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プロジェクトレポート

大坪幸子のウクライナ&ポーランド・リポート1 “救出作戦”の現場にて―主の働き人たちとの出会い―

大坪幸子/フリーライター(元BFPイスラエルスタッフ)

5月上旬、私は、BFPが企画したポーランド&ウクライナ視察ツアーに参加する祝福にあずかりました。その中で、BFPのプロジェクト“救出作戦”と“希望の糧プロジェクト”の実像を、ウクライナで見ることができました。今回は「救出作戦プロジェクト」を紹介させていただきます。

救出作戦の始まり

BFPの救出作戦は、1995年、アメリカからロシアに導かれた一人のアメリカ人クリスチャンとの出会いから生まれました。

「あなたには、わたしの民の中の、貧しい中でも最も貧しい者たち、忘れられている者たちを助けてほしい。」ロシアでそう神に語られたホール師は『エズラ』という団体を設立。同年出会ったBFPとそのビジョンを分かち合い、主の導きを確信した両者は、エズラが現地の手足、BFPは資金援助という形で、この「最も貧しいユダヤ人のイスラエル帰還を助ける」という働きに乗り出しました。

今やエズラは、旧ソ連の至る所に事務所を持ち、“フィッシャー(漁師)”と呼ばれるクリスチャン・スタッフ250人を擁し、各地のユダヤ機関やシナゴーグ、教会などと連携しながら、ユダヤ人のイスラエル移住を助けています。

BFPはエズラにとって最大の資金援助団体です。「私には、BFPとエズラが別々の団体だという気がしません」とホール師は語ってくださいました。「表札の名前に関係なく、私たちは一体、私たちの神は唯一のお方です。」彼の言葉には、神の業を共に担うパートナーへの愛と喜び、敬意、そして神への畏敬の念にあふれていました。

フィッシャーの素顔

“救出”の最前線で働いているフィッシャーとは、どんな人々なのでしょう?主が召し出されたのは、決して著名人でもスターでもない、ごく普通の信徒たちでした(名前はすべて仮名です)。

「子供のころから大学時代に至るまで、いつもなぜかユダヤ人の級友が悩みを打ち明けに来た」というルドミラさんは、ユダヤ人が迫害されることにいつも疑問を抱いていました。やがて、ユダヤ人の友達に誘われて行った教会で救われました。間もなく彼女の母親と弟も救われました。自分がユダヤ人を助けるために整えられていたと知り、フィッシャーの仕事を知った時に、迷いはありませんでした。今は母もフィッシャーです。

幼いころから、寝物語に聞かされた聖書の話を通して、徐々に、でも確実に、ユダヤ人への愛を心に植えられたロマンさん。大人になり、「ユダヤ人が祖国へ帰るために何かをしたい」という思いが募った時、エズラに出会いました。

主婦でしかも子供もいる自分に、ユダヤ人のために一体何ができるのだろう、と思っていたマリーナさん。一歩ずつ主の導きに従った時に、主は彼女をエズラへと導きました。

祈りの中で、「村々に出て行って、わたしの民を集めなさい。あなたに、愛と情熱と言葉を授けるから」と神に語られ、その意味を知りたいと断食をもって牧師と共に祈った時に、エズラと出会ったヴァレリアさん。

セルゲイさんの叔母は、旧ソ連時代、KGBの「西側出版物取締課」に属していました。押収されるさまざまな雑誌や書籍の中には、聖書やクリスチャン物、またイスラエル物が多々あり、叔母は、こっそりこれらの品々を持ち出して家に隠し持っていました。ある日訪ねて来たおいのセルゲイは、本をもらって帰り、隠れて熱心に読み始めました。こうして高速・純粋培養された彼は、救われると同時にユダヤ人のための働きに身を投じ、やがてエズラと出会いました。

彼らフィッシャーに共通しているのは、神がユダヤ人に与えた召しへの理解、ユダヤ人への愛、そして「主よ、ここに私がいます。どうか用いてください!」という熱烈な祈り。また、一つ一つの小さな働きを、ひたすら続ける忠実さでした。小事に忠実でなかったら、主はどうして大事を任されるでしょう?「普通の人」――でも「主に信頼された人々」がそこにいました。また、彼らを支える教会があることも重要です。ウクライナには、ペレストロイカ以降、霊的な枯渇状態から多くの教会が誕生し、イスラエルとユダヤ人に対する重荷を受肉し、フィッシャーたちの活動を支えています。「ここでは、反ユダヤ・反イスラエル的な教会を見たことがありません」と彼らは言います。

主が来られる日まで……

「イスラエル移住」と一口に言っても、決心して数カ月後に行けるわけではありません。必要な数々の書類を揃えるのに2~3年、あるいはそれ以上かかる人もいます。フィッシャーの一週間は、訪問や面会のために二日、残り三日は事務処理に費やされます。

移住には、まずユダヤ人であることの証明が必要です。しかし、第二次大戦中に身元証明書を紛失したり、迫害を避けるためにそれを破棄・改名してしまった人も大勢いました。今となっては、自分の両親や祖父母がユダヤ人であると証明する以外に手はありません。こうした親族がユダヤ人であるという証明を、彼らがかつて働いていた町や工場、果ては学校の資料などから探します。その手掛かりを見つけるところから始めなければならない人もいます。時には調査が旧ソ連全土に及ぶこともあり、まるで砂の中から一本の針を探し出すような作業です。

必要な書類は、家族構成によって変わります。ユダヤ人と偽っての移住を防ごうと、イスラエルで書類が追加・変更されることも事を煩雑にします。犯罪者でないことの証明書、高齢の親を残していく場合は親の同意書、離婚した夫婦の場合、子供を連れて出国するには元配偶者の同意が必要……と、リストは延々と続きます。1枚の書類のためにさまざまな役所や機関に何度も電話をし、往復し、フィッシャーは粘り強く、一つ一つの課題をクリアしていきます。

彼らの「あなたを助けるために、私はいるのです」という謙虚さと、「あなたがあきらめても、私はあきらめません」という情熱に、ユダヤ人は驚きます。それは、ユダヤ人が初めて触れるクリスチャンの愛、その後一生のクリスチャン観を変える出会いでもあります。その彼らの働きを可能にしているのは、ほかでもない、尊いご支援を捧げてくださる皆様です。

フィッシャーの人々は熱いまなざしで私たちに語りました。「私たちの手の業を可能にしている、このために捧げてくださっている方たちに、心から感謝しています!彼らこそ、お礼の言葉を受けるべき人々なのです。」

北の国に住むフィッシャーたちと、日本に住む私たち。私たちは、遠く国境を隔てていても、キリストの御体として、共に手を取り合って一つの働きをしています。主の御業が完成する日まで、主が「もうよい、よくやり遂げた。わたしの信頼する者よ!」と笑顔で言ってくださる日まで、与えられた召しに真摯でありたい、と強く思わされました。

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