プロジェクトレポート

悲しみと希望

文:ピーター・ファスト(BFP CEO)

どれだけ時間が経過しても、10月7日のテロの記憶が
イスラエル国民の心から消え去ることはありません。
むしろ、苦しみと悲しみは増すばかりです。
今、人々は必死に希望を探し求めています。

ガザ国境近くの町トゥクマに展示されているテロ被害者たちの車
Photo by Peter Fast/bridgesforpeace.com

「まるで世界滅亡の映画を見ているようだ!」。目の前に広がる悲惨な光景を見つめながら、イスラエル国防軍(IDF)の大隊長が独り言のように隣でつぶやきました。見渡す限り、焼け焦げた車や、銃弾を浴びて破壊された車の残骸が広がっています。彼は私と目が合うと、「まだこれが現実に起こったこととは思えない」と悲しみを口にしました。私はただ彼を抱き締め、その無惨な光景を見つめ続けました。

イスラエルは、攻撃で破壊された1200台以上の車両をガザ国境近くの町、トゥクマに運びました。この悲惨な残骸を展示し、あの暗黒の日に行われた暴力を世界に知らせるためです。どの車も、殺人、流血、暴力の恐ろしい物語を伝えています。

そこはまるで巨大な犯罪現場のようでした。フロントガラスを突き破った無数の弾痕は、家族が乗った車を機関銃で攻撃したことを物語っています。ミサイルの衝撃で爆発し、焼け落ちた救急車やシャトルバスの残骸もありました。

その時、私はある映像を思い出しました。国道232号線沿いに散乱する血まみれの遺体と、延々と続く焼け焦げた車や荒らされた車……。ハマスのテロリストたちは昨年10月7日から数日間にわたり、この国道で待ち伏せをし、無防備な運転手たちを襲撃しました。トゥクマに置かれた車の残骸を見つめていると、その時の映像が悲しみの瞬間としてよみがえってきました。

10月7日以来、私は破壊されたベエリ・キブツとクファル・アザの現場を何度も歩きました。そこには、瓦礫(がれき)の山、焼け落ちた家屋、散乱した子どものおもちゃや自転車が今も残されています。襲撃現場の一つ、ノヴァ音楽祭が行われたレイムでは、何百枚に及ぶ犠牲者の写真に見入り、家族が立てた記念碑を見つめ、心が張り裂けそうでした。テロリストから逃げた生存者や必死に戦った兵士、何百人もの命を救った人々の話に耳を傾け、殺された子どもについて語る親を抱き締めては泣きました。

あれから一年。ガザだけでなく今やレバノンでも戦いが続く中、イスラエルは涙と共に記念式典を執り行いました。イスラエル人にとっては毎日が10月7日のようです。それでも「アム・イスラエル・ハイ」(イスラエルの民は生きる)という呼び掛けがやむことはありません。

記念式典の数日前、イスラエルはイランから再び弾道ミサイル攻撃を受けました。イラン・イスラム共和国が発射したミサイルは400発。うち180発余りがイスラエルに到達しました。ミサイルの大半は迎撃ミサイルによって撃ち落とされましたが、何百万人ものイスラエル国民が防空シェルターに逃げ込み、神に祈り、家族と身を寄せ合いました。攻撃があった時、私はちょうど日本にいました。妻は、恐怖に怯える子どもたちと安全室で過ごしながら、一人で子どもを慰め、一緒に祈り、本を読んであげたそうです。

これほどの攻撃を受けながらも、イスラエルは神の奇跡を目撃しました。イスラエル人は誰一人殺されることはなかったのです! イスラエルの神は今回もイスラエルと世界にあわれみと力を示してくださいました。

続くトラウマと苦しみ

イスラエルは依然として深いトラウマと苦しみの中にあります。多くの人々が神の御手が働いていることを感じている一方、悪夢に悩まされ、打ちのめされた心で人生に向き合っている人々も大勢います。神と世界から見捨てられたと感じている人もいれば、絶望を感じながらも何とか希望にしがみつこうとする人もいます。

私は、もがき苦しむ人々と数え切れないほど会ってきました。その涙を目にしながら、彼らが一人ではないことを伝えてきました。神は永遠の愛でイスラエルを愛しておられます。そして、何百万人もの世界中のクリスチャンを結集させ、イスラエルのために祈り、捧げ、支援するよう、立ち上がらせておられます。こうした世界中でご支援くださる皆様のおかげで、私たちは救急車を寄贈し、何千袋もの食料や衣類を提供し、国内避難民に家電製品を購入し、けがの治療費を援助し、その他無数の愛の形を具体的に提供することができました。

私たちは決して引き下がりません。イザヤ書40章1節『慰めよ、慰めよ、わたしの民を』――あなたがたの神は仰せられる――」を日々実践しています。

昨年のテロ以来、親交を深めている隣人がイランからの攻撃後、ボイスメッセージを送ってくれました。彼女は力強く自信に満ちた声でこう語りました。「昨日は奇跡でしたよ! 道路の真ん中に横たわり、頭上に飛び交うミサイルを眺めて恐怖を感じながらも、私はこうつぶやいたのです。『神さま、あなたは信じられないくらい素晴らしい方です』」。これは、数カ月間にわたり愛をもって支援を行い、彼女が一人ではないこと、イスラエルの神が契約を守っておられることを伝えた結果です。

イスラエルの神である主は生きておられ、イスラエルの民の心を動かし、国々を揺り動かしておられます。世界中で目にする悪や混乱や暗闇に心を奪われる時、私たちは落胆し、怒りを抱くことがあります。一方、主を求め、暗闇の中で主の光となり、真理のために大胆に立ち、神が国々で行っておられる驚くべき御業を認め、この預言的な時代に主と協力することもできます。神が愛するものを愛し、神の国と共に立つ世界中のクリスチャンを神は団結させておられるのです。共にシオンを慰め、悪を押しとどめる光となりませんか。BFPの危機基金へのご支援をお待ちしています。

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