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プロジェクトレポート

パパはもう帰ってこない

文:ピーター・ファスト(BFP CEO)

ある日突然、一家の大黒柱を失う衝撃ははかり知れません。
23年10月7日、多くの妻が夫を、多くの子どもが父親を失いました。
弱い立場に置かれた彼らを、私たちは支え続けます。

10月7日のハマスのテロで愛する夫を失った女性を囲み、愛と慰めを伝えるBFPスタッフ
Photo by Michio Nagata/bridgesforpeace.com

「パパが家に帰ってこない時、お子さんにどのように伝えますか」

これは、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)でボランティアとして働く、ある母親からの質問です。ご主人が旅行へ行くことになり、数日間、3歳の娘と家に二人きりになるとのことでした。ご主人が家を空けるのは子どもが生まれてから初めてのことです。

出発前の数日間、夫妻は父親の不在に娘が備えられるよう最善を尽くしました。「パパがどこにいるかを伝え、ビデオ通話も計画しました。パパが帰ってくるまでのカウントダウン表も作成しました」と彼女は振り返ります。「娘がパパを恋しがるのは分かっていたし、質問されることも、涙を流すことも想定内でした。でも、その悲しみの深さについては全く考慮していませんでした」

娘は毎日午後になると、パパの帰りを待ちわびて玄関のドアの前に立ち続けました。就寝時にはすすり泣き、毎朝ベッドから飛び起きるたびに必死に部屋中を探し回り、失望の涙に暮れました。

「パパはいつ帰ってくるの? お迎えに来るのはいつ?」。そう言って泣きじゃくる娘を抱き締めながら、母親はこう約束してなだめました。「あと3回眠ったらよ。その次は2回。そうしたら次の日、パパは帰ってくるわ」

静かな夜明けを迎える中、母親は目を覚ますと、ある思いが頭から離れなくなりました。「娘は『もうすぐパパは帰ってくる』と確信できる。でも、『もう二度と帰ってこない』と答えなければならないイスラエルの母親たちは、どうすればいいの……」

目の前にある喪失という現実

イスラエルでは、悲しみは起こり得るものではなく、人生に織り込まれた現実です。生まれたばかりのわが子を抱き締めるすべての母親たちが知っています。いつか、わが子が軍服を着て、同胞を滅ぼそうとする者たちの前に立つことを――。恋に落ちる若い女性は皆、愛する男性が祖国を守る重荷を負うことを理解しています。結婚式でフッパー(天蓋〈てんがい〉)の下に立つ時、花嫁は心の中でこう祈るのです。「隣にいる男性が、究極の犠牲を払うことになりませんように」

イスラエルは建国前から戦争の影に覆われてきました。軍隊同士の衝突がない平和な時代でさえ、テロの攻撃によって毎年新たな家族が遺族の列に加わりました。

しかし、23年10月7日、すべてが変わりました。

ハマスによる大虐殺によって、イスラエルはかつてないほどの破壊を経験し、ほぼ一夜にして寡婦の数が急増しました。その後で勃発した戦争は、近代のユダヤ国家史上最長となり、さらに多くの命が奪われ、悲しみの輪は広がるばかりです。

国際寡婦の日(24年6月23日)、イスラエルが発表した犠牲者数は驚くべきものでした。10月7日以来、父親を失った子どもは約600人、寡婦となった女性は少なくとも260人で、うち35人が夫の死亡時に妊娠していました。これは、軍人及び警察官20人の妻が新たに寡婦リストに加わった前年とは対照的で、胸が張り裂ける思いです。

喪失の重荷

寡婦になることは想像を絶する重荷です。女性たちは悲しみの海を航海しながら、唯一の稼ぎ手、唯一の意思決定者、守り手、慰め手になるのです。かつて就寝前の読み聞かせや学校の送り迎えといった子育ての責任を分担し、将来の夢を語り合った夫は、もうこの世にはいません。家の隅々に静寂を感じ、水漏れする蛇口の修理、請求書の支払い、子どものしつけといった出来事が、夫の不在を思い起こさせます。母親はわが子のために何とか立ち直ろうとしますが、子どもたちから答えられない質問を受けることもたびたびです。

今こそ、イスラエルの人々には支えが必要です
Photo by McCoy Brown/bridgesforpeace.com

残酷で、押しつぶされそうな現実は、いかなる女性であっても経験したくないものです。しかし今、イスラエルでは多くの女性が直面している現実でもあります。彼女たちは驚くべき強さと尊厳をもってその重荷を背負っています。

事実、長い戦争期間を通して、遺族の勇気と光は国民を励まし、勇気付けてきました。例えば、故アビアド・コーエン少佐(退役)の妻は、来客のために玄関ドアに次のメッセージを掲げました。「頭を高く上げ、胸を張ってこの家にお入りください。力と幸福で満たされてから、わが家のドアをノックすることができます。私たちは、生前も死後も光と希望を広げた英雄の家族です」

多くのイスラエルの寡婦は「神への信仰が、最も暗い時期を乗り越える力になった」と話しています。また、結束の強いコミュニティーからの愛と支えにも感謝しています。

神は私たちにも託された

イスラエルには、戦争で寡婦となった女性を温かく支える素晴らしい方法があります。例えば、戦死した兵士の戦友がその子どもの初登校を見送ったり、悲しみに暮れる遺族のために住宅支援を行う全国キャンペーンを展開したりするなど、社会全体で支える仕組みがあります。ただし、そうした女性たちのケアは、イスラエルだけが負う重荷ではありません。神は私たちにも託してくださいました。

神は「みなしごの父 やもめのためのさばき人」(詩68:5)です。また、ヤコブの手紙1章27節では「父である神の御前できよく汚れのない宗教とは、孤児ややもめたちが困っているときに世話をし……」と宣言されています。

神の召しは明確であり特権です。クリスチャンである私たちには、人生を変えるような具体的な方法でイスラエルの寡婦を祝福し、悲しみの闇を愛と光で満たす機会が与えられています。寡婦と孤児へのご支援は、単なる金銭的な支援で終わらず、希望の光となり、見守りと愛を伝え、「決して一人ではない」という宣言となるのです。世界中のクリスチャンが彼らと共に立ち、神の変わらぬ愛で包み込んでいることを伝えています。

悲しんでいる寡婦を神の愛と慰めで包むために、手を差し伸べていただけませんか。皆さんの優しさが、彼女たちの最も暗い時を照らす光となりますように。

寡婦や孤児へのご支援は、「必要のために」の欄に「寡婦や孤児」とお書き添えください。
ご入金方法は、下記バナーよりリンク先をご覧ください。

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