ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 165 エルサレムの暑い夏
エルサレムは気温32-34度、暑い夏を迎えています。世俗派のバルカット市長と、正統派ユダヤ教徒の対立、ティシャ・ベアブ(神殿崩壊記念日)に予定されているデモなど、町は常に動いています。
観光客の伸び悩みが続いていますが、エルサレムは世界で訪れたい町の17位に入りました。
東エルサレムの建築凍結へ、アメリカがさらにイスラエルに圧力をかけています。西岸地区23カ所の違法な開拓地から、約1,200人を強制的に撤退させるため国防軍は準備をすすめています。
第二次レバノン戦争から3年目を迎えました。南レバノンで大きな爆発があり、ヒズボラが蓄積していた武器ではないかと言われています。
神よ。なぜ、いつまでも拒み、
あなたの牧場の羊に御怒りを燃やされるのですか。
どうか思い起こしてください。
昔あなたが買い取られた、あなたの会衆、
あなたがご自分のものである部族として
贖われた民を。
また、あなたがお住まいになったシオンの山を。(詩篇74:1-2)
エルサレムは今夏真っ盛り。30度以上のかんかん照りの日が続いています。その中で熱く怒っているユダヤ教徒たちがいます。
夏と言えば神殿崩壊記念日。今年は7月30日(木)にあたります。毎年のことですが、この日、あえて神殿の丘へ入ろうとするユダヤ教徒(一部の過激派)がいます。(写真・神殿の丘入り口)
神殿の丘はイスラム教徒が管理しているので、ユダヤ人が入るということは危険な行為になります。特に今年は、同時にアメリカに対するデモへの参加も呼びかけられており,祈りが必要です。
アメリカのオバマ政権は徐々にイスラエルに対して厳しい態度をとりはじめています。先週は、東エルサレムにユダヤ人実業家モスコビッチ氏が建てようとしているマンションの建設を凍結するよう圧力をかけてきました。予定されているデモはこれに対するものです。
現在エルサレムは東西ともにイスラエルの主権下に置かれています。しかし実際は東エルサレムに住んでいるのはパレスチナ人がほとんどでユダヤ人は住んでいません(きわどいところに隣接して住んでいるユダヤ人はいます)。(写真・東エルサレム)
パレスチナ側の主張は、将来パレスチナ国家ができる場合、東エルサレムを首都にすると言っています。そのため、東エルサレムにユダヤ人のマンションがあってはややこしくなるのです。
しかしネタニヤフ首相は、今回のアメリカの圧力について「驚き」であると語りました。首相によると、オバマ大統領との会談で、「エルサレムは入植地ではない。エルサレムについては話し合いの余地はない(分割はしない)。」とはっきり伝えたということです。
問題のマンションは、元ホテルであった物件を1985年にモスコビッチ氏が購入していたもので、法律的な権利に問題はありません。
デモは30日、11:30に集合、13:30に神殿の丘へ突入予定です。今年は昨年より参加者が多いと主催者は予想しています。
昨年新しくエルサレム市長となったバルカット氏は、ビジネスマン出身の世俗派です。7月中旬、エルサレムの正統派ユダヤ教徒の住む地区メア・シャリームの駐車場を安息日にも解放しようとしました。
これに反発したユダヤ教徒たちが、路上でごみを燃やすなどのデモ行為を行い、警察と衝突し、逮捕者も多く出た模様です。この影響で、市内のバスが路線変更を強いられ、ひどい交通渋滞になるなどの影響が出ました。
さらに先々週、5歳になる息子を餓死させようとした正統派の母親のことが、餓死寸前の子どもの写真とともに新聞に掲載されました。この母親は、他の子どもも餓死させようとした疑いがあります。
これに対し、行き過ぎた報道などとして、正統派の路上での暴力的な抗議活動が再燃しました。正統派の動きに対し、エルサレムはメア・シャリームからごみを収集しないなどの「制裁」を行っています。そのため、メア・シャリーム内はごみが散乱し、不安定な空気が漂っています。
先週、エルサレム市は、この母親をとりあえず釈放し自宅軟禁としました。この対応で、現在さわぎは少し収まっています。現在母親は精神鑑定を受けています。
エルサレムの一部のユダヤ教徒たちは熱く怒っていますが、一般の市民は夏を楽しんでいます。ダビデの塔ミュージアムでは、音と光のスペクタクラーと称して、エルサレムの歴史ショー(45分)が行われています。
既存の遺跡を最大限に利用して映像を駆使し、見応えのあるショーになっています。入場料は50シェケル。子ども連れなどの市民で、夜遅くまでにぎわっています。ミュージアムを出てすぐのヤッフォ門では、アートなどの夜店が遅くまで出店し、にぎわっています。
エルサレムの中心地ではレストランの屋外テーブルが満員、巨大なモールも家族連れで混み合っています。暑いので、クーラーのきいているモールが人気のようです。
モールのフードコートでは、中華や日本食も30シェケルくらい(700~1,000円まで)で夕食が食べられます。日本人に比べて食べる量が多く、若い女性でも日本人の2倍くらいは食べています。(写真は小盛りにしてもらったもの)
夏物のセールも行われています。値段は質の割には高いという印象です。50%引きとか1枚買えばもう一枚ついてくる、といった内容です。Tシャツは、最低でも50シェケルぐらい(1,200円程度)。
全国の大きなホテルではプールを開放し、そこでマッサージやエステを利用する人を多く見かけます。暑さをさけてこの時期に休暇(2~3週間)を取る人が多く、海外へ出かけている人々もいます。
マカビー・ゲームとはユダヤ人独自のオリンピックです。1931年に始まり4年ごとに行われており、今年は7月13~23日に行われました。開催地は毎年イスラエルで、世界中のユダヤ人選手が参加します。今年も7,000人の選手が参加しました。
元々は自転車でシリアまで行くとか、シナイ半島を越えてエジプトに行くなどの競技が行われていました。今は水泳など普通のオリンピックと同じ競技が行われています。「マカビー」とは、紀元前165年にシリアの圧政からイスラエルを解放した勇敢なマカベア一家(父親と5人の息子たち)にちなんだものです。
現在、夏休みシーズンですが、観光客の姿はまばらです。しかし、トラベル&レジャー誌が行った調査によると、エルサレムは訪問したい都市の17位にあがりました。(1位はパリ)
イスラエル観光局は北米からの観光客誘致キャンペーンに1億5000万シェケルを計上しました。アメリカのワシントンDCでは20日、CUFI(Christian United For Israel)という福音派クリスチャンの集会が行われ、4,000人が参加。イスラエル政府の観光相のほか、在米イスラエル大使も参加しました。
代表のハギー牧師は全米の福音派クリスチャンにイスラエルを訪問するよう呼びかけました。CUFIは毎年イスラエルでカンファレンスを持つことになっています。ハギー牧師は今後観光局政府高官らと定期的に会議を開き観光客アップに努めます。
観光相はこのあとカトリックの指導者たちとも会談をもちました。2010年にはカトリックもイスラエルで大きなカンファレンスを持つ予定です。
15日、南アメリカ(ブラジル・アルゼンチンなど)から150人の新移民者が、ユダヤ機関とエルアル・イスラエル航空の協力でイスラエルに到着しました。
南アメリカではシナゴーグが爆破されるなど反ユダヤ主義行為が悪化していています。政府はこの夏中に南アメリカからの移住を15%アップさせたい考えです。
また23日にはフランスから200人が到着しました。ユダヤ機関は、この夏、新移民者をつれてくるためのフライトを20本計画しており、アメリカ、カナダ、南アメリカやフランス、イギリスなどから約3000人をつれてくる予定です。
ユダヤ機関はこのほかの方法でくる新移民者も含めて5000人が到着すると予測しています。全体として昨年より移民者数が15%のびると予想しています。
イスラエル国防軍は、西岸地区に違法に建てられた開拓地(Outpost)23カ所を撤去する準備をはじめています。実行されれば1,200人が強制的に撤退させられることになります。国防軍では1日で成し遂げることができるよう準備を進めています。
西岸地区周囲に巡らされている防護壁を撤去するよう国際社会から圧力がかかっています。パレスチナ自治政府のアッバス議長は「最近テロは起こっていないではないか。壁を撤去するべきである。」と語っています。
ネタニヤフ首相は「たしかにテロは減っている。しかしそれは壁があるからだ。」と返答。議論は平行線となっています。ネタニヤフ首相によると、イスラエルがもし壁を撤去するとしたら、以下の条件が満たされたときになります。
ネタニヤフ首相の息子であるヤエルさん(18歳)が兵役に就きました。
3週間の基礎訓練のあと、軍の報道課所属となる予定です。国防軍では唯一プライベートルームで、ガードマン付きとなります。ネタニヤフ首相には、他の息子アブネルさん(すでに結婚)と、前妻との間に娘のノアさんがいます。
2006年の第二次レバノン戦争勃発からちょうど3年目の14日、南レバノンで大爆発がありました。ヒズボラが蓄積してきたカチューシャロケットなどの武器がなんらかの原因で爆発炎上した模様です。
負傷者はありませんでしたが、周辺の住民はイスラエルの攻撃ではないかと一事騒然となりました。イスラエルは、ヒズボラがイランやシリアからの支援で武器を蓄積してきたことの証拠と位置づけています。これに対し、ヒズボラは、イスラエルが戦争中に打ち込んできた不発のクラスター爆弾が爆発したのだと反論しています。
報道はなされていませんが、レバノン国境付近のイスラエルの町には今もロケット弾の攻撃が散発しています。
南レバノンとイスラエルの国境付近にいるイスラエルの牛たちが、国境を越えてレバノン領内の池で水を飲んでいることが問題になっています。
この地域を守っているのはスペインとインドの国連軍。以前にもイスラエルの牛が国境を越えてきたためスペイン軍が発砲、牛と軍隊との衝突がありました。スペイン軍とインド軍はイスラエルの牛がレバノンの池に来ないように防護壁を作ることを提案しています。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
画像提供:www.israelimages.com、Isranet他
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