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     -そして、イスラエルと教会の和解

ティーチングレター

聖書のテーマ 「神の国、契約、キリスト」
     -そして、イスラエルと教会の和解

TEXT:川端光生先生(キリストの栄光教会牧師)

今月は聖書全体の歴史を広く見渡すことで、旧約聖書・新約聖書双方を貫く神のマスタープランを学びます。同時に、二つの神の民(教会とイスラエル)がどのような関係を結ぶのか、今教会として私たちができることを学びます。

エルサレム

私は長年、旧新約聖書全体を「神の国」「契約」「キリスト」という三つのテーマで読み解いてきました。聖書の歴史、詩歌、預言、福音、書簡、終末は、この三つのテーマで展開していると分かったからです。そして、主なる神がこの三つを地にもたらすパイプ役として選ばれた神の民が、「アブラハムの子孫」イスラエルでした。また、キリストを信じることで異邦人だった私たちも、「信仰によるアブラハムの子孫」としてもう一つの神の民(教会)とされ、「神の国」「契約」「キリスト」を世に広げる使命を担っています。しかし、残念ながら二つの神の民は、今日まで敵対してきました。両者の敵意の壁が打ち砕かれて一つとされ、神の家族として神に近付く日が来る(エペソ2:11-22)ように祈り、実際に和解に努めることが私たちの役割だと思います。

ここでは、聖書の歴史を三つのテーマで簡単に振り返り、なぜイスラエルと教会の和解が緊要なのかをお話しします。

旧約聖書における「神の国」「契約」「キリスト」の歴史

主なる神は天と地を創造し、天にある神の国(神の統治)を目に見えるかたちで地上に出現なさいました。それが神の国のひな型である「エデンの園」です。しかし、「エデンの園」は、「蛇(サタン)」にそそのかされた最初の人アダムの反逆によって失われてしまいました。すると、主は直ちに「神の国」の回復計画を宣言なさいました。「彼(キリスト)は、おまえ(サタン)の頭を踏み砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく。」(創世記3:15)

主は早々と、キリストの登場とその勝利によって「神の国」が回復されることを予告なさったのです。それゆえ聖書の歴史は、キリストの来臨と再臨を焦点にして進展していくことになります。

主はまず、アベル-セツ-エノシュ-エノク-ノアという「神の国」を継承する流れを興されました(創世記4-11章)。それがサタンの勢力によって潰されると、主はアブラハムを選んで永遠の「契約」を結び、イスラエルを通して「神の国」の祝福が全民族に及ぶようにされました(創世記12-17章)。それは、アブラハムの子孫から「キリスト」を世に送り、アブラハムとの「契約」によって「神の国」を回復するという主の壮大な計画(マスタープラン)なのです。こうして、「キリスト」「神の国」「契約」が聖書全体を貫く重要なテーマとなったのです。

モーセの時代になり、イスラエルが民族にまで成長すると、主は彼らを律法によって聖別し、「祭司の王国」とするという契約を結ばれました(出エジプト記)。

「神の国」を現すために選ばれたイスラエル

次いで、BC1000年ごろ、主はダビデを選んで王とし、三大陸の蝶ちょうつがい番にあたる土地に、エルサレムを都とするイスラエル王国を建てられました。それは「王」による神の国のひな型であり、そこから祝福が世界に広がるようにされたのです。主はダビデと契約を結び(Ⅱサムエル7:13、16)、ダビデの家系からキリストが出ることを予告されました。

しかし、ソロモン王の後、王国は南北に分裂しました。モーセの律法を無視し続けた北王国はBC722年アッシリアに、そして南王国はBC587年バビロニアに滅ぼされました。それでも、主はアブラハムとの契約を忘れず、ペルシャのクロス王を用いてユダヤ人をエルサレムに帰還させ、彼らに神殿と城壁を再建させられました。

このように旧約聖書は、神の国の復興を目指し、契約を軸としてキリストを用意するという主のご計画を語る書です。歴史書はキリストを登場させる血筋と道筋を示し、詩歌はキリストの到来を熱望し、預言書はキリストの来臨とイスラエルの回復を予告したのです。

ところで、旧約聖書のマラキ書と新約聖書の福音書の間には、300年余りの「沈黙の時代」があります。実は、その「沈黙の時代」に、地中海世界にギリシャ語という共通言語が広がり、水陸交通網が発達し、キリストの来臨と福音伝播のための諸条件が整えられていったのです。

新約時代以降「ユダヤ人」と「教会」の歴史

こうして、主の時が満ちた時代に、聖書に預言されていた通り、神の国の王キリスト・イエスがダビデの家系から誕生なさいました。

主イエスの宣教の第一声は「時が満ち、神の国は近くなった」(マルコ1:15)でした。主は、イスラエルに「神の国」の祝福を回復し、アブラハム契約の「祝福の源」としての役割を果たさせようとされたのです。しかし、ユダヤ人はイエスを拒否。そのため、まずユダヤ人にもたらされるはずだった救いと祝福が異邦人に流れました(ロマ11:11)。キリスト教会はユダヤ人の使徒教会として始まりましたが、AD70年エルサレムがローマ軍によって陥落すると、ユダヤ人は離散し、やがてユダヤ人教会も消滅してしまいました。代わって、成長した異邦人教会が「信仰によるアブラハムの子孫」として、神の国の祝福を世界の諸民族にもたらす役割を担うことになりました。

それはユダヤ人が「選びの民」ではなくなったということではありません。しかし、異邦人教会はユダヤ人をキリスト殺しの呪われた民として差別、追放、虐殺するようになりました。この反ユダヤ主義と迫害は現代まで続いてきたのです。

「神の国」を現すために選ばれたもう一つの民、
教会はキリストにあってイスラエルと一つにされる

ところで、キリストがご自身の血によって結ばれた新しい契約は、イスラエルが土地と民と国を回復し、ユダヤ人と異邦人はイエスをメシヤ(キリスト)と信じることによって救われ、両者は一つとされて神の家族となり、神の国が完成するというものでした。しかし、ユダヤ人が祖国から追放されて1800年余り、出エジプト前の400年間やマラキ書後の350年間と同様の「沈黙の時代」が長く続きました。ところが、19世紀の終わりごろになって、ついにその「沈黙」に終止符が打たれ、聖書預言が成就し始めたのです。1882年、ロシアで迫害(ポグロム)を受けたユダヤ人がイスラエルに帰還しました(第一次アリヤー)。その帰還は第二、第三と断続的に続き、ホロコーストで祖国回復の願いが頂点に達しました。そして、1948年にイスラエル建国の日を迎えたのです。時を同じくして、イエスをメシヤと信じるユダヤ人が増え始めました。今や、その数は世界中で数十万人とも言われます。

私たちの時代に教会がなすべきこと

アブラハム、モーセ、ダビデらはキリストの到来を待ち望み、ついにその子孫であるペテロやパウロらが約束の成就を見ました。そして今度は、パウロらが「ユダヤ人と異邦人が神の家族となる日」(エペソ2章)とキリストの再臨を待ち望むようになりました。パウロからおよそ二千年、今は、信仰によるアブラハムの子孫である教会が待ち続けています。その人類史のクライマックスの日が近付いています。「終末の時代」、それが私たちの時代です。キリスト初臨前と同様、世界共通言語(英語)が諸国に広がりました。グローバルな交通網、情報網も整いました。

そんな時代に私たち教会の成すべきことは何なのでしょうか。

①聖書の全体を正しく理解すること

全体を貫く神の計画に沿って、聖書を理解しなければ、イスラエルや教会の存在意味と目的を見誤ってしまいます。

②反ユダヤ主義の誤りを説くこと

信仰によるアブラハムの子孫である教会が、肉によるアブラハムの子孫であるイスラエルを迫害し攻撃するという歴史に終止符を打たなければ、サタンの国を打ち破ることはできません。教会の反ユダヤ主義はサタンの思う壺です。

③ユダヤ人の救いのために祈ること

ユダヤ人の中から、メシヤを信じる人たちが起こされるように祈ることは、神の民クリスチャンの使命です。神の民ユダヤ人には、「アブラハム、イサク、ヤコブの神」が直接語り掛けてくださることが多いようです。教会の祈りの成果だと思います。

④教会とユダヤ人の和解のために実際に行動すること

ユダヤ人の救いと共に、教会との和解のために実際に行動すること、それが「終わりの日」に近付いた時代のクリスチャンの急務だと思います。迫害されているユダヤ人のイスラエル帰還や貧しいユダヤ人の生活を支えることもその一つです。

史上最大の喜びの日を待ち望み、
主のお働きに連動していきましょう

アブラハムの子孫イスラエルを祝福する者は祝福されると約束されています。日本の祝福のために、イスラエルを祝福しようではありませんか。その考え方は主の御心にかなったことだと思います。両者への主の祝福は一つだからです。パウロの異邦人伝道もユダヤ人の救いのためだったのと同じです(ロマ11:13、14)。

主は契約に忠実な方です。日本の教会も、主の働きを敏感にとらえ、それに連動した働きをする時に来ています。教会とユダヤ人の和解は進んでいくことでしょう。多くの教会やクリスチャンがこの働きに参加することを願わずにはおれません。歴史上、最大の歓喜の日が近付いているのですから。

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