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プロジェクトレポート

新移民の安全ネット - 里親プログラム

TEXT. 大坪幸子(B.F.P.Japan継続支援担当)

今月は、里親プログラム担当者・大坪幸子から、現場の生の声、『延長』の実態についてをお届けします。

〝オリーム・ハダシーム〟、ヘブライ語で「新移民」(複数)という意味です。世界中からイスラエルへ移住したユダヤ人が、恐らく最初に覚えるヘブライ語の一つですね。

彼らが新移民と呼ばれるのは最初の5年まで。生活手当や、無料のヘブライ語講座、職業訓練などで手厚い公的支援を受けられるのは、到着後、半年から1年ほどで、自立を前提に支援は徐々に減っていきます。早急に地元のイスラエル人と肩を並べられるまでに社会に適応しなければなりません。砂時計の砂が落ちていくのを日々見つめるような緊張感と共に、到着したその日から彼らのレースは始まります。

里親プログラムは、そんな彼らの〝スタート〟を、1年間支援するプログラムです。日頃からさまざまな福祉機関やソーシャルワーカーと連携しているBFPには、口コミはもちろん、いろいろな所から紹介を受けた新移民が来ます。ちょうど政府からの生活手当の受給期間が終わるころに里親プログラムの支援を受け始める新移民が多いです。彼らにとって安全ネットのような里親プログラム。でも人生は山あり谷ありです。本当に1年間でみんな自立できるのでしょうか。

プログラムにこのような質問が寄せられました。「支援は1年間だけで大丈夫なのですか?」「それぞれ家庭の事情が違うのでは?」このような疑問を抱いておられる方は多いことでしょう。心優しいご質問に感謝いたします!答えは、もちろん、ケース・バイ・ケースです。

今月は、里親プログラムの隠れた素顔、『延長』の実態をご紹介します。

単身帰還学生への支援

まず、支援の延長が約束されている里子がいます。い学生です。彼らの多くは、高校卒業とほぼ同時に、単身イスラエルへ帰還した志の熱い若者たち。大半が、厳しい兵役も務め上げてから進学を目指します。ユダヤ人として自分もイスラエルを守り建て上げたいと、生活費を自分で工面しながら勉学に励む熱心な彼らを、たった1年だけ支援して来年はさようなら…というわけにはいきません。学生は卒業するまで支援する、それが里親プログラムのお約束です。

彼らの在籍する大学はさまざまですが、うれしいことに、そのあちこちのキャンパスで、里親プログラムのうわさは口コミで広がっています。家族から離れている寂しさ、経済的な不安、ヘブライ語のハンディ、勉強への焦り…。自分で自分を鼓舞するのに疲れ果てて友人に打ち明けると、「BFPならきっと助けてくれるよ」と、悩み相談を受けた先輩里子たちが紹介してくれるのです。

里子たちに配られる青果などの食料

こうしてBFPの扉にたどり着いた学生は、BFPがクリスチャン団体だということも、里親がみなクリスチャンだということも知っています。でも、自分の身の上話だけでなく、孤独や不安まで打ち明けてくれる里子が何と多いことでしょう。「あなたを助けたくて、待っていたよ」というスタッフの言葉に、肩の荷が下りて安堵(あんど)のために涙をぽろぽろ流す学生もいます。クリスチャンがイスラエルと共に立ってくれることに驚く学生、クリスチャンの聖書信仰に敬意と称賛を表してくれる学生もいます。そして、見ず知らずの彼らを助けるために、自分の身を削って見返りも求めず与えてくれる里親の姿に、尊敬と感謝の言葉が尽きることはありません。

ユダヤ人がこんなにも警戒心を解き、喜んで友人にまで紹介し、自ら飛び込んで来てくれるほどに信頼を得たBFPと里親プログラム。彼らは、自分たちが最もつらい時に手を差し伸べ、夢を実現するために最後まで助けてくれたクリスチャンの愛を、決して忘れないでしょう。

ファミリーへの支援延長

一方、夫婦や子どもがいる家族の支援延長の背景は深刻です。家族の誰かが重大な健康問題を抱えていたり、働けない状態の一人親家庭だったりなど、最初から延長の必要性が明らかな里子もいます。一方で、順調に行っていたのに突然アクシデントに襲われたり、仕事は何とか見付けたものの大家族なので収入がまだ追い付かなかったりと、あともう一歩か二歩なのに…という里子もいます。彼らを路頭に迷わせることなどできません。BFPは、彼らの話や外部の福祉関係者の紹介状などで状況を判断し、必要と見た場合は、もう1年支援を延長します。「ここで見捨てないで…」という声に可能な限り寄り添います。

そこに、昨年から今年にかけて、これまでにない新たな延長タイプが現れました。

彼らは若い元気な家族。本来、体力的にも、適応力の面でも有利な人たちで、まず延長など考えられないはずなのに、一体何があったのでしょう?

何と、皆「おめでた」で家族のメンバーが増えていたのです!赤ちゃんが生まれた、もしくは出産間近、という家族が相次いで支援延長になりました。イスラエルは物価が高い国なので、共働きでないと家計は非常に苦しくなります。地元のイスラエル人でさえ大変なのですから、まだ高収入が見込めない新移民はなおさらです。出産や育児で一人が働けなくなり、しかも養育費が増えるとなると、経済的にはあっという間に崖っぷちになってしまいます。

加えて、両親や親戚などの家族はまだイスラエルに移住しておらず、頼れる身内が近くにいない、あるいは、いたとしても、その身__内もまた自分たちの生活で手一杯で頼れない、という場合もあります。日本で言う〝里帰り〟ができないのです。やっと地に足が着いたばかりの若い夫婦にとっては、何とも心細い事態です。

赤ちゃんが産まれた家庭に贈られる、特別なプレゼント

赤ちゃんの誕生、それもイスラエル生まれという、待ちに待ったはずの祝福が、喜びと共に経済的不安の種になるなんて、放ってはおけません。そこで里親プログラム、今度は彼らの〝実家〟代わりになりました。もう1年間、生活が追い詰められる心配なしに、育児にも経済的土台固めにも専念できます。彼らの誇りであり希望の象徴でもある赤ちゃんの誕生を、彼らが余計な心配をせずに喜べるように支援することは、また、その新しい命を一緒にお祝いできることは、私たちにとっても何という祝福でしょう!うれしい赤ちゃんラッシュに出会えた里親プログラムです。

心が折れてしまう前に…

里親プログラムには、心が折れる寸前に、あるいは残念なことに、折れて傷付いてからやっとプログラムにたどり着く人が何人もいます。そこまで行ってしまう前に出会えていたら…、と共に涙するケースもあります。もう一カ月でも早く、もう一人でも多く支援して、悲劇ではなく希望と喜びを増やせたら、というのが里親プログラムの願いです。この働きを支えてくださるすべての方々に、心からお礼を申し上げます。そして「彼らならきっと助けてくれる」「彼らは私たちを見捨てないはず」と望みを託す人々の、祈るような気持ちを、確信と喜びに変えるために、さらに多くの方に力を貸していただけましたら感謝です。個人で、グループで、ぜひ里親になってみませんか。また、継続でのご支援は難しいという方も、1回のみの特別献金も大歓迎です。通常の支援ではカバーできない、特殊な必要を抱える里子もいます。もしかすると、あなたの捧げ物が彼らの祈りの答えに姿を変えるかもしれません。どんな小さな可能性も、神さまは大きな可能性に変えてくださるお方ですから!

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