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プロジェクトレポート

行いによって神の愛をあらわす

TEXT. 高田篤美(B.F.P. Japan局長)

©Israelimages.com

「このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせ、人々があなたがたの良い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。」(マタイ5:16)困っている人を助ける時、皆様は、このみことばをまさに成就されているのです。

Nさんの体験

先日、パレスチナ西岸地区に住み、日本政府からの依頼を受けてパレスチナの人々の生活向上のために働くNさんという方が、事務所を訪ねてくださいました。クリスチャンとしてイスラム教徒に囲まれながら、イスラエルと複雑な関係にある西岸地区で働くのは容易なことではありません。Nさんはいろいろな証しをしてくれましたが、中でも、彼が救われた時の証しに深く感動しました。それはNさんが飢餓問題のために、初めてエチオピアを訪れた時のこと です。

「私が初めてエチオピアへ行った時、5、6歳のボロをまとった物乞いの少年が歩み寄ってきました。左手をお腹の上に置きながら右手で物をねだるしぐさをしたので、現地の言葉は分からなくても、すぐに物乞いだと分かりました。目はうつろで生気が感じられませんでした。現地語が理解できない私は、とっさに、少年のしぐさのまねをしながら、『何を言っているのか分からない』と日本語で返事をしました。

その時、うつろな少年の目が急に真剣な眼差しに変わりました。少年はあちこち破れているボロボロの服のポケットから何かを急いで探している様子でした。その姿は必死そのもので、容易に語りかけることもできませんでした。

次の瞬間、今度はすがすがしい、喜びに満ちた顔を向けてきました。『一体、何が起こっているのか…』と、少年を観察していると、静かに左手を右手の手首に添えながら、親指と人差し指に何かを挟んで私に差し出したのです。見ると、そこには1セントコインが握られていました。物乞いの少年が、物をもらおうとする人から、与える人へと変わった瞬間でした。

少年が与えた理由

一体、少年に何が起こったのか、好奇心にかられました。そこで、運転手のジョルジさんに、その真相を聞いてもらうようお願いしました。ジョルジさんによると、少年は3日もまともに食事をしておらず、お腹が減ってフラフラだったことが分かりました。家族もヘトヘトで、一家のために物乞いをしようとホテルの前に来ていたのです。そこに、私が現れました。彼の表情が突然変わったのはなぜかと聞くと、少年はびっくりしたのだと言います。なぜなら、私が少年と同じ仕草をしたので、お腹を減らしているのだと勘違いしたのです。身なりこそいいが、外国から来てお腹が減っている私を可哀想に思ったそうです。『自分も貧しいが、自分はここに住んでいる。しかし彼は違う。外から来てどんなに不安だろう……』と、大急ぎで自分が持っているはずの1セント(日本円にすれば1円にも満たない)を一生懸命探し、それを私にくれようとしたのです。私はあっけに取られてしまいました。自分が食うや食わずの生活をしているというのに、それでもなお、私の空腹を思いやることができるその心に強く打たれたのです。」

少年はさらに、Nさんにこう言ったそうです。「お父さんが毎日読んでくれる聖書のことばに、『下着を2枚持つ者は、無い者に分け与えなさい』とあります」と。Nさんは当時クリスチャンではありませんでした。それどころか、神を真っ向から否定する人で、むしろ神に逆らう人だったそうです。しかしNさんはこの出来事を通して、イエス・キリストの愛を知り、聖書のみことばを求めるようになりました。その後間もなく彼はクリスチャンのエチオピア人女性と結婚し、信仰生活を守るようになりました。この少年の行動は、Nさんのそれまでの生き方や価値観をひっくり返して余りある力を持っていたのです。

イスラエルへのインパクト

まだ10歳にも満たない子どもが、これほどの豊かさを持っていること、そしてそれをすぐに行動に移す純粋さに感動し、聞きながら涙があふれてきました。心の豊かさは、一瞬にして魂をも生まれ変わらせてしまうほどの力があるという、生きた証しでした。

BFP フードバンクで
食料の仕分けをするボランティア

私たちは常々、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)をご支援くださるお一人おひとりも、この少年と同様に魂までも変えてしまう力を持つ、本当に豊かな方々だと思っています。国の赤字がかさみ、国民一人当たり800万円近い借金を背負っている計算の日本は、今や豊かな国とは言えなくなりました。明日の安心のために、1円でも多く蓄えておきたいと思うのが人間の自然な行動です。しかし皆様はそれを超えて、イスラエルへ捧げ続けてくださっています。支援を続けるために、仕事の量を増やしたり、食事を抜いたり、ほしい物を我慢したりする方もいると聞いています。そのような尊い心が、ユダヤ人に届かないはずがありません。少年の行動が、Nさんを救ったように、皆様の行動がイスラエルの人々を救いに導いています。また、Nさんは、このエチオピアの少年を「御使いだった」と言っています。同じように、イスラエルの救いに寄与する皆様を、多くのユダヤ人が御使いだったと後になって思うことでしょう。

みことばの約束

マタイ25章34-36節、「さあ、わたしの父に祝福された人たち。世の初めから、あなたがたのために備えられた御国を継ぎなさい。あなたがたは、わたしが空腹であったとき、わたしに食べる物を与え、わたしが渇いていたとき、わたしに飲ませ、わたしが旅人であったとき、わたしに宿を貸し、わたしが裸のとき、わたしに着る物を与え、わたしが病気をしたとき、わたしを見舞い、わたしが牢にいたとき、わたしをたずねてくれたからです」と主が皆様に語られる日が来るでしょう。

さらに主は「まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです(マタイ25:40)」と言ってくださいます。イエス・キリストは、地上の家族であるユダヤ人を、涙をもってご覧になっておられます。その主の御思いをくむ皆様の行いは、義とされ、神の御前に立ち上っています。

BFPは、皆様と共に神の使節となるという特権にあずかっていることを心から感謝しています。今、オリーブライフを手に取って読んでくださっているこの瞬間も、イスラエルではBFPのボランティアたちが食料をせっせと仕分け、運び、配達しています。その食料は、イスラエル全土の帰還したての貧しいユダヤ人、やもめ、子どもたち、そしてホロコースト生存者らに届けられています。これはひとえに皆様の協力の賜物です。ある方は祈り、ある方は捧げ、ある方は身を投じてこの働きを支援してくださっています。

フードバンクから配達される食料

自分自身の必要を横に置いて、貧しさの中で苦しむイスラエルを思ってくださるその思いが、さらに実を結びますように。捧げられた食物が、余すところなく用いられますように。主がその行いを義とされ、皆様に大いなる祝福がありますように。また、主が報いてくださり、日本中に救いが起こりますように。私たちは必ずその日が来ると信じています。

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