ホーム支援するエズラ作戦プロジェクトレポートバックナンバー > 永遠に人生が変わってしまった日

プロジェクトレポート

永遠に人生が変わってしまった日

TEXT:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

「慰めよ。慰めよ。わたしの民を」とあなたがたの神は仰せられる。(イザヤ40:1)

「そのとき、僕は保育園にいました。家に帰る時間になっても、誰も迎えに来ません。先生の家に連れて行ってもらいましたが、迎えに来てくれたのはおじさんで、家に帰る代わりに病院に連れて行かれました。そこでは母の周りに親戚が集まっていたので、赤ちゃんが産まれるのかと思いました。以前母が出産時に入院したのを覚えていたからです。でもそうじゃなかった・・・。テロリストが買い物中の父と母を襲ったのです。そしてその時ふと、その場に父がいないことに気付きました。その日から僕の人生は永遠に変わってしまいました・・・。」

エリ(仮名)はこのように自身の体験を語ってくれました。彼はテロで家族を失った子どものための「コビー・マンデル・サマーキャンプ」で働いています。何年もの間、彼自身がこのキャンプに参加しており、22歳になった今、家族の突然の死に苦しむ子どもたちを助けるカウンセラーになりました。

一時期エリは父親の死がトラウマとなり、恐怖で学校に通えなくなってしまいました。そんな彼に、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)の『テロ被害者支援』が贈られていたことを知ったときは本当に驚きました。BFPは学校へ行けなくなったエリが家で勉強できるように、コンピュータを提供していたのです。あれから十数年後、はきはきとした、他者を思いやる心を持つ青年に成長したエリと会えたのは、私たちにとって大きな祝福でした。

キャンプ・コビーへの訪問

BFPは今年の炎暑の中、イスラエル北部にあるキャンプ・コビーを訪問しました。テロや戦争で親、兄弟を失った400人ほどの子どもや若者たちが、楽しく、安全な癒やしの場に集っていました。笑い、はしゃぎ、友達と時間を過ごす様子は多くのサマーキャンプと同じですが、唯一違う点はここに集う子どもたちは皆、近親者との死別、特にテロの痛みを経験しているということです。中には恐ろしいテロ攻撃で家族を何人も失った子どももおり、多くが心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでいます。

楽しいキャンププログラムの中で、子どもたちが心に満ちた痛み、恐れ、怒りに向き合っていけるよう専門家が手助けをします。セラピストは、動物やアートを使ってリラックスした環境を作り上げ、子どもたちが感情を表現できるよう手伝っています。何年もの間、BFPはこのキャンプを通じて子どもたちを支援してきました。

心に傷を負った人を助ける

BFPではテロ被害者支援を通じて、テロリストによって人生を引き裂かれた多くのイスラエル人を助けています。火傷の被害や、手足など身体の一部を失うという障害を負った人、心に傷を負った多くのイスラエル人に手を差し伸べています。実際、イスラエルで戦争やテロの被害に遭った人の数は驚くほど多いのです。

これは過去の話ではなく、悲しいことに、今でも多くのイスラエル人がガザ地区からのロケット攻撃の脅威の中にいます。ガザに隣接した南部の地区では緊急サイレンの音が日常的に鳴り響き、その音はけたたましくうねって心臓を貫き、緊張が体中を一気に駆け巡ります。皆近くのシェルターに瞬時に逃げなければなりません。

例を挙げてみましょう。8月31日の早朝、ガザ地区からのロケット弾の飛来を告げるサイレンがスデロットの町に鳴り響きました。程なく、二発のカッサムロケットが着弾。一発は民家を直撃しました。その家には家族全員が在宅しており、家は大破しましたが、ロケット弾が完全に爆発しなかったため奇跡的に人的被害はありませんでした。この家は直撃を受けたのが初めてではなく、過去にもロケット弾の直撃を受けています。その前週の金曜夜にはアシュケロンにロケット弾が着弾。その週の月曜には同じくスデロットと、シャアル・ハネゲブに二発のカッサムロケットが着弾。シャアル・ハネゲブの町では新学期のお祝いにペレス大統領が訪れていました。9月に入ってからも攻撃はとどまることなく、9日までに10発の着弾がイスラエル南部の町々で報告されています。

国境近くの小さな町、ネティボトも例外ではありません。9 月9 日、ガザ地区から中距離グラッドミサイルが発射され、ネティボトの町の民家に着弾しました。爆弾は、屋根を突き抜け、リビングルームの真ん中に落ちました。幸いけが人はありませんでしたが、住宅二戸に被害。同日、ベエル・シェバの空き地にもグラッドミサイルが落ちました。ネティボトではミサイル迎撃システム「アイアン・ドーム」の配備を国に依頼しています。この町にはBFPが支援する家族がたくさん暮らしています。現在、ある南アフリカの支援者のご厚意により、ネティボトの学校近くにシェルターの設置を計画しています。

緊迫した時代

先日、イスラエルの主要幹線道路を南へ走っていました。その時、多くの軍事車両が新しい場所へ移動していている様子を目の当たりにし、国家の安全の不安定さを再認識させられました。イスラエル軍の情報部によると20万発ものミサイルがイスラエルに向けられているということです。中東全体の情勢から、絶えず戦争の脅威が私たちを取り囲んでいることが分かります。イスラエルはこの現実から目を背けるわけにはいきません。むしろきちんと備えなければなりません。定期的な演習を行い、緊急要員のみならず一般の人々も戦争に備えています。

BFPはマゲン・ダヴィッド・アドム(イスラエル版赤十字)とも連携を取っています。彼らから、「イスラエルに来るクリスチャンに献血を依頼してもらえないか」と打診されています。イスラエルの場合、近隣諸国に血液バンクを共有してもらうことは不可能なので、緊急時に備えて十分量の血液を確保することが必須となります。BFPでは現地ボランティアたちが早速献血をして、支援を行いました。

神さまはBFPと私たちクリスチャンのチームを「このような時」(エステル4:14)のためにイスラエルに置いてくださり、「わが民を慰めよ」(イザヤ40:1)と言われます。どうぞテロや戦争が神の御手によって止められるようお祈りください。また、どうかこれらのプログラムをご支援ください。そして、ご一緒に神さまの愛をもってテロおよび戦争被害者へ手を差し伸べていただければ幸いです。

イスラエルより祝福を祈りつつ・・・。

レベッカ J. ブリマー(BFP 国際会長)

プレイズレポート

皆様からのご支援により、悲しみに暮れる子どもたちにサマーキャンプという時間を、危険に晒されている地域にシェルターを、また、BFP がエリに贈ったコンピュータのように個人的必要を満たす物を捧げることができました。

配送車
シェルター

さらに、万が一の攻撃に備え、BFP スタッフのために喜んでシェルターを寄贈してくださった方がおられます。これらのシェルターには必要なものを備え、現在所定の場所に設置されています。また、全ボランティア・スタッフのためにガスマスクも用意されています。さらに、世界中のクリスチャンからの寛大な支援を通して、2 台の配送車が与えられたことに、喜びを持ってご報告させていただきます。尽きせぬ感謝と現地の方々の大きな喜びをお伝えいたします。

ページトップへ戻る

特定非営利活動法人
B.F.P.Japan (ブリッジス・フォー・ピース)

Tel 03-5969-9656(平日10時~17時)
Fax 03-5969-9657

B.F.P. Global
イスラエル
アメリカ合衆国
カナダ
イギリス&ヨーロッパ
南アフリカ共和国
日本
韓国
ニュージーランド
オーストラリア

Copyright 1996- © Bridges For Peace Japan. All Rights Reserved.