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ハイメール通信No. 118 首相のポジション

ヴィノグラード戦争調査委員会の中間発表に続いて先週、オルメルト首相ら本人の委員会での証言が公開されました。テルアビブでは15万人が集結して首相退任を訴えました。国会では議員たちが、新しい首相を選出する選挙にむけて動き始めています。

与党・カディマでは、リブニ外相、野党では、リクードの元首相のネタニヤフ氏、労働党の元首相バラク氏が、それぞれ首相退任を要求する立場を表明しました。次期首相に立候補するのではと言われていた元首相のシモン・ペレス氏は、2カ月後の大統領選に立候補するため、首相には立候補しないことを表明しました。今、「元首相」らが注目されています。

ヴィノグラード委員会の中間発表が行われた数日後、ヘロデ大王の墓が発掘されていたことが明らかになりました。ヘロデ大王は王位を守ることにこだわり、家族や国を滅ぼした指導者でした。今、指導者のあり方が問われているのではないかと現地新聞は語っています。今週も続けてとりなしの祈りを続けましょう。

わたしに聞け。
強情な者、正義から遠ざかっている者たちよ。
わたしは、私の勝利を近づける。
それは遠くはない。
わたしの救いは遅れることがない。
わたしはシオンに救いを与え、
イスラエルにわたしの光栄を与える。(イザヤ46:12)



■ 「元首相」パワー

先週、ヴィノグラード戦争調査委員会の中間発表が行われましたが、続いてオルメルト首相らの委員会での証言が公開されました。首相は国防相から国防軍の準備ができていると聞いていたと言い、国防相は軍から準備ができていると聞いていたと互いに非難しあっている姿が浮き彫りとなりました。

委員会から中間発表が行われると、すぐにテルアビブで首相辞任を求めるデモ集会が行われました。レバノン戦争で家族を失った人々や予備役兵などを中心に10万人とも15万人とも言われています。

国会では、臨時国会が招集され、3項目において現オルメルト政権への不信任が可決されました。また、リクードの議員が中心となり、オルメルト首相の証人喚問を国・ナ行うための嘆願書をとりまとめ、46人が署名しました。イスラエル基本法では、首相の証人喚問は議員40人以上の署名が必要と定められています。

10日、同じくリクード議員イスラエル・カッツ氏は、もし、オルメルト首相自身が辞任を決断しないなら、60日以内に、国会解散、総選挙はせずに、首相だけを選出する直接選挙を行う法案を提出しました。この法案が可決されるには、議員70人以上(120議席中)の賛成票が必要となります。実現すると、選出された首相は、オルメルト首相の任期が切れる2010年11月まで首相職を引き継ぐことになります。

首相の直接投票は、シャロン前首相がこの方法で選出されたことがあります。しかし、その後直接選挙は廃止となり、以来、国会最多数議席をもつ党の党首が首相に任命される従来の方法に戻されていました。カッツ氏は「もし今のままで総選挙となった場合は、最多数議席のカディマが根回ししてシモン・ペレス元首相や、リブニ外相が首相になってしまう可能性がある。それならば直接選挙で別の候補者にもチャンスが与えられる方がいい。」と語っています。

<与党・カディマ内部>

与党・カディマでは、次期首相ともささやかれるツィッピー・リブニ外相が、オルメルト首相辞任を求める声明を発表しました。オルメルト首相は直ちに外相と会談を行い、協力体制維持をアピールしました。与党・カディマ内部では、上記カッツ氏の直接選挙案が可決される前に、早急首相交代(党首交代)を進めた方が有利だと考える議員が多いようです。

<野党・元首相らの登場>

リクード党首で次期首相をめざす元首相のネタニヤフ氏。直接選挙ではなく総選挙を訴えています。

労働党は5月28日に任期満了に伴う党首選が予定されています。現国防相で労働党首のペレツ氏が破れ、元首相のバラク氏が労働党首になる可能性があります。そのバラク氏が、キブツで自ら野外記者会見を行い、次のように語りました。「もしオルメルト首相が辞任しないならば、現政権で自分が国防相となることを提案する。軍人としての経験で”貢献”できると思う。しかし、もしこの提案を首相が受け入れない場合は、首相辞任を求める側に立ち、自らも首相に立候補する。」

*現在、労働党はオルメルト政権下において、数々の重要ポストを与えられています。総選挙になれば、それらの好条件を失うことになります。バラク氏の提案はぎりぎりの交渉であると考えられます。

*元労働党首で元首相でもあった最長老のシモン・ペレス氏(83)。首相選挙に出馬するのではないかと見られていました。しかし、ペレス氏は、首相ポストにはつかず、2カ月後に控えた大統領選挙に挑戦したい意向を表明しました。

<大統領選挙>

カツァブ大統領の不祥事で、現在、大統領は不在、代理をダリア・イツイク氏が勤めています。正式に大統領を決める選挙(国会)は、7月になりました。シモン・ペレス氏はじめ数人が立候補しています。ダリア・イツィク氏も有望視されていますが、長年シモン・ペレス氏を支えてきた立場上、ペレス氏をさしおいて大統領になることはないと見られています。

指導者への主からのメッセージ??「ヘロデ大王の墓」発見

ヴィノグラード委員会の中間発表が行われた数日後、「ヘロデ大王の墓」の発見がヘブライ大学考古学研究所のネツェル教授によって発表されました。ヘロデ大王は、第二神殿を建てたイエス時代のイスラエルの王です(37BC~4AD)。

ヘロデ大王は、代々続いてきたイスラエルの王位と大祭司の権力争いを見て育ちました。成人すると自らも王位を守ることに固執するようになりました。家族-子どもたちや最愛の妻さえも信じられなくなり、妻を含む自分の家族を次々に殺害しました。その後、イスラエル市民はローマ帝国によって約束の地から追放される道をたどります。ヘロデ大王は、国を滅ぼした王といってもよいでしょう。

ヘロデ王の墓の調査は30年以上前にはじまりまっていました。しかし、イスラエルの指導者たちが首相ポスト、大統領ポストを巡って群雄割拠する今、発見されたことで、エルサレム・ポストのコラムニストは偶然の一致だろうかと評しています。記事は、ヘロデ大王の失敗にならい、自分の地位に固執する指導者、指導者の不一致が、やがてイスラエル市民に国を失わせることになるとの警告ではないかとしめくくられています。

墓は、エルサレムから南へ15Kmに位置するヘロデ大王の宮殿あと「ヘロディアン」で発見されました。ここはヘロデ大王が別荘、またエルサレムからマサダへ逃げるときの中間地点の緊急避難用として立てた宮殿です。多くのユダヤ人奴隷を使って、山の頂上部分をきりひらき、カルデヤ状に掘り抜いて作られ、隠された宮殿のようになっています。ヘロデ大王の墓は、その山の中腹にありました。

霊廟そのものはほとんど破壊されていますが、石棺や数々の骨壺がありました。ミクベ(きよめのプール)が併設され、壮大な葬儀のための道路まで造られていました。70年にローマ帝国がエルサレムを陥落させた後、難民が一時この宮殿に非難していました。今回発見された石棺は故意に破壊されており、ローマ帝国の破壊の恐ろしさを物語っています。

<エルサレム統一40周年>

政府が混乱する中、5月13日、エルサレムは統一40周年記念を迎えました。イスラエルが独立宣言を行った1948年、エルサレムはまだ東西に分割された町でした。東西は高い壁によって分断され、東はパレスチナ人、西はユダヤ人居住区となっていました。1967年の六日戦争でイスラエルが勝利し、エルサレムはようやく統一された町となりました。それからちょうど40年になります。現在も東エルサレムにはアラブ人が住み、西エルサレムにはユダヤ人が住んでいます。

<祈り>

  1. オルメルト首相の支えと主の導きのために
  2. イスラエルにふさわしいリーダーが与えられるように
  3. 主が国会を支配してくださり、最善の結果を導き出して下さるように
  4. 40才となったエルサレム市の祝福のために

■ パレスチナ側との衝突激化

ガザからのカッサム・ロケットによる攻撃が南ネゲブ各地に続き、建物の被害が出ています。これを受けて、イスラエル空軍がガザへ報復攻撃を行いました。

ガザとエジプト国境では、今でも少なくとも15本のトンネルがあると推測されています。人や物資が出入りしており、ハマスの重要な資金源になっています。しかし、ガザから完全撤退した今、イスラエル軍がそれらを直接取り締まることができません。ハマスは、もしイスラエル軍がガザへ侵攻するなら、拉致されているイスラエル兵シャリートさんを殺害すると表明しました。

西岸地区ではイスラエル軍の掃討作戦が継続して行われ、テロリストの逮捕に務めています。しかし、先週、戦闘に巻き込まれた妊娠8カ月のパレスチナ人女性が流産し、問題になりました。

また、イスラエル軍はテロへの警戒から、昨年だけで500回以上道路封鎖を行いました。突然行われる道路封鎖は、パレスチナ市民の生活を著しく妨害します。先週、パレスチナ人とその支援者が検問所で激しいデモを行いました。

デモ隊は道路封鎖に使われていた障害物の石を取りのけ、無理矢理封鎖を解放、無許可のタクシー2台がイスラエル側へ入ってしまいました。このとき、イスラエル軍が、暴力的にデモ隊に対応している様子が報道され、軍は現在、調査を行っています。

<祈り>

  1. イスラエル軍指導者の的確な判断と決断のために
  2. テロやロケット攻撃から市民が守られるように
  3. 掃討作戦を行っている現地の兵士、司令官たちのために

■ 子どもたちの危機

<イスラエル:急増する子どもの家庭内暴力>

子どもが親に対して暴力をふるうという、今までになかった社会現象がイスラエルでも問題になっています。

母親への暴力で父が逮捕されたという経歴を持つ10才の少年。11歳になった時、母親にひどい暴力をふるうようになりました。母親が入院するほど負傷したため、少年は保護施設からさらに治療施設へと移されました。また、暴力をふるう6才の子どもに母親が対処できず、警察に助けを求める事例もありました。

このように警察沙汰になるほどの事例は2005年には26人でしたが、2006年は47人になっていました。イスラエルではここ数年、子どもによる家庭内暴力が増えています。

ペタ・ハティクバの精神病院の幼児科担当のミリ・カレン博士によると、子どもによる家庭内暴力で治療を受けにくる子どもは年間200人以上、そのうち、18%は2歳までの幼児です。24%は3歳までの幼児。そんな幼児のすることは普通のいたずらの範囲とする心理学者もいますが、カレン博士は、親に暴力をふるう子は治療しなければやがて周囲の子どもに暴力をふるうようになり、青年になるころには50%の確率で暴力的な大人なると懸念しています。

年長の子どもで暴力が問題となる子どもたちは、情緒的問題、学習障害など様々な背景をもっています。親が愛を持って限界を示してこなかったことが原因と考えられています。このような子どもたちは、親から暴力を受けたり、ネグレクト(無視)されたりする場合が多いので、施設に収容し、治療を受けることになります。

<パレスチナ:娘を売る両親>

西岸地区のラマラで、12歳(15000シェケル)と13歳の娘(7000シェケル)を男2人に売った両親が逮捕されました。少女たちを買った男2人(23歳と25歳の兄弟)も、未成年者強姦の罪で逮捕されました。逮捕された兄弟の母親は「これは昔からあることで、社会に受け入れられていることだ」と主張しています。

ラマラでは、2000年にアルアクサ・インティファーダが勃発してイスラエルとの関係が悪化して以来、犯罪率が200%に急増しました。特に詐欺や偽造が増えており、指名手配者は2300人に上っています。

43歳のアラブ人商人は失踪したあとラマラに連れてこられ、すべてを奪われたあと殺害され遺体はばらばらにされました。また、救急医療に当たる医師や看護師が襲われるケースもあり、ERが閉鎖されるケースも出てきています。犯罪の増加は、貧困とパレスチナ警察の無力ぶりを証明しています。

ガザナは、パレスチナ人武装組織の一つが、国連が運営する幼児園にロケット弾を撃ち込みました。子どもたちにけがはありませんでした。武装組織は、イスラムの子どもたちをキリスト教に改修させていることへの警告だと声明を発表しています。

<祈り>

  1. イスラエルの子どもたちが福音を知って破滅から救われるように
  2. 両親に売られた2人の少女たちの癒しとこれからの人生のために
  3. 貧困と暴力に支配されているパレスチナ側の子どもたちの解放のために
  4. パレスチナ側で福音伝道をしている教会の人々を覚えて

■ フランスの新大統領は親イスラエル派??

アメリカ寄りと言われていたサルコジ氏が、新しいフランスの大統領となりました。リクードのネタニヤフ党首は、サルコジ氏に祝電を送りました。

サルコジ氏はネタニヤフ氏の個人的な友人で、同氏によるとサルコジ氏はイスラエルの立場をよく理解しており、イスラエルの平和への歩みの助けをしたいと願っているということです。

シモン・ペレス氏もサルコジ氏への信頼を表明しており、これからのEUが楽しみだと語っています。

<祈り>

  1. サルコジ政権とイスラエルがよい関係を保つことができるように
  2. フランスで拡大する反ユダヤ勢力に対してよい対策をすすめることができるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

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