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わが心の故郷、エルサレム -前編-

レベッカ・J・プリマー/BFP国際会長(CEO)

あなたは「エルサレム」という言葉を聞いたとき、どんなことを思い浮かべましたか。

メシア、イェシュア(キリスト・イエス)の再臨の時に、オリーブ山が真っ二つに裂けることを思い浮かべた方もおられるでしょう。

「その日、主の足は、エルサレムの東に面するオリーブ山の上に立つ。オリーブ山は、その真ん中で二つに裂け、東西に延びる非常に大きな谷ができる。山の半分は北へ移り、他の半分は南へ移る。」(ゼカリヤ14・4)

過去の戦争とこれから起こる戦いのことを思う方もおられるでしょう。もしかすると、ゼカリヤ書12章3節の預言を思い出されたかもしれません。そこに は、すべての国々が集まって、エルサレムに向かって攻めて来ると書かれています。

「その日、わたしはエルサレムを、すべての国々の民にとって重い石とする。すべてそれをかつぐ者は、ひどく傷を受ける。地のすべての国々は、それに向かって集まって来よう。」

エゼキエル書(40-47章)で預言されている、神殿の再建を思い浮かべる方も多いと思います。あるいは、近年、テロリストたちの攻撃によって、エルサレムが直面している混乱について考えられたかもしれません。また、イェシュアが弟子たちにご自身の再臨の前兆について語られたときのことを思い出されたかもしれません。イェシュアは言われました。

「異邦人の時の終わるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。」(ルカ21・24b)

「エルサレム・デイ」の様子

多くの聖書学者たちは、この預言は1967年6月7日、ユダヤ暦の第2の月(イヤール)の28日に成就されたと信じています。そのとき、エルサレムは再びイスラエルの統治の下に戻ってきました。昨年2007年、イヤールの28日は5月16日で、40周年の記念行事がありました。この毎年の祝日は、「エルサレム・デイ」と呼ばれています。町の通りは音楽、ダンス、そして人々の幸せな顔で満ちあふれます。人々はイスラエル国旗を振り、喜びと共に、通りの端から端まで祝祭のパレードを繰り広げます。

エルサレムで、イスラエルの預言者たちの語った預言が、今まさに成就しようとしています。また、イェシュアのみことばは、私たちの目の前で生き続けています。確かにそのような重要な時代を私たちは、今生きています。

私がエルサレムのことを思い巡らすとき、これらすべてのこと、そしてそれ以上のことをも深く考え込んでしまいます。過去17年間、私はエルサレムに住み続け、このエルサレムを思うとき、やはり私の心の故郷としてのエルサレムに想いを馳せるのです。

エルサレムの重要性

エルサレムはとても独特な町です。世界中でエルサレムのような場所はほかに類を見ません。あなたがエルサレムへ行くときには、いつもエルサレムへ「上って」いるということをご存知でしたか。

もしあなたがヘリコプターでエルサレムの上空を飛んでいて墜落したとしても、あなたは降下しながらそれでもなお、「エルサレムへと上っている」のです。

古代エルサレムは、地理的にも都市としても特別な特徴を示すものは何もありませんでした。そこは海岸沿いの重要な商業ルートから外れていましたし、主要な水源地もなく、単にギホンの泉があるだけでした。軍隊にとっても、敵を征服するための重要な拠点ではありませんでした。それにもかかわらず、エルサレムは聖書と世界における歴史的出来事で満ちあふれています。事実、「エルサレム」の名は聖書では、総計811回(旧約聖書では667回、新約聖書では144回)記載されています。しかし、興味深いことに、コーランには「エルサレム」の名は一度も出てきません。それに加えて、学者たちはエルサレムへの詩的、または描写的名称が聖書の中に70以上あると言っています。ヘブライ語で「イェルシャライム」(ヨシュア記10章1節。最初にこの名で記載)は、「平和の都市」を意味し、天のエルサレム、そして地のエルサレムを現す複数形で終わっています。このようにエルサレムは二重の平和を意味する都市です。

エルサレムが中心に描かれた
古代地図のコピー

中心地であるエルサレム

エゼキエルは、エルサレムを世界の中心として語っています(エゼキエル38・12)。もしあなたがイスラエルのポスター屋に入るなら、エルサレムが世界の中心であることを示す古代地図のコピーを見つけるに違いありません。

エルサレムはユダヤ人にとって特別に重要な意味をもつ都でした。およそ2千年もの間、民族の離散を繰り返す中にあっても、過越の祭りの時には、毎年ユダヤ人は「来年こそはエルサレムで」と祈り続けてきました。聖書全体を通して書かれていることは、ユダヤ人が神によって、神の特性を表わすために、地上のすべての民族の中から選ばれた民族であるということです。そして、エルサレムは歴史を通してユダヤ人に最も愛された都でもありました。エルサレムで最も愛された人物の一人である、テディ・コーレック前市長は言っています。

テディ・コーレック前市長
Israelimages.com/Dan Porges

3千年もの間、エルサレムはずっとユダヤ人の希望であり、憧れの中心でした。人物や歴史や文化、そして宗教的に、このように卓越した役割を果たしてきた都市はありません。幾世紀にもわたって流浪の民となっていたユダヤ人は、例えどの地にあろうと心の奥深くにエルサレムが消え去ることはありませんでした。それはユダヤの歴史の中心地として、昔の栄光の象徴として、聖霊のあふれる場所として、そして現代における再建の地として、生き生きと思い起こされてきました。ユダヤ人の歴史を象徴するたった一つの簡単な言葉を、そう、ユダヤ民族の心と魂が思い起こすたった一つの言葉をあなたが求めるなら、その言葉こそ『エルサレム』です」

エルサレムはまた、神にとって特別の意味をもっています。神はこの都市を、神ご自身が住まわれる地として選ばれました。聖書のことばのいくつかは、神は地上のほかのどの場所よりもエルサレムを愛しておられることを明らかにしています。

「主がご自分の名を置くためにイスラエルの全部族の中から選ばれた都、エルサレム……」(Ⅰ列王14・21)

「『わたしの民を、エジプトの地から連れ出した日からこのかた、わたしはわたしの名を置く宮を建てるために、イスラエルの全部族のうちのどの町をも選ばず、また、わたしの民イスラエルの上に立つ君主とするためにどんな人も選ばず、ただ、エルサレムを選んでそこにわたしの名を置き、ダビデを選んでわたしの民イスラエルの上に立てた。』」(Ⅱ歴代6・5-6)

オリーブ山から旧市街を望む
Israelimages.com / Hanan Isachar

クリスチャンはエルサレムを聖なる都と考えています。なぜら、エルサレムは聖書の中で起きた多くの出来事や、イェシュアご自身が生活された場所だからです。エルサレムは聖なる地として、人々の巡礼の重要な目的地でもあります。私の父は、グループを連れてイスラエルに67回も来ました。父は人々のイスラエル体験のハイライトとして、いつも最後にエルサレムを残しておきました。

私は、父が巡礼者たちに古い歌を歌いながら案内していたことを思い出します。「われ、シオンを歩み行かん。うるわしき、うるわしきシオン。われ、シオンを歩み上らん。うるわしき神の都」――、多くのクリスチャンたちが、初めてエルサレムを訪れたとき、この都エルサレムに信じられないほどに愛を感じ、「故郷」にいるように感じます。

エルサレムは、今日のイスラム教徒にとっても重要な地であり、彼らにとっては、第3番目の聖なる都と見なされています。この町とイスラム教との関係について考えてみましょう。エルサレムはコーランには全く登場しない町です。イスラム教徒が自分たちとこの町を結び付けるのは、マホメットがバラクという名の翼のついた馬に乗って、夜の天空を駆ったという伝説に基づいています。その馬は彼を、「聖なるモスク」から「最果てのモスク」へ連れていったということですが、コーランによればその旅は預言者マホメットの夢の中で、ほんの一瞬のうちに起こったものだということです。そしてイスラム教徒によると、はっきりと名前が書かれていないにもかかわらず、この「最果てのモスク」がエルサレムだというのです。

「最果てのモスク」にしばらく留まった後、マホメットは第7天国へ至り、そこでアブラハム、イサク、ヨセフ、モーセ、イエスに迎えられ、神の最後の預言者となるべく、彼らから油注ぎを受けたといわれています。現実には紀元632年に死ぬまで、生涯においてマホメットがエルサレムの地に立ったことは一度もありませんでした。その6年後の紀元639年に、カリフ・オマールがエルサレムを征服しています。

ラマダンに祈るイスラム教徒
Israelimages.com/Garo Nalbandian

イスラム教徒が神殿の丘を聖地とする根拠は、ただこの伝説のみによるのです。イスラム教の初期においては、その教えの中にユダヤ教とキリスト教の要素がいくらか取り入れられていました。そのころのイスラム教徒は、エルサレムに向かって祈りを捧げていました。しかし、中東のユダヤ人がマホメットの新しい宗教を受け入れないと分かると、祈りの方角をエルサレムからメッカに変更したのです。

著名なアラブ人地理学者のヤクットは、彼が著した辞典(紀元1225年)の中で、エルサレムについて、「ユダヤ人とキリスト教徒の聖地」と書いており、イスラムの聖地はメッカであると明記しています。しかし今日、エルサレムはイスラム教第3番目の聖地といわれており、この都がイスラムにとっても非常に重要であるがゆえに、イスラムと分かち合う必要があるというのが、世界的な認識となっています。

次号後編では、将来メシアが再び来られる都であるエルサレムについて、その今日の状況と、また、これから後の大きな希望について学んでまいりましょう。

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