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プロジェクトレポート

私たちは 「生きたい」のです。 ただ「生存」する だけではなく…

TEXT.レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

BFPの国際会長レベッカ・J・ブリマーがこの夏、戦闘の続くウクライナを訪問。救出作戦の現場を視察しました。ウクライナに残るとされている25万人のユダヤ人が、一人でも多くイスラエルへ帰還できますようお祈りください。

避難所で出会ったイスラエル帰還を待つユダヤ人たち Pieter Marais/bridgesforpeace.com
ナディア(右)と彼女の家族
Pieter Marais/bridgesforpeace.com

ナディアは元気な子どもたちを連れた若い女性です。彼女に「なぜイスラエルに行きたいのですか」と尋ねたところ、「私たちは『生きたい』のです。ただ『生存』するだけではなくて」と答えました。彼女に会ったのは、ウクライナのドニプロでのことです。ナディアはイスラエル行きを待つユダヤ人の避難所にいる40人のうちの一人でした。

その避難所では、幾つかのクリスチャン団体が協力し、戦争で荒廃したドネツクやルガンスクから逃げてきたユダヤ人難民を保護しています。BFP(ブリッジス・フォー・ピース)は、この避難所を過去2年間支援しています。

一時的な避難所

戦争の荒廃と損害、剥奪(はくだつ)などの傷を癒やすため、避難所は牧歌的な風景の大きな川の土手沿いに建っています。今夏、避難所を訪問した際、私たちは大家族、小家族、シングルの方々、さまざまな方と出会いました。大人たちと話をしている間、子どもたちは暑い真夏の太陽の下で遊んでいました。一人の女性が3カ月間、水も電気も通らない自宅の地下室で、爆発から隠れていた生活を語ってくれました。涙が彼女の頬を伝いました。クリスチャンが助けに来て、安全な所へ移してくれるまで、どんなに恐ろしい思いをしたか、彼女の苦渋の表情と涙が多くを語っていました。現在、彼女は夫と共にイスラエル行きの許可を待っています。

若いドミトリー夫妻は、食料品の買い物から帰るとアパートが爆撃されており、ほんのわずかの所持品だけで逃げ、このキャンプにたどり着きました。今4カ月目に入っています。夫妻はイスラエルのハイファ(北部の町)に住みたいと願っており、ヘブライ語を勉強中です。

何組かの家族は、もうすぐイスラエルに発ちます。彼らは希望を抱いており、顔は笑みに満ちていました。イスラエルでの生活について、あれこれ質問を受けました。避難所にたどり着いたばかりの人々は、これから数カ月、この避難所で生活します。幾人かは、戦闘地域から身一つで逃げてきた状況です。このような人たちはイスラエル行きの申請書類をそろえるのに大変苦労するため、滞在も長引くことが予想されます。一人の男性とその母親は助けを求めて国々をさまよい、やっとこの避難所にたどり着いたということでした。

ロシアの侵略により、ウクライナは大きな恐怖に包まれています。過去70年の間、ウクライナという国はナチスとスターリンの下で苦しみました。そして現在は、二つの恐怖に対面していると言われています。すなわち、〝プーチン〞と〝貧困〞です。ウクライナの60%が貧困線以下で生活していると聞きました。実際に私たちが訪れたアパートは、とても小さく、荒れ果てた、がらんとした空間でした。わびしさと悲しみが、アパートの中に漂っていました。

危機に瀕するウクライナのユダヤ人共同体

1941年、3万3771人のユダヤ人が
2日間で殺害されたバビヤール。
記念公園のメノラー
Pieter Marais/bridgesforpeace.com

75年前の9月29、30日(1941年)のことです。3万3771人のユダヤ人がウクライナのキエフ、バビヤールという場所で殺害されました。第二次大戦中、2日間で起きたユダヤ人虐殺のうち、最悪の出来事でした。ユダヤ人は家畜のようにまとめられ、銃殺されていきました。裸の遺体が谷に満ちました。今年9月、イスラエル首相と代表団がホロコースト生存者たちと共にこの虐殺の場所を訪れました。バビヤールの虐殺跡地は、親が子どもたちを遊びに連れてくるような記念公園になっています。しかし、それほど遠くない過去、この場所が邪悪そのものを見たことに思いを馳せ、私の魂は震えました。この邪悪な過去を思うたび、私は心の中でユダヤ人を救うことを決意します。私たちは過去を変えることはできません。しかし、生き残ったユダヤ人の子孫たちに、希望と命の贈り物をすることはできるのです。迫害下で散ったユダヤ人を悼む上で、これ以上の方法はないと思っています。

イスラエル当局はウクライナのユダヤ人コミュニティを非常に心配しています。彼らが直面する危機は、減少するどころか増大しています。約25万人のユダヤ人がウクライナに残存していると数えられています。うち、多くのユダヤ人がイスラエルに来ることを望んでいるということです。しかし財政的に考えれば、何らかの支援を受けなければ、イスラエル移住は不可能に近い状況です。彼らの平均的な給与は、1カ月当たり70ドル(約7千円)です。うち、公共料金の支払いが月40ドル(4千円)に上り、月給の50%以上を占めます。私たちはこのような方々の、イスラエル帰還申請書類、ビザ、パスポート取得、宿泊、食料、戦闘地域から避難所への移動(これはドライバーにとって大きなリスクを伴っています)、空港への移動などに掛かる費用を支援しています。一人のウクライナ在住ユダヤ人を救出するのに、平均400ドルが掛かります。皆様の救出作戦へのご支援により、このようなユダヤ人が祖国イスラエルに帰還することが可能になっています。

「恐れるな。わたしがあなたとともにいるからだ。わたしは東から、あなたの子孫を来させ、西から、あなたを集める。わたしは、北に向かって『引き渡せ』と言い、南に向かって『引き止めるな』と言う。わたしの子らを遠くから来させ、わたしの娘らを地の果てから来させよ。」(イザヤ43:5、6)

私たちは、主の民をイスラエルに連れ戻すお手伝いをすることで、預言の成就の一部を共に担うことができます。ウクライナのユダヤ人を救うため、救出作戦への熱いお祈りとご支援をお願い申し上げます。

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