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ティーチングレター

「シオンへの帰還」神のご計画における“アリヤー” -後編-

レベッカ・J・ブリマー/ブリッジス・フォー・ピースCEO(最高経営責任者)

旧ソビエト連邦から帰還してきた少女たち

ユダヤ人のイスラエルへの帰還を『アリヤー』(ヘブライ語で“上る”)といいます。アリヤーは聖書預言の成就であり、神がご自身の存在を世に知らしめるための重要な手段です。BFP(ブリッジス・フォー・ピース)の活動においても、非常に重要な意味をもつこのアリヤーの歴史と意味について、先月から2回に分けて学んでいます。前編では、現代イスラエル国家誕生までの歴史について振り返りました。なるべく先月号を参照の上、この後編を読むことをお勧めします。

イスラエル国家の誕生

1948年5月14日、イスラエルの建国が宣言されました。イスラエル独立宣言には、以下のように記されています。

「イスラエルの国は、ユダヤ人の移民と、離散した人々を集めるために開かれています。イスラエルの国は、そのすべての住民のために国の発展を促進します。この国は自由、正義、平和を基盤として建てられ、いかなる宗教、人種、性別を問わず、すべての住民に完全な社会的、政治的平等を確保します。」

1950年には帰還法が制定され、世界中のユダヤ人に対し、イスラエルに自動的に帰還でき、市民権を得る権利を保障しました。

移民がイスラエルに来てまず
スタートするのは
ヘブライ語の学習である

広く開かれた門を通って、68万7千人のユダヤ人がイスラエルの岸辺にたどり着きました。1951年までに、この新たに制定された帰還法によって、現地のユダヤ人人口は倍以上に膨れ上がりました。帰還民の中には、ホロコースト(ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺)を生き延び、ドイツ、オーストリア、イタリアなどの収容所に収監されていた避難民が大勢いました。また、ブルガリアやポーランドの大部分のユダヤ人社会、ルーマニアにいたユダヤ人人口の3分の1、リビア、イエメン、イラクの大部分のユダヤ人社会から来た人々が含まれていました。

移住者は、新しい環境に順応していく上で、多くの困難を経験しました。産声を上げたばかりの祖国は、独立戦争の傷からやっと立ち直ったばかりで、逼迫した経済状況下にあり、押し寄せる移民に、住居や仕事を提供するのは至難の業でした。多くの労苦と努力が積み重ねられました。まず『マアバロット』(ブリキ製の小屋やテントからなる野営地)が建てられ、その後、適当な住居が建設されました。徐々に雇用が増え、ヘブライ語を修得するためのプログラムも設けられました。教育制度が整備され、多くの異なった文化圏からやってきた子供たちの異なる必要に応じるため、改良がなされていきました。

1951年にイラクから帰還してきた人々。
仮住居の外で祈りを捧げている様子

1950年代後半から1960年代前半には、大規模な帰還が達成されました。独立を果たした北アフリカ諸国、モロッコ、チュニジアなどの国々から、ユダヤ人が帰還してきました。ポーランド、ハンガリー、エジプトなどからも、多くの移民がイスラエルに到着しました。

旧共産圏(ソビエト・東ヨーロッパ)からの帰還

1948年から1967年までの間、ソビエト連邦に居住するユダヤ人とイスラエルとの関係は、あまり親密なものではありませんでした。しかし、六日戦争(1967年)の後、ソビエト連邦内のユダヤ人の間に、ユダヤ人としての意識が高まり、次第に多くの人々がアリヤーを希求するようになりました。1970年代初頭、国際関係の緊張緩和が進むにつれ、ソビエト連邦は、相当数のユダヤ人の移民を認可しました。70年代の終わりまでには、250万人のユダヤ人がソビエト連邦を引き上げ、そのうち14万人がイスラエルに帰還してきました。

ソビエト連邦旗

1980年代末期には、ゴルバチョフ大統領の国内自由化(ペレストロイカ)政策の結果、ソビエト連邦から、前例のないユダヤ人の大量出国が許可されました。1991年後半にソビエト連邦が崩壊すると、その傾向がますます強まりました。しかし、1990年の19万人、1991年の15万人をピークに、旧ソビエト連邦の情勢が安定してきたこと、イスラエル社会に順応する難しさが認識されたことで、移民の波は、毎年平均7万人に落ち着きました。1989年から1996年まで、旧ソビエト連邦から約70万人のユダヤ人がイスラエルに帰還しました。総計すると、1989年から2005年7月までに、101万3956人がイスラエルに帰還したわけです。

エチオピアからの帰還

イスラエルへ行く途中のエチオピア移民

近年、古くからあるエチオピアのユダヤ人社会からのアリヤーが目立っています。1984年、7千人のエチオピア系ユダヤ人が、徒歩で数千キロも離れたスーダンにたどり着き、そこで実行された『モーセ作戦』として知られる作戦を通して、イスラエルに帰還してきました。さらに、1991年5月、『ソロモン作戦』では、空輸という手段によって、1万5千人のエチオピア系ユダヤ人がイスラエルに到着しました。この作戦で、イスラエル政府は、30時間以内にアディス・アベバ空港から41回の空輸を敢行し、そこに残っていたユダヤ人社会のほとんど全員をイスラエルに帰還させました。

帰還民の統計資料(1980年から2005年まで)

1989年から2005年7月までに、191万5207人の帰還民がイスラエルに到着しました。そのうち101万3956人は旧共産圏から、18万人はそれ以外の国々を合算した数です。これ以前、イスラエルのユダヤ人人口は500万人を割っていました。私はいつも、イスラエルを奇蹟の国であると思います。500万人に満たないイスラエル人が、百万人の帰還民を社会に受け入れることができたことが、奇蹟でなくて何でしょう!?

この奇蹟の規模を理解するために、もし、日本が同様の規模で人口が増えたらどれくらいの数になるのか―現在の人口よりも、2100万人が増加する計算になります。つまり、東京都民(約1231万人)と神奈川県民(約867万人)を合わせた数が増える、ということになります。

今日ユダヤ人はどこに住んでいるか

世界中に約1300万人のユダヤ人がいます。最もユダヤ人人口の多いのがアメリカで、528万人、2番目がイスラエルで、523万5千人です。この2カ国に、世界中のユダヤ人人口の80%が集中しています。学者たちは、2006年までにイスラエルが最も多くのユダヤ人人口を抱える国になるだろうと予測しています。

他にも、ユダヤ人社会を抱えるたくさんの国々があります。イギリスには30万人、フランスには49万4千人、旧ソ連邦には約百万人のユダヤ人がいます。現在、世界中のユダヤ人の40%がイスラエルに住んでいます。そのうち300万人は移民です。

どのようにして神のご計画に参加するか?

救出作戦のスタッフは、現地ユダヤ人の
イスラエル帰還のアシストを行う

ロシア(旧ソ連邦)やアルゼンチンなどの国々では、ユダヤ人がアリヤーの費用を自己負担することはほとんど不可能です。それぞれの国が経済的に破たんしたので、彼らは経済的苦境の中で、悲惨な状態で暮らしているからです。BFPや他のクリスチャン団体が彼らをその絶望的な生活環境から救い出すために、積極的に活動し、彼らを助けています。

世界中からの支援を受けて支えられてきたBFPの活動を通して、2万4千人以上のユダヤ人が、イスラエルで新しい生活を始めています。BFPの『救出作戦』では、ユダヤ人がそれぞれの国から移民をする手続き、特に移民志願者がユダヤ人の血統であることを証明するために、さまざまな支援をしています。出国のための一枚の証明書を手に入れるために、非常に多くの費用を要し、追跡調査をし、その人の両親や祖父母が以前住んでいた国々まで出張しなければならないこともしばしばです。

今も、何千という人々が帰還手続きの最中にあり、BFPの救出作戦の活動員と協力し、準備を進めています。非常に長い時間を要し、短くて6カ月、長い場合は2年にも及びます。各個人、各家庭がそれぞれ、独自の問題を抱えているからです。

エルサレムの街路を歩いていると、ロシア語、ウクライナ語、フランス語、スペイン語、その他さまざまな言語の会話が聞こえてきます。世界各地からユダヤ人が集められている、まさに証明というべきこの現象に、神によって奇蹟が行なわれていることを認識するのです。どんな人間にも、現代イスラエルで見られるこの奇蹟を起こすことはできません。まして、イスラエルの預言者たちが記録した主の約束を、ここまで詳細に実現させることなど、人間にできるはずはありません。

私たちが現在目撃しているこの事実は、神がご自身の真実とみことばの真実を世界に証明するためのものです。主なるお方は全能の神です。イスラエルとの約束を成就されるお方であることを世界が目撃することは、神のご計画なのです。

「わたしが彼らを国々の民の間から帰らせ、彼らの敵の地から集め、多くの国々が見ている前で、彼らのうちにわたしの聖なることを示すとき、彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知ろう。わたしは彼らを国々に引いて行ったが、また彼らを彼らの地に集め、そこにひとりも残しておかないようにするからだ。わたしは二度とわたしの顔を彼らから隠さず、わたしの霊をイスラエルの家の上に注ぐ。―神である主の御告げ。―」(エゼキエル39・27-29)

神がこれらの預言を成就しておられる様子を見るにつけ、その他の預言も成就されることを確信しています。私はこれまでの人生において、神の御業とご計画に積極的に参加することを教えられてきました。私は、800万人ものユダヤ人が、依然としてイスラエル以外の地に居住していることを知り、神が今後BFPにどのような行動を望んでおられるのか、教えてくださるように祈り願っています。

救出作戦を通して帰還したシェルマンご一家

「わたしはあなたがたを諸国の民の間から連れ出し、すべての国々から集め、あなたがたの地に連れて行く。わたしがきよい水をあなたがたの上に振りかけるそのとき、あなたがたはすべての汚れからきよめられる。わたしはすべての偶像の汚れからあなたがたをきよめ、あなたがたに新しい心を与え、あなたがたのうちに新しい霊を授ける。わたしはあなたがたのからだから石の心を取り除き、あなたがたに肉の心を与える。私の霊をあなたがたのうちに授け、わたしのおきてに従って歩ませ、わたしの定めを守り行なわせる。あなたがたは、わたしがあなたがたの先祖に与えた地に住み、あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる。」(エゼキエル36・24-28)

神のみことばが引き続き実現されるよう、どうか私たちの働きをお助けください。皆様のご支援によって、アリヤーは前進します。神は、この終わりの時代における、この劇的な出来事に、皆様がご参加くださることを望んでおられると確信します。

エルサレムよりシャローム

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