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プロジェクトレポート

BFPより、食料援助の緊急要請

たびたびお伝えしてきましたように、2000年9月に始まったインティファーダ(パレスチナ人による武装蜂起)は、イスラエルに大きなダメージを与えました。テロが続発し、多くの血が流されることにより、さまざまな産業が次々と倒産しました。経済の低迷は人口600万人のこの小さな国のあらゆる産業に飛び火し、今や国全体がテロ→不況→貧困という悪循環の中で痛みを抱えて苦しんでいます。

イスラエルを襲う貧困

いくつかのケースをご紹介しましょう。

飢えのゆえの犯罪

10歳の子どもたちが、店から食べ物を万引きして捕まりました。「なぜこんなことをしたのか?」という警察の質問に、「おなかが空いていたから……」と、空腹のゆえに出ない声をやっと絞り出して彼らは答えました。

急増する物乞いの人々

2003年3月の報告によると、イスラエルの幼児および10代の子どもたちのうち、実に26%が、いわゆる貧困線といわれる、人間らしい生活を送れる最低のラインを下回る生活を強いられています。28万人の子どもたちが、社会福祉による援助でやっと暮らしています。同時に、パレスチナ人を含む非ユダヤ系の子どもたちに至っては、56%が貧困線以下の暮らしをしています。これらの子どもたちは、貧困世帯が最も多い(全体の38%)首都エルサレムに集中しています。イスラエルで極貧の町であるブネイ・バラクでは、子ども人口の44%、実に半数近くが日々の飢えに直面しています。

お腹を空かせる兵士たち

イスラエル軍のある基地では、こんな会話が交わされていました。「週末も、基地にいていいですか?」兵役に就いている若者のセルゲイは、指導官のウリにこう尋ねました。「いったいどうしたんだ?」とウリは聞き返しました。「もうかれこれ3週間になる。君が週末に帰宅しないのは。」ウリの言葉に、セルゲイは恥ずかしそうにこう答えました。「……ここにはとりあえず食べ物があります。でも、家に帰ったら、本当に何もないんです。母がほんのわずか持っていたとしても、1人分にさえなりません。もし僕が帰ったら、母の食べ物に手をつけることになってしまいます。」

セルゲイのような若者は、イスラエル軍にたくさんいます。彼らの多くが移民の青年たちです。実は、イスラエル軍は、日常生活物資が完全に配給されているわけではなく、食料やその他のものを自己負担しなければなりません。ですから、イスラエル軍の若者にとって、家族から送られる支援物資が生命線です。しかし、単身イスラエルに移住してきた若者たちにとって、頼れる家族はいません。彼らの多くが、お腹をすかせながら、何日もテロの警戒や訓練に当たらなければなりません。

親たちの苦悩

30歳のマルカは、妻であり、一家の母でもあります。彼女は台所のテーブルで、涙を流しながらお金を数えていました。子どもたちを養うための十分なお金がないからです。先週まで、近所の食料品店の主人は、ツケで食料を買うのを許してくれました。しかし今週、マルカはこう言われました。「もうあんたのツケはいっぱいだ。申し訳ないが、これ以上はもう無理だ……。」この主人も、もはやマルカを善意では支えていかれないほど、経営難に陥っていたのです。

2003年1月のエルサレム・ポスト紙には、こんな記事が掲載されていました。ある番組に、失業中で4人の子どもを抱える、ヨムトブという男性が出演しました。彼の窮状は悲惨を極めていました。テレビに出演するその日も、家を出ようとしていたところに借金取りがやって来て、家財道具を持ち去っていきました。ヨムトブには他に支払う手段がなく、ついにヤミ金融に手を出し、借金の上に借金してやっと日々の生活をしのいでいます。何よりも一番つらいのは、子どもたちを食べさせることができないということです。状況がより悪化すれば、借金の返済不履行ということで訴えられ、投獄されるでしょう。その場合、子どもたちの養育権も取り上げられることになります。このヨムトブのような状況にある人が救われるには、奇跡的な助けが起こされない限り、希望はありません。

イスラエル、そしてBFPの現状

現在、イスラエルの失業率は11%近くに達しており、実に、30万人近い人々が、仕事のない苦しみを味わっています。失業率だけではありません。貧困と同時に絶望が深まっていることを実感させるのは、自殺者が急増しているという現実です。無理もありません。何カ月も仕事にありつけず、家族を食べさせていかなければならない家長が、借金地獄に陥っているので、失望が絶望へと進行し、彼らにはもはや生きる力さえも尽き果ててしまいました。

これまで、こうした経済不況は幾度もありました。その中でも、10数年以上にわたり、BFPはイスラエルで着実に支援の枠を増やしてきました。これも、世界中で愛をもって支えてくださる、クリスチャンの皆様の支援があったからにほかなりません。

しかし、世界的な不況の波は確実にBFPを襲い始めました。先月、BFPは、1万7千人の支援枠のうち4,000人分の支援を打ち切らざるを得ないという、いまだかつてない苦渋の選択を強いられました。毎日のように現地の人々と顔を合わせ、彼らの涙を見ているBFPのボランティアたちは、身を切られるような思いでいっぱいです。この4,000人は、ただの数字ではありません。この中の一人一人が、父親であり、母親であり、若者たち、小さな子どもたち、高齢者、赤ん坊です。何よりも、彼らは、主イエスが深く愛され、私たちクリスチャンにとっても大切な兄弟姉妹です。

私たちに与えられた希望

しかし、ユダヤ人がこれまで歩んできた2000年にわたる苦難の歴史を思うとき、こうした苦悩の時は、幾度もありました。

ユダヤ人はどんな中にあっても、やがてシオンに帰ることを忘れませんでした。なぜなら、神ご自身がみことばをもって彼らにそう約束してくださったからです。そして、あらゆる試練を乗り越えて、現在のイスラエル国家が成立しました。イスラエルの国歌には、ユダヤ人の思いが切々と表されています。題名は『ハティクバ(希望)』。彼らの心にはいつも希望がありました。神に与えられたこの希望こそ、彼らを困難の中で支える力の源でした。

ですから、経済的な困難に直面している今でも、「慰めよ、慰めよ、わが民を」と仰せられる主の御心が、BFPの働きの上にある限り、弱まるどころか、この国の人々に希望を与える光の器として、ますます前進していくことを、私たちは希望をもって確信しています。

そして希望を上回る力は、愛です(Iコリント13:13)。BFPは、イスラエルを心から愛して捧げてくださる皆様の祈りとご支援が、生きる悩みの中にあるイスラエルの貧しい人々に、どれほどの力と感動を与えているのか、現地で何度も経験してきました。

どうぞお祈りください、そしてご支援ください

これまでこの働きを支え、イスラエルに愛を注いでくださいました皆様に、心から深く感謝いたします。そして今、心からお願いいたします。どうぞBFPのすべての必要が満たされ、縮小ではなくさらに増し加えられて、働きの手が拡大されるようお祈りください。特に深刻なのがアメリカ支部から寄せられる支援額の激減です。BFPの支援を必要としているすべての貧しいユダヤ人の上に支援が行き渡り、彼らの石のように固く閉ざされた心が癒やされるように。そして、彼らの口を通して主の御名が賛美され、主の栄光が表されるようお祈りください。

「善を行なうのに飽いてはいけません。失望せずにいれば、時期が来て、刈り取ることになります。」(ガラテヤ6:9)。イスラエルを愛する皆様が、豊かな刈り取りをされることを心から信じております。

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