ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 126 イラン 再び・・
イランのアフマディネジャド大統領が再び挑戦的な発言をしています。核問題も膠着したままです。アメリカとの関係がさらに悪化し、ブッシュ大統領が軍事介入も選択枝においていることを表明しました。
オルメルト首相とアッバス議長の会談は、今月に入って2回目となりました。実質的な合意にはまだいたっていません。
ガザ地区ではカッサム・ロケットによる攻撃で、スデロットの住人に被害が出ています。これに対するイスラエル軍のガザ攻撃で、パレスチナの子ども3人が犠牲となりました。
昨年からガザでハマスに拘束されているギラッド・シャリートさんが拉致以来2回目の誕生日(21才)を迎えました。交渉は頓挫しており、政府に対する失望の声が高まっています。
難しい問題が山積みとなっていますが、今週も主がイスラエルを守り導いてくださるようおとりなしください。
(写真:ユダの荒野にて)
主はわが巌、わがとりで、わが救い主、
身を避けるわが岩、わが神。
わが盾、わが救いの角、わがやぐら。
ほめたたえられる方、この主を呼び求めると、
私は敵から救われる。(詩篇18:2-3)
イランのアフマディネジャド大統領が、「まもなく占領軍(アメリカ)は撤退に追い込まれ、イラクに力の空白ができる。イランはその空白を埋める用意がある。」と語りました。大統領は、混乱の中でイラク人60万人が犠牲となったのはブッシュ政権の責任であり、「アメリカはイラク再建に貢献していない」と訴えています。
イランは現在、シーア派のマリキ首相の政権で運営されています。しかし、シーア派が優勢のマリキ政権では、スンニ派とクルド人勢力を統率することができていません。アメリカは政権交代を要求する模様です。これに対し、アフマディネジャド大統領は、内政干渉だとして非難しています。
アフマディネジャド大統領が、イランはイラク再建に貢献する用意があると語っているのは、イランがシーア派を支援しているからです。アメリカに代わってイランがマリキ政権をバックアップすれば、イラク内の他派を統率できると考えているのです。アメリカと協力してマリキ政権を支援するつもりはありません。逆に、シーア派のゲリラを支援してアメリカ軍を攻撃させていることが明らかとなっています。イランの目的はまずアメリカを中東から追い出し、自らが影響力を駆使することです。
現在、イラク南部ではアメリカ軍とイギリス軍がシーア派ゲリラと戦っています。もし、イギリス軍が南部からも撤退すれば(イギリス軍は徐々に撤退をすすめており、現在約5500人が駐留)、アメリカ軍の影響力が弱くなり、大統領が言っているように南部がカオス状態(無秩序=力の空白)になる可能性があります。大統領の発言が空論でないことを示唆しています。
核開発が問題になっているイランですが、IAEA(核拡散防止機構)に協力する姿勢を見せてはいるものの、ウランの濃縮は継続しています。
アフマディネジャド大統領は「イランは核のイランだ」と言い、核開発を国のアイデンティティにまで引き上げる発言をしています。同時に、「平和利用」としての核開発を中止することは問題外だとしています。しかし、テロ組織と関係の深いイランが核技術を持ってしまうことは、国際社会にとっては危機的状況と言えます。
強気発言の続くイランに対し、国際社会は経済制裁を発動しています。ロシアと中国が今以上の制裁をイランに加えることに賛同していないので、さらなる経済封鎖は難しいと見られています。
しかし、ブッシュ大統領は、28日、「何かが起こってしまう前に手を打つべきだ」として武力介入も選択肢のひとつであることを示唆する発言をしました。アメリカの大統領選挙は来年です。ブッシュ政権が、退陣前にイラン攻撃に踏み切る可能性があると見る評論家もいます。
イランは、アメリカが武力行使に踏み切ることはないと考えており、ブッシュ大統領の発言にも動じる様子はありません。
一触即発とお伝えしていたイスラエル・シリア国境ですが、イスラエル軍が国境付近での演習を中止したため、戦争へのとりあえずの危機は回避できました。
オルメルト首相とアッバス議長の直接会談は今月に入って2回目となりました。パレスチナ自治政府交渉主事のサエブ・エレカット氏によると、両者は肝心のエルサレム帰属問題、国境線、パレスチナ人の帰還などの交渉には未だ至っていないということです。
オルメルト首相は、エルサレムのアラブ人居住区、並びに西岸地区のほぼ100%を譲渡することをアッバス議長に提示してはいますが、書類による確約にまでは至っておらず、実質的な進展は何もないということになります。エレカット氏は、パレスチナ人はイスラエルとの平和は願っているが、犠牲をははらうつもりはないことを明らかにしており、いっさいの妥協を考えていないこと語っています。交渉がどこまで実質的な結果を生み出すか、全く不透明と言えます。
今回の交渉で、アッバス議長は新たに26人の収監者を釈放することを要求しました。26人は2002年にベツレヘムの生誕教会に立てこもったテロリストで、ファタハだけでなく、ハマスやPFLPのメンバーも含まれています。これには、同じベツレヘムの事件で海外追放となっている12人の帰国交渉も視野に入れられています。これに対してオルメルト首相は、検討すると回答しています。
*イスラエル国内では、西岸地区をパレスチナ側に渡してしまうことへの懸念が高まっています。イスラエルが西岸地区から撤退した後で、ガザと同様、ハマスが主導権を奪っていく可能性が高いからです。
現パレスチナ自治政府のファヤッド首相は、西岸地区やガザ地区のチャリティ団体など、103軒の閉鎖を命じました。これらの団体がハマスの活動拠点になっているからです。しかし、ガザ地区での閉鎖が実現するかどうかは不明です。
26日、イスラエル兵1人が道に迷ってパレスチナ人の町ジェニンに入り込んでしまいました。兵士の車は破壊され、兵士は怒った群衆にとりかこまれました。集団リンチ直前にパレスチナ自治政府治安部隊が恐怖に震えている兵士を救い出し、無事にイスラエルへ送り返しました。2003年にも2人のイスラエル兵がラマラへ迷い込んだ事件がありましたが、2人はリンチ後殺害され、一人は二階から階下へ突き落とされました。
ガザ地区では、イスラエル軍によるロケット発射地の捜索並びに攻撃が続けられています。28日、ロケット発射台近くで遊んでいたパレスチナ人の少年2人(10才、12才)が、イスラエル軍による攻撃で死亡しました。少年二人と一緒にいて負傷した少女も後に死亡しました。
パレスチナ側は、使われたあとのロケット発射台の回収を子どもたちにさせていることがありますが、今回犠牲になった子どもたちは単にロケット発射台付近で遊んでいただけであったことが明らかになりました。
(写真:カッサム・ロケット発射台)
また今週、ガザ北部では、自爆テロを決行しようとし15才の少年が未然に逮捕されています。子どもたちがテロ活動に利用されたり、巻き込まれたりするケースが増えています。
昨年、ガザで拉致されたままになっているギラッド・シャリートさんが、拉致されてから2回目の誕生日(21才)を迎えました。テルアビブのラビン・スクエアでは、シャリートさんの父親がテントを出して人々に記帳を求めました。
シャリートさんは生存していると伝えられていますが、最近では交渉もなされておらず、父親のノームさんは交渉チームとオルメルト首相に対して深い失望感を表明しています。
(写真:ギラッド・シャリートさんの母親)
イスラエルに到着するアフリカからの難民に対し、イスラエルは迫害の町ダルファから逃れてきた500人を受け入れることを表明しました。残りの3,000人近くは迫害のないところから来ているため、送還する予定です。先週50人がエジプトへ送還されました。
収容されている500人はネゲブの刑務所敷地内に収容されています。ハアレツ紙によると、男性と女性は分かれて収容されており、家族がばらばらのままになっています。言葉の壁があり、コミュニケーションがとれず難民側もイスラエル側もとまどっています。それでも難民側は、迫害のないところに来ることができたことを喜んでいます。
*先週、「ブネイ・メナシェ」(マナセ族の末裔)と言われているインド系ユダヤ人200人以上もイスラエルに到着しています。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
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