プロジェクトレポート

シオンの娘に慰めを

10月5日――死者19名、負傷者50名以上という大規模な自爆テロがハイファで起こりました。自爆テロのニュースに「慣れる」ということはありません。そのたびに皆様は、心の中に、突如重い鉛が投げ込まれたような思いになるのではないでしょうか。

嘆きの中にあるイスラエル

ハイファの自爆テロよりさかのぼることわずか1カ月前、エルサレムの人々に愛されている「カフェ・ヒレル」のチェーン店の一つが自爆テロに遭い、8名の命が失われました。犠牲者のうち2名は、有名な医師と彼の娘さん――彼女は、次の日に結婚式を控えていた花嫁でした。さく裂した一つの爆弾によって、どれほど多くの悲劇が生み出されることでしょう。被害者はもちろんのこと、その遺族、また、後遺症に苦しむ生き残った人々の人生……すべてが計り知れないほど狂ってしまいます。

もう一つ、最近ツリフィンで起こった自爆テロでは、8名の若い兵士たちが命を落としました。犠牲者の姉妹の一人はこうコメントしています。「……こんなことはもう耐えられない……私たちは、腹に穴がいっぱい開けられた状態で生きているようなものだ。」

テロはたった一度の出来事ではありません。未遂のものを含めて、これまで起こった何千という事件も、これから起こり続けるであろうものも、誤った思想と憎しみという一本の線によってつながっています。終わることのないその現実をいやというほど知り尽くしているだけに、イスラエルの人々の抱える苦しみと孤独は、私たちが計り知れないほど深いものです。

BFPは設立以来25年にわたり、彼らと共に歩んできました。この国に住む飢えた人々の食卓に、世界中のクリスチャンから送られた、愛のマナを運ぶ管としての役割を担ってきました。しかし、私たちの愛の働きが拡大されようとも、この“シオンの娘”が抱える悲しみと嘆きは、深まるばかりです。彼らの苦悩は、毎日のようにBFPフードバンクに支援を受け取りに訪れるイスラエル人、移民の人々の一人一人の顔にも色濃く表れています。

追い詰められた人々

テロの現実と相まってイスラエルを打ちのめしているのは、いまだに回復の兆しを見せることのない経済の不況と、深まる貧困です。つい最近の『エルサレム・ポスト』紙には、「全人口の22%(100万人以上)が貧困に苦しみ、子どもたちに十分な食物を与えられないことで、栄養的にアンバランスな状態にある」という記事が載っていました。イスラエル全土の約40万世帯が、貧困が原因で生命維持に必要な栄養を十分に取ることができない状況です。

状況がいかに深刻か、身震いさせられる例があります。ある人々は違法と知っていながらも、自分の腎臓をブラックマーケットに売って、家計を支えなければならないところにまで追い詰められています。臓器を売って得た300万円前後の報酬で、物価の高いイスラエルで、果たしてどれくらい長く、家族を支えることができるのでしょうか。何よりも、腎臓を摘出した体が、以前のような健康状態であるはずがありません。これから長い年月、体の不調と戦いながら、家族を支えていかなければならない人生がまっています。何という痛みでしょう。

神への叫び

苦悩の中で、イスラエルの人々の、神に対する叫びの声は今も続いています。彼らのメシアを待ち望む思いは強まっています。彼らが好む歌には「メシア、メシア、メシア!!」と、メシア時代の到来を待ち焦がれる叫びが満ちています。ユダヤ人が何百年もの間連綿と子孫に教え続けてきた伝統の一つ、中世の偉大なユダヤ教神学者・マイモニデスによる『13の原則』には次のようにあります。「私たちは心を尽くして、メシアの来臨を待ち望みます。例えその時が遅れても。」イスラエルの人々の思いは、ここに集約されています。

私たちクリスチャンは、彼らのメシアは彼らのすぐそばにいらっしゃること、そして彼らの叫びは決して地に落ちることなく、天の神の御許に届いていることを知っています。「ああ、シオンの民、エルサレムに住む者。もうあなたは泣くことはない。あなたの叫び声に応じて、主は必ずあなたに恵み、それを聞かれるとすぐ、あなたに答えてくださる。」(イザヤ30:19)

そして神は今、私たちを用いてイスラエルを祝福しておられます。BFPを通してシオンに祝福を、祈りを注いでくださっている皆様は、「わが民を助けよ」という神のご命令に答えてくださっている方々です。シオンの娘たちを、メシア・主イエスの愛によって支えておられる皆様に、心から感謝を申し上げます。

シオンの慰め手として

BFPは、主のご命令に応答くださった皆様のご支援によって、現在1万3千を超える人々の食卓に食物を届けています。その食物の包み一つ一つを、現地BFPスタッフが愛情を込めて彼らの手に渡しています。

「主はシオンを選び、それをご自分の住みかとして望まれた。これはとこしえに、わたしの安息の場所、ここにわたしは住もう。わたしがそれを望んだから。わたしは豊かにシオンの食物を祝福し、その貧しい者をパンで満ち足らせよう。その祭司らに救いを着せよう。その聖徒らは大いに喜び歌おう。」(詩篇132:13-16)

こう語られる主が、BFPの支援の手が行き届いていない残り99万人のシオンの娘たちの上に奇跡を起こしてくださいますよう、ぜひお祈りください。すべての貧しい人々が神の愛の手に触れられるように……そして主の愛を知ることができるように。これが25年以上にわたって、エルサレムの人々の喜びと悲しみをつぶさに見守り続けてきた、BFPの切なる祈りです。どうぞBFPの器が大きくされ、新しい支援者が与えられ、資金が与えられ、より多くの人々に支援を送るだけの大きさが備えられるよう、覚えてご支援、お祈りください。シオンの慰め手である皆様に、よろしくお願い申し上げます。

*この記事を読んで、イスラエルが土地を占領し、パレスチナ人を追い出したのだから、テロという制裁を受けても当然ではないか。軍事侵攻によるイスラエル軍の報復こそが、新しいテロを生み出しているのだから、苦しんでも仕方がないではないか……と思われる方。ぜひ、この出来事の背景と真実をお問い合わせください。簡単な解説書を送らせていただきます。

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