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プロジェクトレポート

北の地からの出エジプト ―ロシア残留ユダヤ人の悲痛な叫び―

「わたしは、北に向かって『引き渡せ。』と言い、南に向かって『引き止めるな。』と言う。わたしの子らを遠くから来させ、わたしの娘らを地の果てから来させよ。」(イザヤ43・6)

旧共産圏の現在

ロシア、および東ヨーロッパ(旧共産圏)では、経済自由化以来、ほんの一握りの成功者が富を掌握し、残りの人々にはなかなか還元されていません。そのため貧富の差が大きく拡大し、社会問題が悪化しました。ことに、ストリート・チルドレンが急増しています。この子どもたちは、真冬でも、マンホールや下水道で生活し、あさるゴミさえない中で、盗みや物乞いをしながら、まさに己の命を削りながら生きています。

貧困だけではありません。犯罪も悪化しています。今や、ロシアやウクライナでは、夕方になると外を出歩くことができないほど、治安が悪くなっています。麻薬、売春、殺人、人身売買……ありとあらゆる罪が入り込んでいます。

また、ソビエト連邦崩壊後も、チェチェン共和国のようなイスラム原理主義が、今、ロシア社会の治安を大きく脅かしています。2年前の劇場爆破事件、そして今年起こった小学校の占拠テロ事件等、チェチェン発のテロリズムがいかに非道で、ロシアを脅かすものとなっているか、報道を通して皆様のご記憶にも新しいことでしょう。

ベングリオン空港に着いたユダヤ人の親子

逼迫する現地のユダヤ人

寒さが厳しくなるこの時期――私たち、イスラエルを愛する者たちの心に浮かんでくる存在、それは、ロシアや東ヨーロッパなど旧共産圏の国々で、極寒の中、寒さに震えて、食べ物も暖も十分に取れないまま、過酷な日々を過ごすユダヤ人です。

里親プログラムを通して寄せられる、ロシアから帰還したユダヤ人の経歴からも、彼らが直面した現実の過酷さを知ることができます。そしてそれは、今も変わらず、ロシアをむしばんでいることがうかがえます。

多くのユダヤ人が、何カ月も、あるいは何年も、この厳しい不況の中、給料がもらえない、年金が滞っているなどの理由で困窮しています。闇市を利用して、やっと食べ物を手にする人々がいます。何とか家計の足しに……と、家庭菜園を作って野菜を取る人々も多くいます。

さまざまな困難の中で、ユダヤ人自身が標的となっている、反ユダヤ主義者による迫害は、さらに深刻化しています。例えばウクライナ(ユダヤ人が千年以上にわたって居住してきた)では、ここ数年、シナゴーグが荒らされたり、正統派のユダヤ人が道端で殴られたりする事件が急増しています。

北の国々にとどまり続けるユダヤ人。彼らの状況は、今まさに、日に日に悪化しています。「誰か、この状況から何とか助け出してくれないものか!!」「神さまー!!」……イスラエルや他の国へ移民しようにも、食べ物さえ事欠く彼らが、必要な書類を作るお金も、旅行資金も出せるはずがありません。

しかし、神は、大いなる御業を成されるお方です。冒頭に掲げた「北に向かって、引き渡せ、と言う」――そのみことばを成就してくださっているのです。鉄のカーテンの崩壊直後、1990年代だけでも100万人――イスラエル国が成ってから移民してきた総数のうち、約3分の1が、この時期に集中しました。2000年度に入ってからは、この帰還の波が若干減少しましたが、それでも途絶えていません。

インティファーダ(パレスチナの武装蜂起)が続く中、その大きなダメージを受けたイスラエルの経済は、以前にも増して逼迫していますが、福祉予算をカットしつつも、移民受け入れは国の最重要課題の一つであると、可能な限りの支援を行っています。2003年度だけでも、旧ソ連から1万2383人(一日平均34人)のユダヤ人が戻ってきました。主の御業は、今も前進し続け、預言は成就し続けているのです。

出エジプトの時代、バビロン捕囚の時代、2千年間にわたる離散、そしてホロコースト……神はユダヤ人を愛し、苦しみの中にある彼らを決してそのままにはしておかれず、彼らの叫びを決して聞き逃されることはありません。ハレルヤ!!

救出作戦の緊急性

この時期、BFPのプログラムの中で、特に緊急性を抱え、覚えて祈り、ご支援いただきたいのが『救出作戦プロジェクト』です。私たちBFPは、ロシアやウクライナ、旧共産圏の各地にフィッシャーマン(漁師)と呼ばれる活動員を派遣しています。

彼らは現地の言葉を話すことのできる働き手であり、イスラエルの関連機関や他のクリスチャン支援団体とネットワークを保ちながら、今日も一人、明日も一人……と、助けの手を求めて待っているユダヤ人を発見・救出すべく北の大地を走り続けています。

現在、この救出作戦を通して、絶望のふちに立たされていたユダヤ人が、「自分たちは見捨てられていなかった!!」という希望を受け取っています。多くのユダヤ人が帰りたいと切に願っていますが、プログラムの枠が限られているため、全員を一気に救出することができず、順番待ちになっています。今やリストの名前は増える一方です。

とうてい支払うことのできなかった、出国許可書を取るための費用、パスポート作成の費用、出発する港や空港までの交通費、時には衣服や靴などを購入する費用も賄うことができるようになりました。移民する日が来るまでの必要な物資も援助されます。ユダヤ機関では、移民を願う人々のために、航空運賃まで負担してくれます。

ユダヤ民族の悲願である、2千年間夢に抱き続けてきたシオンへの帰還が実現することを、旧共産圏のユダヤ人は大きなあこがれをもって待ち焦がれているのです。

喜びの声

ソーニャさんというユダヤ人女性の声をお届けします。

彼女は共産主義の時代、宗教を信じることは刑罰に値するので、ユダヤ人としての信仰を保つことに苦労しました。今日、彼女は救出作戦のフィッシャーマンと出会ったことで道が開かれ、ウクライナからイスラエルへと移住し、ユダヤ人として安心して暮らすことができるようになりました。

「……私がイスラエルに来れるよう、助けてくださったことを感謝いたします。ここで自分が必要なものすべてを持てるようになりました。ウクライナにいたころは、到底かなうことがなかったたくさんのものです。

居心地のよい住まいがあります。食べ物も、果物も十分にあります。ウクライナにいたころは、私がこのような生活を送ることなど想像もつきませんでした。ウクライナでは見たことがない、珍しい種類の果物を見つけましたよ。アイスクリームやキャンディなど、おいしいものを買うことができるお金もあります。

……食べ物のことばかり書いてしまってごめんなさい。でも、ウクライナで飢えの苦しみを味わってきた私にとって、今の状態は本当に驚くべきものなのです。このような、天国のような暮らしを与えてくださっている神さまと、ご支援くださった皆様に、心から心から感謝しています……ここイスラエルで初めて、私たちは、本当の“ふるさと”とは何なのかを、知ることができたのです……。」

私たちはもっともっと、たくさんの「ソーニャさん」をイスラエルへと導く手助けをさせていただきたいと願っています。そのためにはどうしても、主の手として働いてくださる皆様のご支援が必要です。一人、二人、三人……と、皆様のお送りくださるご支援とお祈りによって、救出作戦の登録リストにユダヤ人の名前が増えます。暗闇の中にいた彼らの上に、希望と祝福、笑顔が注がれます。どうぞ、覚えてご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします!!

加えて、多くのユダヤ人が、イスラエルで受け入れてもらうのに必要な条件「自らがユダヤ人であること」を証明できないという問題を抱えています(家族のシナゴーグでの出生証明書、結婚証明書など)。共産主義の時代、無神論が掲げられていた中で、多くのユダヤ人が迫害を逃れてユダヤ人としての身分を隠すうちに時がたち、自らの証明を回復できない状況となってしまったのです。

どうぞ、帰還を願っているユダヤ人が、必要な証明をすべてそろえることができ、イスラエル政府に移住を請願できるよう、併せてお祈りください。今……共に、北に向かって「引き渡せ!!」と叫んでくださる、声となっていただければ幸いです。

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