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プロジェクトレポート

里親プログラムが結んだ絆

去る2002年3月18日、『B.F.P.Japanイスラエルツアー』のハイライトとも言うべき、「里親と里子の面会」が実現しました。すでに何年にもわたってこのBFPを支援してくださっている方々が、多くご参加くださったツアーでしたから、バスの中はおのずと興奮と喜びで日に日に盛り上がっていきました。

毎回のことですが、里親と里子のふれあいからは、すばらしい喜びの実が収穫されています。里親プログラムをとおして、イスラエル人の心に、深いいやしと慰めの御業が起こっています。

感激の対面

当日は、朝からそわそわしておられる里親の姿が印象的でした。それもそのはず、不治の病を抱え、イスラエルへの長旅は、常識的には無理であろうと言われていた方までもが、里子と面会したいばかりにツアーに参加されたのです。案の定、体調を崩したときも、「彼らに元気な顔を見せたい……」と、会いたい一心で不調を吹き飛ばしてしまいました。また、イスラエルから届いた写真を毎日見て、彼らの守りと祝福を祈っている方もいらっしゃり、まるで探し続けていた我が子に会うような気持ちで、その瞬間を待ち望んでおられました。それぞれの熱い思いが交錯し、一刻も早く……という願いが、全員から伝わってきました。

そして、とうとうその時が訪れ、里子が部屋に招き入れられました。当初彼らは、異国の地・日本から来た初対面の里親たちを見て、かなり緊張している様子でした。下を向いている方、恥ずかしそうにモジモジしている方、珍しそうに日本人を見ている方など、表情はさまざまですが、明らかに居心地が悪そうでした。

しかし、一人ひとりの名前が紹介され、その人が誰の里子であるかが発表されると、状況は一変しました。感極まった里親が、里子のもとへ走って行って、それぞれの里子を強く抱き締めたのです。里親の目には大粒の涙が光っていました。泣きながらしっかりと自分を抱きしめている日本人に、最初は驚きを隠せない様子でしたが、数分後には彼らの目にも涙が光っていました。

感慨ひとしおの里親と里子。

再会を約束して……

各自が感動の対面をする中で、ある里子が、どうしても里親を自分の職場へ連れて行きたいと言い出しました。ロシアから帰還して来た彼女にとって、言葉のわからない土地で職を得るのは、とても大変なことでした。しかし、「あなたが援助してくれたおかげで、私は安心してヘブライ語の学校へ通うことができました。そして、職を得ることができました。あなたが力を貸してくださったから得ることができたこの誇らしい職場を、どうしても恩人であるあなたに見てもらいたいのです」と、一生懸命連れ出そうとしました。

そうできればどんなにすばらしいでしょう。しかし、ツアーから一人離れて行くわけにはいきませんし、その後の予定もすでに詰まっていました。事情を話し、「また来年必ず来るから!」と固い約束をして納得してもらいました。彼女は「じゃあ、絶対に約束ですよ。来ることがわかったら、すぐに知らせてくださいね。どんなことがあっても私はここへまた来ますから……」と、手をしっかりと握り締めて、同じ言葉を何度も繰り返していました。

里子たちの疑問とねたみ

ほとんどの里子が、「自分たちが貧しいから、人間的なあわれみで援助してくれているのだろう……」と思っています。しかし、プログラムが進むにつれて、だんだんそれだけではないことに気づき始めます。なぜならこの援助には、彼らに捧げられる、「ありがとう」という言葉が付随しているからです。本来なら、援助を受けている側が言うべき言葉です。それが、逆に配給センターのスタッフ、そして、里親が、彼らに感謝の言葉を述べるのです。

今回の面会でも同様でした。里親は涙を流しながら、「サンキュー!サンキュー!」を連発していました。お互いに言葉は通じませんが、サンキューは世界共通語です。どうして彼らが自分にお礼を言うのか……。逆ではないのか……。

ローマ書11章11節から15節に、次のようなみことばがあります。「では、尋ねましょう。彼らがつまずいたのは倒れるためなのでしょうか。絶対にそんなことはありません。かえって、彼らの違反によって、救いが異邦人に及んだのです。それは、イスラエルにねたみを起こさせるためです。もし彼らの違反が世界の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのなら、彼らの完成は、それ以上の、どんなにかすばらしいものを、もたらすことでしょう。そこで、異邦人の方々に言いますが、私は異邦人の使徒ですから、自分の務めを重んじています。そして、それによって何とか私の同国人にねたみを引き起こさせて、その中の幾人でも救おうと願っているのです。もし彼らの捨てられることが世界の和解であるとしたら、彼らの受け入れられることは、死者の中から生き返ることでなくて何でしょう。」

イエス・キリストを受け入れなかったユダヤ人たちは、つまずいたかのように見えました。しかし、彼らの失敗は、異邦人が救いにあずかる、という結果をもたらしました。イエスというすばらしいお方に出会うことができた恵みを、私たちは「ありがとう!」という言葉以外で伝えることができるでしょうか。ここでパウロは「イスラエルにねたみを起こさせるため」と二度書いていますが、喜ばしいことに、この「ありがとう」という愛をとおして、ねたみが彼らの心に起こっています。

なぜこれほどまでに自分たちに熱い思いを寄せてくれるのか……。自分が何かしてあげたわけでも、かつて会ったことがあるわけでもないのに、なぜこれほどの無償の愛と感謝を表してくれるのか……。こんなにおいおいと泣きながらお礼を言われるくらい、いったい自分たちの中に何があるというのか……。さまざまな疑問が泡のように湧き上がり、里親を突き動かしているエネルギーが、何かを知りたいと思うようになります。そして、里親からあふれ出る愛の源泉が、イエス・キリストにあることを知るようになるのです。

絆が生み出したもの

「聖書を読んでみたい……」という里子が後を絶ちません。また、クリスチャンから愛を受けたという体験が、彼らの心を耕しています。そして、メシアニック・ジューから主を紹介されたとき、種が良い土壌に落ちることになります。BFPはその土壌作りに必死です。しかし、この土壌作りは、BFPが成し遂げているのではなく、皆さまのお力とお助けによって実現していることを、感謝をもってご報告させていただきます。

彼らは貧困を極めているだけでなく、テロ、経済の低迷、戦争……と、四面楚歌の状況です。四方八方が完全にふさがれている今、彼らの唯一の希望は天にしかありません。彼らに天の希望を引き続きお与えくださいますように、心からお願い申し上げます。

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