤ人、パレスチナにいるアラブ人、パレスチナにいるクリスチャンに彼ら自身の将来を考えさせるべきだ。」と答えました。

コロンビア大学ではあふれるほどの学生が聴講に訪れましたが、ユダヤ人学生によるデモは最小限となりました。同大学のユダヤ人教授・ルービンスタイン博士は、大学がアフマディネジャド大統領に講壇を明け渡したこと、ユダヤ人学生の反発がすくなかったことに落胆の意を表しました。しかし、大学の外、ニューヨークの通りでは、数千人のユダヤ人がアフマディネジャド大統領のスピーチに反対するデモを行いました。

<イスラエル国内で活動するネオナチ>

「ネオナチ」とは、近年ドイツをはじめとするヨーロッパで台頭する若者のグループで、ヒトラーを信奉し、外国人など弱者やユダヤ人迫害を再現する人々のことです。

最近、イスラエル国内にも「ネオナチ」が活動していることが全国で報告されています。ハイファでは70歳の女性が殴る蹴るなどの暴行を受けました。少年らは暴行を加えながら「ハイル・ヒトラー」と叫んでいたということです。

ホロンとディモナでは、シナゴーグの壁に大きなかぎ十字がスプレー式のペンキで書き記され、新年礼拝にやってきた人々を激怒させました。エイラットのシナゴーグにも、かぎ十字と十字架のマークが描かれ、「ヒトラーはメシアだ」「ヒトラーとイエス・キリストは長く生きながらえるように」と書かれていました。

今週ペタ・ハティクバで「ネオナチ」の少年8人が逮捕されました。7人はウクライナから移住したユダヤ人の少年でした。リーダーは19歳で、仲間の10代の少年たちとともに、ゲイや外国人労働者、ホームレス、またキッパをかぶっている男性などを襲撃していました。リーダーの少年は「自分は子孫を残さない。自分の中にあるユダヤ人の血を残さないために。」と言っていたと報告されています。

<祈り>

  1. イスラエルの指導者、軍関係者が正確な情報を得て、正しい決断を日々行っていくように
  2. スデロットの守りのために
  3. 北部の安全のために
  4. アフマディネジャド大統領が主こそ神であることを知るように
  5. イスラエルでネオナチとなっている若者たちの病んだ心に主が働いてくださるように

■ クリスチャンは要注意??

クリスチャン・シオニスト(聖書預言を信じ、ユダヤ人はイスラエルに帰還すると信じるクリスチャン)に対するユダヤ教ラビからの圧力が大きくなっています。

仮庵の祭りでは毎年世界中からクリスチャンが5000人近くエルサレムを訪れて、一週間にわたるカンファレンスを行います。主催はICEJ(国際クリスチャン・エンバシー)。イスラエルに友情を示すため、5000人のクリスチャンがそれぞれの国の旗をかかげながらエルサレム市内を行進するのが恒例となっています。今年、チーフ・ラビ庁はイスラエル人がこの催しに参加することを禁止しました。

ラビが問題にしているのは「ユダヤ人がイエスを信じる時に再臨が実現する」というクリスチャン・シオニストがかかげる神学です。ラビたちは、クリスチャンの最終的な目的はユダヤ人をキリスト教に改宗させることであると結論づけています。

またクリスチャンが貧しいユダヤ人に食料支援したり、孤独な兵士らに仕事を約束するなどしていることをとりあげ、支援とともに”危険な”「霊的ケア」(イエスを信じるようにとの伝道活動のこと)もしていると非難しています。

<祈り>

  1. BFP本部、各国支部局の指導者たちに知恵が与えられるように
  2. 反対しているラビが調査の中で主に出会うように
  3. 現地で働いているクリスチャンにビザがおり続けるように
    (写真:現地BFPフードバンク・ボランティア)

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

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