文：レベッカ・J・ブリマー（BFP国際会長）
現在南のエチオピアと北のウクライナで発生している紛争により、現地ユダヤ人に危機が迫っています。
一刻も早く彼らを救出しようと、BFPは全力を傾けています。
1991年に帰還したエチオピア系ユダヤ人Photo by GPO(Israel)/commons.wikimedia.org
私は今、心の重荷を抱えながらこの原稿を書いています。その重荷とは、命の危機にさらされているユダヤ人たちのことです。ある地域のユダヤ人コミュニティーでは、過去最大の危機に直面しています。特に危機的状況にあるのがエチオピアとウクライナにいるユダヤ人です。
「彼らを助け出してほしい」―そんな緊急要請がウクライナのチームから私たちに届きました。ぜひ現地のユダヤ人が置かれている状況に思いを馳せながら、この原稿をお読みください！ そしてBFP（ブリッジス・フォー・ピース）が彼らの命を救い出せるよう、共に主に祈り求めていただけたらと願っています。
エチオピアの内戦
エチオピアではこの1年、政府軍と反政府勢力との間で内戦が繰り広げられています。争いは泥沼状態に陥り、国全体が絶望感に覆われています。反乱軍は首都アディスアベバに迫り、政府は全土に非常事態を宣言しました。この内戦で命を落とした人は、既に数千人以上に上ります。干ばつやイナゴの大発生もあり飢饉（ききん）が発生し、状況は悪化するばかりです。昨年11月下旬、世界食糧計画（WFP）は、エチオピア北部全体で940万人が食料援助を必要としていると発表しました。
干ばつなどで飢饉に陥っているエチオピアPhoto by UNICEF/flickr.com
この混乱のただ中で約1万人のエチオピア系ユダヤ人が、イスラエルへの脱出許可が下りるのを今か今かと待ちわびています。最近イスラエル政府は会合を開き、3千人のエチオピア系ユダヤ人が速やかに帰還できるよう許可を出しました。できれば残る7千人も直ちにイスラエルに避難させたいと政府は願っています。キリスト教系支援団体である私たちの元にも、支援を求める電話がありました。他のクリスチャンリーダーたちの元にも同じく支援要請があったそうです。
ユダヤ人使節らはエチオピアの首都アディスアベバと北部都市ゴンダールにおいて、現地ユダヤ人のアリヤー（イスラエルへの帰還）を助けています。その場に大勢のユダヤ人が集まり、救出を待っている状況です。全国的に情勢は大変不安定で、リスクも増大しています。
エステル記においてモルデカイは王妃エステルにこのように告げました。「…あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、このような時のためかもしれない」（4：14）。ホロコーストのさなか、自らの危険を顧みずユダヤ人の命を救ったクリスチャンたちがいました。現在の私たちは、家にいながらにして彼らの命を救うことができます。それは、祈りと経済的支援を通してです。もしかしたら、神が私たちを養い育ててくださったのは、1万人のエチオピア系ユダヤ人を救出し、イスラエルの地に無事に帰らせるためかもしれません。
ウクライナで高まる緊張
「ウクライナとロシアとの間で争いが激化する恐れがあります」。ウクライナにいるチームからそんな緊迫したメールが届いたのは、最近のことです。2014年にロシアがウクライナ南部のクリミアに侵攻して以来、現地では紛争が続いています。
ロシアの侵攻に対するデモ（2014年、ウクライナの首都キエフ）Photo by BOСвобода/commons.wikimedia.com
BFPの救出チームは、戦火の中にあるウクライナ東部からユダヤ人を救出してきました。極度の危険にさらされながらも、神の導きにより超自然的な方法で多くのユダヤ人を助けることができました。
救出チームのヴィクトールによると、ロシアから17万5千人のロシア兵が侵攻してくる脅威が迫っているそうです。諜報（ちょうほう）機関は、早ければ1月にも侵攻が始まると見ています。私たちのチームは、イスラエルに向かうユダヤ人を安全に救出できるよう、首都キエフ郊外に避難場所となる住居を借りる手配を緊急に進めています。
ウクライナのユダヤ人をイスラエルに連れ戻すため、これまで以上に世界中のクリスチャンの友人たちからの助けが必要になっています。
一刻も早い救出を
彼らを支援するかどうか、立ち止まって考えている猶予は私たちにはありません。今こそ行動する時だと受け止めています。手遅れになる前に一刻も早く、危険が迫るユダヤ人たちをイスラエルに帰還させたい―。そのために、神が世界中のクリスチャンの心を動かしてくださるように祈っています。
私たちと共に立ち、祈りと共にご支援くださる皆さんに心からの感謝をお伝えします。皆さんは、今日の世界に変化をもたらしておられる方々です。「救出作戦」にお寄せくださる寛大なご支援により、ウクライナにいる多くのユダヤ人を救い出すことができるでしょう。また、「帰還者支援」へのご支援は、エチオピア系ユダヤ人のために用いさせていただきます。イスラエルから祝福をお祈りしています。
「それゆえ、見よ、その時代が来る──主のことば──。そのとき、もはや人々は『イスラエルの子らをエジプトの地から連れ上った主は生きておられる』と言うことはなく、ただ『イスラエルの子らを、北の地から、彼らが散らされたすべての地方から上らせた主は生きておられる』と言うようになる。わたしは彼らの先祖に与えた彼らの土地に彼らを帰らせる。見よ。わたしは多くの漁夫を遣わして──主のことば──彼らを捕まえさせる。…」（エレ16：14〜16）
