文：シェリル・ハウアー（BFP副会長）
イスラエルが再建されたことは歴史上かつてない奇跡です。
さらに、再建から現在に至るまでの発展ぶりには目を見張るものがあります。
今回は、その目覚ましい発展に注目しながら、神の誠実さを覚えてまいりましょう。
建国70周年を喜ぶ人々 hafakot/shutterstock.comトーラー（モーセ五書）は、イスラエルの歴史を通して常にユダヤ人の中心にありました。神の約束が彼らの希望であり、神のみことばが彼らの慰めだったのです。ユダヤ人が自分の祖国に帰還するという、タナハ（旧約聖書）に記された数え切れないみことばの約束は、最も暗い時代を生きる離散のユダヤ人にとっては唯一のよりどころでした。
申命記30章5節「あなたの神、主は、あなたの先祖たちが所有していた地にあなたを連れて行き、あなたはそれを所有する。主は、あなたを栄えさせ、あなたの先祖たちよりもその数を多くされる」
エレミヤ書23章3節「しかし、わたしは、わたしの群れの残りの者を、わたしが追い散らしたすべての国から集め、もとの牧場に帰らせる。彼らは多くの子を生んでふえよう」
エゼキエル書37章21節「彼らに言え。神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、イスラエル人を、その行っていた諸国の民の間から連れ出し、彼らを四方から集め、彼らの地に連れて行く」
エレミヤ書32章37節「見よ。わたしは、わたしの怒りと、憤りと、激怒とをもって散らしたすべての国々から彼らを集め、この所に帰らせ、安らかに住まわせる」
アモス書9章15節「『わたしは彼らを彼らの地に植える。彼らは、わたしが彼らに与えたその土地から、もう、引き抜かれることはない』とあなたの神、主は、仰せられる」
イザヤ書43章5〜6節「恐れるな。わたしがあなたとともにいるからだ。わたしは東から、あなたの子孫を来させ、西から、あなたを集める。わたしは、北に向かって『引き渡せ』と言い、南に向かって『引き止めるな』と言う。わたしの子らを遠くから来させ、わたしの娘らを地の果てから来させよ」
イザヤ書49章6節「主は仰せられる。『ただ、あなたがわたしのしもべとなって、ヤコブの諸部族を立たせ、イスラエルのとどめられている者たちを帰らせるだけではない。わたしはあなたを諸国の民の光とし、地の果てにまでわたしの救いをもたらす者とする』」
私たちは過去70年間、これらの約束が成就するのを見てきました。国家樹立を宣言した1948年当時、イスラエルに住むユダヤ人は約65万人でした。それからわずか70年後、人口は700万人に増えました。イスラエルは世界の中でも出生率が非常に高い一方、幼児死亡率と自殺率は非常に低く、平均寿命の長さは世界で17番目です。そして今なお世界中の国々から、主がユダヤ人を祖国に集めておられます。
イスラエルのほとんどの町には建築用のクレーンが点在しています。諸国から帰還し続けるユダヤ人のために住宅建設が行われているのです。また、学校や大学、政府や科学の施設、コミュニティーセンター、公園もつくられています。イスラエルにおける一人あたりの図書館の数と出版される本の冊数は、世界でも最多です。また、一人あたりの大学の学位数、博物館の数、コンピューターの数も最も多く、女性の起業家の割合は世界一で、世界で最多の論文を発表している科学団体を擁しています。
イスラエルは世界で最も強力な自由主義経済国家の一つであることを誇りとしています。世界最多のスタートアップ企業が毎年数十億ドルを国庫に納めているため、成長が見込めるのです。中東で唯一の民主主義国家であり、活気あふれる国政の場では活発な討論が進められ、政治指導者たちは国内のあらゆる社会層（少数派を含む）から集められています。
しかしながら、イスラエルは最も大切な使命を、世界への貢献を通して全うしています。すなわち、イスラエルが諸国の光になるという使命です。イスラエルの医学、科学、技術、通信、農業、セキュリティーの進歩によって、国際社会はさらに安全で健全な場所になっています。イスラエルの画期的な点滴灌漑（かんがい）技術によって乾燥地帯の発展途上国は農産物を増産できるようになり、貯蔵法の進歩によって農産物は消費されるまでの間、安全に保管できるようになりました。
最近ではイスラエルの科学者チームが藻から多糖類を抽出し、傷ついた器官や組織の修復や再生を促す物質をつくることに成功しました。この物質は心臓発作を起こした患者に有効であることが既に証明されています。
また別のチームは「スニッフフォン」というスマホアプリを開発しました。これは吐き出した息を解析して病気の有無を確かめるアプリです。解析結果はスマートフォンを介して医師に送信され、さらなる治療が行われます。
そして、もう一つの科学チームは世界最小とも言われるチェリートマトの栽培に成功しました。このトマトはイスラエルが開発したもので、何週間もの間安定して実を実らせ、リコピンが高く、ビタミンAとCに富んでいます。
発展し続けるイスラエル Photo by Wikimediaこうしたイスラエルの驚くような成功はもちろんのこと、イスラエルの存在そのものが神の絶対的力、究極的権威、尽きることのない誠実さの賜物です。イスラエルのように、国家の存続そのものがひどく脅かされる状況に日常的に直面している国はありません。常に自国の主権が国際的に軽視され、国の存在そのものが世界規模で敵視されている国はイスラエルをおいて他にはないでしょう。にもかかわらず、イスラエルは50年足らずで発展途上国から先進国にまでなりました。他国が70年どころか何百年かけても達成できなかったレベルにまで、イスラエルは達したのです。
多くの人々がイスラエルのここ数十年の苦闘や挫折を見て、詩篇83篇1〜4節のみことばを思い出しています。
「神よ。沈黙を続けないでください。黙っていないでください。神よ。じっとしていないでください。今、あなたの敵どもが立ち騒ぎ、あなたを憎む者どもが頭をもたげています。彼らは、あなたの民に対して悪賢いはかりごとを巡らし、あなたのかくまわれる者たちに悪だくみをしています。彼らは言っています。『さあ、彼らの国を消し去って、イスラエルの名がもはや覚えられないようにしよう。』」
その通りです。イスラエルに敵対する力（実際には神の敵）はここ数十年と言わず何千年もの間、イスラエルを地上から抹消しようと試みてきました。そのような活動は歴史を歪曲（わいきょく）する歴史修正主義とタッグを組み、ここ数十年で劇的に増加しています。歴史修正主義がもし成功するなら、イスラエルの名はもはや確実に覚えられないことでしょう。
しかし今日、イスラエルが力強い成功を遂げ、障害を乗り越え、傑出した規模で国際関係を築いている姿を私たちは目撃しています。イスラエルという存在は、ご自分の民と関係を持ちたいと願われ、ご自分の民を愛し、導き、守られる、誠実であわれみ深い神の存在を世界に示しているのです。エゼキエル書36章23〜24節にはこう記されています。「わたしは、諸国の民の間で汚されたわたしの偉大な名の聖なることを示す。わたしが彼らの目の前であなたがたのうちにわたしの聖なることを示すとき、諸国の民は、わたしが主であることを知ろう。─神である主の御告げ─わたしはあなたがたを諸国の民の間から連れ出し、すべての国々から集め、あなたがたの地に連れて行く」
イスラエル建国70周年の記念の年に奇跡を期待している人たちは正しいと言えるでしょう。もしかしたらこの時が、イスラエルが詩篇83篇からエゼキエル書36章に踏み出す時かもしれません。恐らくこの70年目に、イスラエルに対する神の御心が現実のものになるのではないでしょうか。そしてイスラエルは、神の完全な力と権威によって、神が約束された通りに諸国の光となる旅路を歩み続けることでしょう。いずれにしてもイスラエルは、70年にわたって人々から祝いの言葉を受けるにふさわしく、みことばによって支援を続けるにふさわしい国です。コル・ハカボッド（よくやりました）、イスラエル。あなたを愛します！ あなたが力から力へと進みますように。
