ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 152 緊張の幕開け
アメリカの大統領選挙がオバマ氏の勝利に終わりました。正式な就任は来年1月20日です。
それまでの2ヶ月の間に、イスラエル・イラン・シリアなどを巻き込む戦争やアルカイダが関係するテロが勃発する懸念があります。
イスラエルでは来年2月の総選挙まで、オルメルト氏が首相職を続けることになりました。エルサレム分割を含め、1967年以前のイスラエル領まで撤退するべきと爆弾宣言し、右派左派ともにショックを受けています。
来年初頭まで、緊張の期間が幕開けとなりました。イスラエルに平和が保たれるように今までにも増して祈るときがきたようです。
(写真:キャンペーン中にイスラエルを訪問したオバマ氏とリブニ外相)
わたしは、わたしの勝利を近づける。
それは遠くはない。
わたしの救いは遅れることがない。
わたしはシオンに救いを与え、
イスラエルにわたしの光栄を与える。(イザヤ46:13)
11月4日、米国の大統領選挙で、民主党のオバマ氏が第44代アメリカ大統領に選ばれました。現在、来年のオバマ政権発足に向けて準備が進められています。金融危機対策の他、イラクへ派遣中の米軍撤退、アフガニスタンへの増兵など、「変革」を明言するオバマ氏に世界中が期待を寄せています。
米国初の黒人大統領として、歴代大統領の誰よりも暗殺の危険を抱える大統領でもあります。期待が大きい分、期待が裏切られた場合の落胆は世界に大きな影響を与えることになります。オバマ氏が守られ、世界に実質的な平和と繁栄に貢献する知恵が与えられるように祈る必要があります。
オルメルト首相はオバマ氏に電話で勝利の祝辞を述べ、中東政策に置いて今後もイスラエルの治安を優先することを確認しました。
昨年11月、ブッシュ大統領の呼びかけでアナポリス国際中東和平会議が開かれました。会議の取り決めでは、2008年末までにイスラエルとパレスチナ二国家設立のめどが立っているはずでした。両者は1年間交渉を続けてきましたが、予想通り実質的な成果は得られませんでした。
9日、シャルム・エル・シェイク(エジプト)において、イスラエルのリブニ外相、パレスチナ自治政府のアッバス議長、EU(ヨーロッパ連合)、UN(国連)、アメリカ、ロシアの代表が会議を行いました。両者が交渉のテーブルについただけでも成果があったとして、今後もイスラエルとパレスチナ直接対話を継続し、国際社会が見守っていくことで合意しました。
オバマ氏は今のところイスラエル支持の方針です。しかし、イランに対しては、制裁措置を継続するとしながらも、直接対話路線を表明しています。
イスラエルのリブニ外相は、中東ではいったん制裁措置をとりながら対話することは、弱腰に見られるとしてオバマ政権に牽制する発言をしています。
10日、リブニ外相はオバマ政権では副大統領になるバイデン氏に電話し、イランに対しては強い姿勢で臨み、これまでの協調体制を崩さないでほしいと要請しました。
オバマ氏が正式に大統領に就任するのは来年1月20日です。新アメリカ大統領のイランへの方針が柔軟すぎる場合、新政権が正式に発足するまでの2ヶ月までの間に、イスラエルがイランの核兵器開発疑惑工場を攻撃する可能性があります。
実際にイランが核兵器開発を成功させ、イスラエルを攻撃するといったリスクを背負うことができないからです。これを受けて、イランもまたイスラエルを先制攻撃すると発言しており、緊張が高まっています。(写真:イスラエル空軍機)
オバマ氏はイラクに派遣している米軍を撤退させ、イラク戦争を終結させると公約しています。具体的にはイラク政府強化をはかりながら、2カ月に1旅団(1500~4000人)撤退させ16カ月後の2010年夏までに完全撤退させるという計画です。
イラクではこの10月、治安の改善がみられており(米国軍兵士死者13人/9月25人、イラク人死者278人/9月359人)、オバマ氏の方針に追い風となっています。
オバマ政権は、イラクから米軍を撤退させ、その分アフガニスタンに増兵を計画しています。アフガニスタンでは、近年隣国パキスタンで力を回復したタリバンが徐々に勢力を盛り返しており、急激に治安が悪化しています。
タリバンとアルカイダは密接な関係にあるため、アフガニスタンが再び世界を脅かすテロ組織の温床になりはじめているということです。
オバマ氏は、アメリカが掲げるテロとの戦いの根元、オサマ・ビン・ラディンとアルカイダのネットワークを壊滅させることに専念する方針で、アフガニスタンへの増兵もその一環で行われます。
10月26日、米軍はイラクとシリアの国境に潜伏するアルカイダの指導者3人を空爆で殺害しました。イラクに侵入する外国人テロリストを防止する事が理由とされています。
ニューヨークタイムスによると2004年以降、アルカイダ他テロ組織に対するこのような特殊部隊の攻撃が10回以上行われていたことが報じられています。今回の攻撃はシリア領内で行われており、民間人も巻き添えになったため、公になりました。シリアの首都ダマスカスでは、アメリカに対する強い抗議デモが行われています。
あまり表だった報道はなされていませんが、アルカイダの活動はシリア、パキスタン、イエメン、サウジアラビアなど15~20ヵ国で活発になっており、9月11日以上に大きなテロをおこすと の予告があると報じられています。
対イラク政策、アフガニスタン政策ともに、イスラエルの治安に大きく影響するため、イスラエルはオバマ氏の政策を注意深く見守っています。
BFPではCEOのレベッカ・ブリマーに「食料を備蓄せよ」という主から啓示があり、北部カルミエルに350トンの食料が備蓄されています。
これからの世界情勢を描いた「エピセンター」でベストセラー作家となったクリスチャン作家ジョエル・ローゼンバーグ師のジョシュア・ミニストリーでも同じ事が示され、イスラエルに食料の備蓄をはじめたとのことです。ローゼンバーグ師も来年オバマ政権就任までの1カ月半が危機的な時であるとして、現地に祈りのチームが派遣されています。
http://flashtrafficblog.wordpress.com/
オバマ政権で、大統領主席補佐官に選ばれたのがユダヤ人のラーム・エマニュエル氏です。エマニュエル氏はイリノイ州出身ですが、父親はユダヤ人の小児科医で、現在はエルサレムに住むイスラエル人です。
エマニュエル氏も湾岸戦争の時には民間ボランティアとしてイスラエル国防軍に従軍したことがあります。クリントン政権下で上級補佐官として活躍しました。
またオバマ氏は金融経済危機の立てなおしをはかるため、17人の財政顧問を選出しました。そのうちの一人が、世界長者番付の5位以内に常に入る天才投資家のウォーレン・バフェット氏(75)で、財務長官の最有力候補と言われています。
バフェット氏は2004年にイスラエルのIT関連会社イスカルにイスラエル史上最高額となる4億ドルを投資した人物です。バフェット氏はいつも親イスラエルであること、そしてイスカルへの投資は優秀なマネージメントに感銘を受けたからと語っています。
オバマ氏は、ケニア人でイスラム教徒の父親をもち、ミドルネームが「フセイン」とイスラム名が入っています。しかしオバマ氏自身は、ハワイで生まれたプロテスタントのクリスチャンだと公言しています。
オバマ氏が最近20年間通ったのは、トリニティ・ユナイテッド・チャーチ・オブ・クライストです。しかし、同教会のライト牧師が人種差別と思われる発言を繰り返し行ったため、4月以降、教会と決別しました。
当選後初めての日曜日、オバマ氏は礼拝に行かず、ジムに行っています。現在、家族とともに礼拝を守る教会を探しているところです。
リブニ氏が連立政権を立ち上げることができなかったため、イスラエルでは来年2月10日に総選挙が行われることになりました。その時まで、オルメルト首相が首相職を引き続き務めることになっています。
オルメルト首相は、9日、暗殺されたラビン元首相の追悼式において、イスラエルは平和を得るために1967年の六日戦争以前のラインまで撤退すべきと訴えました。
それはエルサレムの分割を意味します。左派の労働党ですらそこまでの撤退を口にしたことはありませんでした。オルメルト首相は西岸地区に住むユダヤ人に撤退を呼びかけています。
オルメルト首相は、来年1月にブッシュ政権だけでなく、アッバス議長の任期も切れることから、なんとか和平への道筋をつけようとあせっているのではないかと考えられています。
しかし、ラビン元首相の追悼式の挨拶で語るような内容ではなく、列席していたリブニ外相、ネタニヤフ・リクード党首、バラク労働党党首は全員不快な表情を隠していません。この超左派的発言で最も信用を失ったのはカディマのリブニ党首です。リブニ氏が主張する中道政党としてのカディマの信用が失われたと評されました。
来年オバマ政権が誕生するまでの危機的な時期を、オルメルト首相がイスラエルを導くことになります。主がオルメルト首相を支配し、イスラエルにとって最善の決断支持をするようにとりなす必要があります。
3カ月の停戦合意を破り、イスラエル軍は4日夜、ガザの領内250mまで侵攻し、ハマスの武装組織7人を殺害しました。バラク国防相は攻撃した地点にはイスラエルに続くトンネルの出入り口があり、イスラエル兵誘拐に使用されると言う情報が入ったからと説明しています。
これを受けてハマスは直ちに35発のロケット弾を発射、1発はアシュケロンに達しました。負傷者はありません。
イスラエル軍は今週もガザへの掃討作戦を行いハマスの武装要員4人を殺害しました。ライフ ル銃などの武器が押収されています。
検問所で兵役についている若いイスラエル兵がパレスチナ人に対してリンチしている映像がイスラエルのテレビで流されました。
2カ月ほど前には、酸性の液体をパレスチナ人にかけられて負傷した兵士もあり、拉致される恐怖が兵士の間に蔓延しています。最前線に立つ若い兵士たちの心の平安のためにとりなしが必要です。
今週、テルアビブ、エルサレムで市長選挙が行われました。テルアビブでは現職市長が2期目を務めることとなりました。
エルサレムでは世俗派のビジネスマン、ニール・バルカット氏が52%の票を獲得してユダヤ教超正統派のメイール・ポルーシュ氏(42%)に勝利し、新しい市長となりました。(写真右側)
選挙にはロシア系の億万長者で、これまでにイスラエルで数々のチャリティ活動を行ってきたガイドマーク氏も立候補し3位ではありましたが得票率は3.6%に終わりました。
新しい市長の任期は次の5年で、特に分割の危機にあるエルサレムのバルカット市長は重い責任を負うことになります。またエルサレムでは最近物価の上昇とともに若年層が他の町へ引っ越してしまう現象がおり、世俗派ビジネスマンのバルカット氏に期待が寄せられています。
1959年生まれの49才。生まれも育ちもエルサレムです。イスラエル国防軍ではエリートのパラシュート部隊に所属して6年間従軍し、少佐の階級を受けています。
その後エルサレムのヘブライ大学でコンピューターサイエンスを学び、コンピューターウイルスの会社で成功しました。2003年からはエルサレム市の議員として活躍していました。結婚し3人の娘があります。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
画像提供:www.israelimages.com、Isranet他
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