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エゼキエル書に啓示された神

文:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

バビロン捕囚、エルサレムの陥落という苦難の時代を過ごしたエゼキエル。
イスラエルが犯した偶像礼拝の罪を指摘する一方で、エゼキエルは未来の回復についても預言しました。
苦難の中にある神の目的を学びながら、神の呼び掛けに応答してまいりましょう。

Photo by katie175/Pixabay

風刺漫画家のヤコブ・キルシェンは、かつては自分のことを無神論者だと言っていました。ホロコーストの直後だったので、ユダヤ人がどうやって神を信じたらよいのか分からなかったのです。数年後キルシェンは少し意見を変えて不可知論者になりました。単に神が分からなくなったからです。その後、彼はBFPのイベントで「エゼキエル書を読むのは現代の新聞を読むようなものだ」と語り、次のように言って私たちを驚かせました。「私は不信仰のままではいられなくなっています」。実際この書は、エゼキエルがイスラエルの民に最初に宣言した時と同じぐらい、現代の出来事と直結しているように見えます。

エゼキエルは預言者で祭司でした。エゼキエルという名前はヘブライ語で「神は強められる」という意味で、これ自体預言的です。エゼキエルはバビロンによる征服が数年後に迫るエルサレムで育ち、神の力に頼らなくてはなりませんでした。実際に捕囚となったのは、エホヤキン王と同じBC598〜597年。捕囚の地で預言をし、エルサレムと神殿が破壊された時にはバビロンにいました。神に用いられ、差し迫る破滅を警告し、民に悔い改めを呼び掛けたエゼキエル。エルサレムの荒廃後は慰めの言葉と将来の希望を捕囚のユダヤ人に語りました。

エゼキエル書には際立ったテーマが三つあります。「神の栄光」「聖なる御名に対する神の関心」「ご自身が神であることをイスラエルと世界の国々に知ってほしいという神の願い」。この三つのテーマについて見ていきましょう。

神の栄光(シェキナ)

預言者エゼキエルは「…天が開け、私は神々しい幻を見た」(エゼ1:1)と、驚異的な体験を記しています。中でも感動的なのは28節です。「その方の回りにある輝きのさまは、雨の日の雲の間にある虹のようであり、それは主の栄光のように見えた。私はこれを見て、ひれ伏した。そのとき、私は語る者の声を聞いた」。他の預言者同様エゼキエルも神の召しによって劇的に人生が変わりました。天における神の栄光を目撃したエゼキエルは、エルサレム神殿の栄光も目の当たりにし、神のシェキナの栄光を経験したはずです。その栄光が失われた時には悲しんだことでしょう。

エゼキエル書のアートスクロールの注解書はこう説明しています。「かつて心地良かった住まい(イスラエル)は神の栄光にふさわしくなくなり、神のシェキナが去りました。イスラエルが招いたこの悲劇を目撃することはエゼキエルの定めでした…。それを見たエゼキエルは『ああ、神、主よ。あなたはエルサレムの上にあなたの憤りを注ぎ出して、イスラエルの残りの者たちを、ことごとく滅ぼされるのでしょうか』(エゼ9:8)と、絶望の叫び声を上げました」

エルサレム旧市街 Photo by John Theodor/shutterstock.com

多くのエゼキエルの預言は厳しく希望の無いものですが、すべてがそうではありません。同時代の人々はエルサレムで神殿の崩壊とシェキナが離れていくのを目撃しました。しかし神は、イスラエルの民が帰還し神殿がエルサレムに建てられる(40章)という未来の幻をエゼキエルに与えています。アートスクロールはこう続けます。「エゼキエルは戦車の上に神の栄光が宿るのを見ます。シオンから去るのではなく帰ってこようとしている栄光です。『主の栄光が東向きの門を通って宮に入って来た』(43:4)。この栄光は二度と離れ去ることはありません」。これが成就したのはエルサレムと神殿が再建されたエズラとネヘミヤの時代だと考える人もいますが、エゼキエルが見た神殿の描写(40章)はネヘミヤ時代とは大きく異なります。そのため、これは将来建てられる第三神殿だと信じている人々もいます。正統派ユダヤ教徒の中には未来の神殿での礼拝に備えているグループもあります。

主の御名

人の名前はその人の信頼性や性質と密接な関係がある、これがヘブライ的な考え方です。神はトーラー(モーセ五書)の中で、ご自分の名で呼ばれる民に、御名を汚さないよう警告しました。神の民が御心にかなわない行動を取る時、神の信頼性(御名)に傷が付くのです。

エゼキエル書36章では、神が契約の民を捕囚と離散から連れ戻す動機が説明されています。鍵となる聖句は20節です。「この人々は主の民であるのに、主の国から出されたのだ」。多神教がはびこっていた当時、神々の能力は民に健康と繁栄と安全を与えられるかによって判断されました。イスラエルの民が四方に散らされた時、当時の国々はイスラエルの神は無能だと考えたのです。こうして神の御名は国々の中で汚され、神の信頼性は落ちてしまいました。ですから神は「わたしの聖なる御名(神の信頼性)のためにあなたがたを連れ戻す」とおっしゃったのです。

わたしが主であることを知ろう

今も昔も神はすべての国民が、神こそが主であることを知るように願っておられます。このことが明記されているのがエゼキエル書です。どの預言にも似たような言い回しが繰り返されています。「あなたがたは、わたしが主であることを知ろう」「諸国の民はわたしが主であることを知ろう」。実際こうした表現がエゼキエル書には50回以上出てきます。

聖書ではユダヤ人は契約の民、選ばれた民、神の特別な宝の民などと呼ばれています。これに困惑するクリスチャンも多く、次のような質問を数多く耳にします。

  • 神が他の民族以上にユダヤ人を愛しているとなぜ言えるのか?
  • 神はすべての人を愛しておられるのではないのか?
  • 神は不公平なのか?
  • 神がユダヤ人を特別扱いするのはパレスチナ人に対して不当ではないのか?
  • なぜイエスをメシア(キリスト)と信じていないユダヤ人が選びの民で、私たち(クリスチャン)が選びの民ではないのか?

ヨハネの福音書には「神は…世を愛された」(3:16)とあります。選びの民がいたとしても、神は全世界の人々を愛しておられます。神がユダヤ人を選ばれたのは特別な目的のため、すなわち神を世界に啓示するためです。彼らはみことばを書き記し、世界を正しい知識に導き、聖書に登場する父祖、預言者、王となるために選ばれました。初代教会も全員ユダヤ人でした。私たちの信仰にとって大切なことはすべてユダヤ人を通して与えられています。

ユダヤ人が約束の地からいなくなれば、ご自分の信頼性に傷が付くと分かっていながら、神は罪の罰としてユダヤ人を国外に追放し、将来再び彼らの地に集めると何度も語りました。エゼキエル書には、帰還の時、あるいはゴグとマゴグの戦いの時などに主がどのようになされるかが記されています。神からの預言が与えられるたびにエゼキエルは苦しみながら語っています。その預言が起こる時、国々は主こそ神であることを知るようになるだろうと。

あなたがたの回りに残された諸国の民も、主であるわたしが、くつがえされた所を建て直し、荒れ果てていた所に木を植えたことを知るようになる。主であるわたしがこれを語り、これを行う」(エゼ36:36
わたしがまた、わたしの霊をあなたがたのうちに入れると、あなたがたは生き返る。わたしは、あなたがたをあなたがたの地に住みつかせる。このとき、あなたがたは、主であるわたしがこれを語り、これを成し遂げたことを知ろう。─主の御告げ─」(エゼ37:14
わたしの聖所が永遠に彼らのうちにあるとき、諸国の民は、わたしがイスラエルを聖別する主であることを知ろう」(エゼ37:28

今日私たちは、エゼキエルが主から受けたことが成就している時代に生きています。ユダヤ人帰還者で満席の飛行機が到着するたび、ユダヤ人を祖国に連れ戻すという神の約束を思い出します。神は国々に「よく聞きなさい! わたしは自分の約束を果たしている。わたしが神であることを知りなさい!」と呼び掛けておられるのです。

すべての人を愛しておられる神は、すべての人がイスラエルの神、唯一の真の神、主を知ることを願っています! 神は今、古くからの約束をアブラハム、イサク、ヤコブ、ダビデ王の子孫に果たしているのです。これこそイスラエルの神が生きておられるという、世界に対する明確な呼び掛けです。主は誠実で信頼でき、力強く愛に満ちた神であり、ご自分の似姿につくられたすべての人を愛しておられるという明確なメッセージです。

神がユダヤ人に与えた役割を深く理解し、彼らの選びを尊重して敬意を払いましょう。そして、ユダヤ人だけでなく、すべての人に約束を果たしておられるイスラエルの神に信頼しましょう。私たちは偉大な神に仕えているのです!私たちが生きている間に預言者ハバククの預言した日が来ますように。「まことに、水が海をおおうように、地は、主の栄光を知ることで満たされる」(ハバ2:14

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