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ティーチングレター

困難な時代に神から与えられる特質 -後編-

TEXT: レベッカ・J・ブリマー [BFP国際会長]

前編では、神から特別に語られた4つの特質のうち、「知恵」と「勇気」について学びました。今月はさらに「忠実」と「愛」について学びを進めましょう。

忠実

米国ユダヤ人委員会の名誉会長だったバーナード・レズニコフ博士(ユダヤ人)と交わした会話が深く印象に残っています。おじいちゃんのような温かい人で、私は博士をバーニーと呼んでいました。

彼は、ユダヤ人とクリスチャンの対話の重要性についてよく語っていました。博士は、クリスチャンの考え方を知りたいので、クリスチャンの会話に聞き耳を立てていると言いました。その結果、クリスチャンが議論しているのは、「携挙は起こるのか」とか、「救いは永遠に確定しているのか」というような、神学的なものが多いと指摘しました。私は、ユダヤ人博士がクリスチャンの論点をよく知っていることに驚きました。しかし、バーニーは、さらにショックなことを言いました。ユダヤ人社会ではそのような議論はないと言うのです。私は「でも、ここイスラエルには、さまざまな分野についての議論がなされ、もし二人のユダヤ人がいれば、三つの意見があるという冗談さえありますよ。」と反論しました。

バーニーは、私が誤解していることに気付き、例え話で説明してくれました。「もし、私がトーラー(モーセ五書)を読み、安息日を聖なるものとして守り、理解したいと思うとします。その場合、私はまず真っ先に安息日を守っている人を探すでしょう。その箇所をどう信じているかなどとは尋ねません。どのように安息日を守っているか聞きます。」それから、彼は私の記憶に永遠に残る言葉を言いました。「ベッキー、率直に言うと、もし信じていることを実際に行っていないのなら、彼らが何を信じているかなど、私は全く興味を持たないよ。」

信仰(faith)は 忠実(faithfulness)を生む

後に、ヘブライ語を学んだことで、バーニーの考え方がどこから来ていたのかを知りました。ヘブライ語では、「信仰」と「忠実」は同じ語源からできています。また、「アーメン」「確かめる」「信頼する」などにも同じ語根が入っています。同じ語源を持つ言葉には、「契約」「協定」「条約」などもあります。信仰を持つならば、その人は忠実であり、契約を守る人であるという考えです。

「信仰」(faith)と「忠実」(faithfulness)は、英語でも関連していますが、私はなぜか「信仰」を内なる現実として見ていました。それは、私の信じること、または考える思考の範囲に留まっていました。私にとって「忠実」は、全く異なる概念でした。どちらかというと、忠実という言葉は、私が何をしたかということに関係がありました。しかし今イスラエルに住み、ヘブライ語から聖書を理解するようになって、この二つの言葉が、片方が欠けては、もう一方は成り立たないほど密接に関連しているということが分かりました。

ヤコブは信仰と行いの概念について、次のように語りました。「私の兄弟たち。だれかが自分には信仰があると言っても、その人に行いがないなら、何の役に立ちましょう。そのような信仰がその人を救うことができるでしょうか。もし、兄弟また姉妹のだれかが、着る物がなく、また、毎日の食べ物にもこと欠いているようなときに、あなたがたのうちだれかが、その人たちに、『安心して行きなさい。暖かになり、十分に食べなさい』と言っても、もしからだに必要な物を与えないなら、何の役に立つでしょう。それと同じように、信仰も、もし行いがなかったなら、それだけでは、死んだものです。

…私たちの父アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげたとき、行いによって義と認められたではありませんか。あなたの見ているとおり、彼の信仰は彼の行いとともに働いたのであり、信仰は行いによって全うされ、…たましいを離れたからだが、死んだものであるのと同様に、行いのない信仰は、死んでいるのです。」(ヤコブ2:14-17、21-22、26)。

信仰がしっかりと心に根付いていない人は、その人の行いにおいて忠実でないことがしばしばあります。しかし、真の信仰者は、その行いで忠実さを示します。BFP(ブリッジス・フォー・ピース)の創始者であるG・ダグラス・ヤング博士は、自身の著書『聖書辞典』の中で、こう著しています。「クリスチャンになるためには、神を信じなければならない。神に対する信仰と信頼を持つ必要がある。またクリスチャンとして生きる中で、行いにおいても忠実さを示す必要がある。それは『御霊の実』(ガラテヤ5:22-23)として知られる、神から与えられる九つの特質の一部である。」

忠実は神の栄光を表す

イエスは言いました。「このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせ、人々があなたがたの良い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。」(マタイ5:16)。イエスは「あなたが信じているものについて議論しなさい」とは言わず、「良い行いで私たちの忠実さを表すことが神に栄光をもたらすのだ」と言われました。非常に興味深いポイントです。私たちの心と思いが信仰で満たされ、私たちの「忠実」な行いが、この世に対して神を証しするものになりますように。「私たちが滅びうせなかったのは、主の恵みによる。主のあわれみは尽きないからだ。それは朝ごとに新しい。『あなたの真実は力強い。』」(哀歌3:22-23)

「愛」というと、ひとりの律法学者から質問されたときのイエスのことばを思い出します。「すべての命令の中で、どれが一番たいせつですか。」(マルコ12:28)「イエスは答えられた。『一番たいせつなのはこれです。「イスラエルよ。聞け。われらの神である主は、唯一の主である。心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。」次にはこれです。「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。」この二つより大事な命令は、ほかにはありません。』」(29-31)

この問答は、ユダヤ人にとって歴史的な出来事でした。ユダヤ人律法学者が、ユダヤ人指導者であるイエスのもとにやってきて、戒律について質問しました。そこでイエスは、ユダヤ人の信仰と実践についてよく知られた聖句を引用して応えました。それは、シェマー(聞け)から始まる申命記6章4-5節レビ記19章18節のみことばです。ここでイエスは何を言おうとされたのでしょうか。私たちが心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして熱心に神を愛するならば、神の道に従う選択をするでしょう。また、私たちが隣人を愛するなら、隣人に対して罪を犯さないようにするでしょう。

ユダヤ的思考

愛について、ユダヤ人がどう理解しているかを知るために、ユダヤ人の著作物を見てみましょう。ラビ・アキバ (2世紀) とヒレル (1世紀) は、「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい。」が、トーラーの基本であると教えています。「My Jewish World (私のユダヤ世界)」の著者らは、「この命令は、異邦人を含むすべての人に対して、ユダヤ人として生きる責任を説いている。」と言っています。ラビ・アキバがローマ人によって殺されたとき、その激しい苦痛の中で、シェマーを静かに唱えたとタルムードにあります。たとえ命を失ったとしても、心から神を愛するとは、それほどの意味があると彼は信じていました。彼は、唇にシェマーを携えて亡くなりました。

アブラハムが律法のすべてを守ったとするタルムードについて、ある学生が「当時はまだトーラー (モーセ五書) が与えられていなかったのに、そんなことがどうやって可能なのか」と、ユダヤ人説教者に質問しました。「必要なことは、神を愛することだけです。今あなたが何かをしようとしたとします。もしその行いが愛を減少させるものなら、それは罪であることが分かります。そして、しようとしていることが愛を増加させる行いならば、それは神の御心を守ることだと分かるでしょう。これが、アブラハムがしたことです。」と彼は答えました。

マイモニデス(12世紀のユダヤ人哲学者)は、「『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。』とは、自分が尊ばれたいと願うほどに、その人を尊ぶようにという意味である。誰でも、他者の屈辱を喜ぶなら、あなたへの将来の割り当てはない。」と記しています。

ラビ・サムソン・ラファエル・ハーシュ (19世紀) は、「神を愛するとは、神を通してのみ、人生に価値があると認識することである。私たちはトーラーを愛し、その戒めに応じることによって、神を愛する。神に対する忠実さよりも大切なものはない。」と記しています。

愛の定義

ヨハネは、言います。「愛する者たち。私たちは、互いに愛し合いましょう。愛は神から出ているのです。愛のある者はみな神から生まれ、神を知っています。愛のない者に、神はわかりません。なぜなら神は愛だからです。」(第I ヨハネ4:7-8)。イエスは、これこそが本物の愛であると弟子たちに教えました。「あなたがたに新しい戒めを与えましょう。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。もし互いの間に愛があるなら、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、すべての人が認めるのです。」(ヨハネ13:34-35)

今日、あなたが直面している困難が、特殊な問題であるならば、ぜひ、主に尋ね求めてください。この挑戦的な状況の下で、主が私たちをどのように生かしたいと願っておられるのか、新たな導きを与えてくださるように求めてください。この困難な時代に必要な、神から与えられる特質である「知恵」、「勇気」、「忠実」、「愛」で皆様が満たされますように。

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