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プロジェクトレポート

言葉だけでは……行いだけでは……

棟梁・ジェームスの歩む日々

その高齢のイスラエル人女性はこう言いました。「ねえ、あなたは知っていますか?あなたを見ているだけで、真心からこの仕事をしているということが分かることを……。」

汚く老朽化した家が、BFP大工チームの手によって日に日にキレイになっていきます。彼女は毎日、心尽くしの昼食を作って、チーム全員をもてなしてくれました。この言葉は、作業最終日に、この女性がジェームズに語ったものです。「何をするにも、心からやらなければならないということを、改めて考えさせられたよ。」とジェームズは言います。

棟梁・ジェームズ

ジェームズ・ロブスターは、南アフリカ出身の、陽気で真面目な男性です。BFP大工チームの責任者、いわば棟梁です。エルサレムでの生活は、美しく明るい妻と、2人の子どもたちの存在が大きな支えとなっています。BFPのプロジェクトの中では、「イスラエル人に一番近い所で働ける」という意味で、花形視される現場ですが、実際は大変地道な働きです。

修繕に出掛けると、丸1日、数日、あるいは数週間、時間を家主と共に過ごすことになります。配線を直し、はげ落ちたペンキを塗り直し、ガタガタになった家具を修繕し、パイプの詰まりを取り除き、割れた窓を修理します。

高齢者の住む家を状況をよく調べてバリアフリーに改装したり、ベッドやテーブルも作ります。メシアニック教会(イエスを受け入れたユダヤ人の教会)の修繕と共に、講壇を作ったこともあります。また、個人宅にとどまらず、孤児院や学校の修繕なども手がけてきました。そんな現場に、ジェームズはこれまで4年以上にわたり棟梁として働き続け、就任以来、実に150件に上る物件を修繕してきました。

イスラエル人との日々

イスラエル人は、共同体に入ってくるクリスチャンに対して強い警戒心をもっています。ジェームズたちが訪れる家々の住人も、「こいつら、どうして入ってきたのか!?」と、数日間、時には数週間、遠くから彼らを疑いのまなざしで眺めています。そんな彼らですが、作業終了時には必ずといっていいほど、そのまなざしが深い友好に変わっていくのです。

ある日、ジェームズの携帯に、メシアニック・ジューの女性から電話が入りました。彼女はバスの中で、BFP大工チームの噂を耳にし、修繕を依頼してきたのです。彼女の夫はツアー・ガイドをしていますから、それほど困窮しているわけではありませんでしたが、ジェームズは聖霊の導きを感じて、この依頼を無償で引き受けました。

大工チームがこの夫妻の家の修復を行っている間、彼女の夫は毎日、ジェームズの働く姿を見ていました。修繕が完了した時、彼はジェームズに打ち明けました。「自分はツアー・ガイドとして、今までたくさんのクリスチャンをガイドしてきました。彼らは私に熱心に伝道してきました。正直、たくさんの有名な伝道者たちからも、福音を聞かされました。しかし、私が今回この家で目撃したことは、いまだかつて経験したことがないものでした。本当にありがとう。」

ある孤独な女性

スタッフにとって、母国への一時帰国は何よりの楽しみですが、その出発前は一番忙しい時期となります。加えて、たいていのスタッフが、母国のあちこちの教会を巡回し、活動報告を行い、自身へのサポートを募るため(BFPの外国人スタッフは皆ボランティア)、実は帰国してからもほっとする暇はないのが現実です。

ジェームズも南アフリカに帰国する前で、多忙を極めていたある日、一人暮らしの女性の家の修理を依頼されました。正直、保留にしてもらおうかとも思いましたが、「彼女は助けを必要としている」と感じ、引き受けました。

その高齢の彼女は、ジェームズの顔を見るなり、おいおいと泣き出してしまいました。ジェームズはヘブライ語ができませんし、彼女は英語が分かりません。なぜ泣くのか――そこで、仲介者であるイスラエル人のソーシャル・ワーカーに電話を掛け、彼女に代わって話をしてもらいました。受話器を手に、彼女はさらに激しく泣き出しました。

後で電話を代わったジェームズに、ソーシャル・ワーカーは彼女の涙の意味を、こう説明してくれました。「彼女にとって、あなたは、ここ何カ間かで初めてのお客さんだったんです。」この女性は大変孤独で、ジェームズが訪問してくれたことで大いに慰められたのでした。

棟梁の悩みと祈り

棟梁と言っても、ここは常時、人材に悩むボランティア団体。スタッフの人数もそのつど大きく変動します。問題は、リーダーを任せられる人材が、そうそう現れないということです。自分がいなければ、チームが稼動しないのです。

「せっかく人手があっても、チームを分けることができないから、ほかにも修繕すべき家々があるのに、活動の幅が限定されてしまうんだ……。」――棟梁はそうもらしました。

エルサレムの古い家々で、修繕費用もなく困っている貧しい人々のために、BFPがもっと多くの必要に応えられるように……。長期滞在でき、言葉や技術の問題もなく、安心して任せられるリーダーが与えられるように……これがジェームズの熱い願いであり、祈りです。ジェームズはいつも、いたって自然体です。その淡々とした態度と黙々と働く姿を通して、実は主イエス・キリストの愛が力強く伝わっているのです。

思えば主イエスは大工でした。当時の背景から、家具を作った職人と言われています。きっと主もジェームズのように働かれたことでしょう。30歳でラビとなるまで、家族、そして社会に忠実に仕えておられたはずです。そのご人格からあふれ出る愛を通して、人々は主の気高さ、かぐわしい天の香りを感じたに違いありません。

言葉だけでは……行いだけでは……ユダヤ人へのアプローチは難しいものです。人知をはるかに超えた主の器となる、そう決意したときのみ、そこに聖霊が――主の愛が働くのだと確信します。

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