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ハイメール通信No. 37 この危機が過ぎ越しますように ~ヤシン師暗殺後のイスラエル~

この夜、主は彼らをエジプトの国から連れ出すために、寝ずの番をされた。(出エジプト12:42)

今日は、過ぎ越しの祭り直前の特別な安息日です。来週月曜日の夜は過ぎ越しの晩餐、以後1週間は初穂の祭り、種無しパンの祭りとイスラエルは祝日の週を迎えます。

先週22日にはハマスの霊的指導者ヤシン師がイスラエル軍によって暗殺。ハマスは報復を宣言しています。イスラエルは厳戒態勢の中で、過ぎ越しを祝っています。



■ ハマス創設の霊的指導者ヤシン師暗殺(3月23日ハアレツ)

3月22日朝5時、ヤシン師(68歳)は、ガザの自宅から250メートル先にあるモスクからの帰り、イスラエル軍に暗殺されました。

ミサイル3発で、ヤシンと7人のボディガードが死亡、ヤシン師の息子を含む15人が負傷しました。

ハマスの軍事部門はイスラエルと海外で報復行動を起こすことを宣言。ヤシン師の葬儀には1000人の戦士を含む数千人が参列。直後から、ガザと西岸地区で複数の紛争が発生しました。

暗殺は国際的な非難を浴びています。EUヨーロッパ連合は、イスラエルの自衛権を認めつつも“暗殺は違法行為”とコメントを発表。アメリカはイスラエル・パレスチナ双方に自粛を呼びかけました。


■ ヤシン師暗殺:厳戒態勢のイスラエル、市民は日常生活を継続

イスラエルの治安当局、並びに警察は、昨日(22日ヤシン暗殺直後)から厳戒態勢に入りました。過ぎ越しの祭り(4月2週目)まで続けられます。(3月23日ハアレツ)

読売新聞3月29日より……市民に安住の地なし

イスラエル軍は、ヨルダン川西岸とガザ地区を全面封鎖し、パレスチナ人のイスラエルへの入国を禁止。イスラエル放送によると、過激派の自爆テロなどに関する情報が各地の警察から寄せられ、1日50件に達するという。

多くの自爆テロが起きているエルサレム中心部では、自動小銃を肩にかけた兵士や警察官が数人ずつで、ほぼすべてのバス停の警戒に当たり、不審者の尋問を行うなどの警備が強化された。(中略)

市内の目抜き通りは、買い物客や食事を楽しむ人々で、ほぼ普段通りの賑わいを見せている。「テロを恐れて家に閉じこもったりしたら、テロに屈することになる」。市民の間では「日常生活を続けることがテロとの戦い」という認識が共通しているようだ。(中略)

一方、紛争の長期化で、テロに対し緊張感に緩み、といった現象が見られるのも事実。ヤシン師殺害を受けて行われたイディオト・アハロノト紙の世論調査でも「以前より、テロを恐れるか」との問いに対し、52%が「変わらない」と回答した。

*ガザの入植者は、ヤシン師暗殺直後より外出せず、家にこもっています。
*イスラエル外務省は海外の領事館などにも厳戒態勢をとらせています。(3月26日ハアレツ)

ランティシ:ハマスの次期指導者について

ランティシ(57)は、ヤシン師のサブリーダーであり、ハマスの規定では、ヤシン師の跡継ぎになるべきポジションにありました。

ランティシは医師で、ハマスのスポークスマンでした。「今後、アリエル・シャロンはどこへ行っても危険にさらされるだろう。彼ら(イスラエル人)をいかなる場所においても攻撃する。ユダヤ人によって追い出された諸君は、元の場所に帰る。戦いによって勝ち取るのだ。抵抗運動はおわらない」と語っています。

一方では……パレスチナの知識階層で武装闘争反対の声:賢いインティファーダを!

一方で、パレスチナ自治政府関係者、知識人ら60人以上が3月25日、イスラエルに対する報復行動をやめるよう、市民に呼びかけました。彼らは、報復は血みどろの争いを新たに始めるばかりでなく、パレスチナ国家の独立になんの益ももたらさないと訴えています。

PLOが発行する新聞アル・アヤンは半面を割いて、“武器をおいて平和的に西岸地区とガザにおけるイスラエルの占領をやめさせよう”と宣伝しました。“抵抗運動は暴力だけではない。賢いインティファーダを”と呼び掛けました。

??なぜ今、イスラエルはヤシン師暗殺に踏み切ったのか


■ アフマド・ヤシン師について~BBCオンライン~

アフマド・ヤシン師は1938年、イギリス委任統治下のパレスチナで生まれました。子どものころの事故で、四肢麻痺になりました。その後より、イスラムの勉強を始め、カイロの大学に在学中、“パレスチナは、さばきの日まではイスラムに与えられた地”という考えを固めました。

ヤシン師はパレスチナの「イスラム兄弟団」で活動を開始。1987年にインティファーダ(パレスチナ人による投石デモ)が始まると、この団体は「ハマス」(イスラム抵抗運動の略・熱心という意味)と名乗り、ヤシンが初代の霊的指導者となりました。

1989年、ヤシン師はイスラエル軍に協力したパレスチナ人の殺害を命じた罪で、イスラエルに逮捕され、1997年まで(8年間)服役しました。ヤシン師は、ハマスの指導者の暗殺を企てて隣国のヨルダンに捕まっていた、2人のイスラエル人スパイとの交換で釈放されました(このとき61歳)。ヤシンの人気はアラファトより劣ってはいましたが、イスラエルに服役することによって、パレスチナ人抵抗運動のシンボルとしての地位を確立していきました。

ハマスは経済危機に苦しむパレスチナ市民たちに物質的な支援をしてきました。学校や診療所をたてて、貧しい家族には無償のサービスを提供しました。これにより、湾岸アラブ諸国からの資金援助が増大していきました。(イスラムの教えの中で施しは5つの義務の中に入っている)ヤシン師はこのように、霊的指導者としての人気と地位を確固たるものにしていきました。

ヤシン師はパレスチナ自治政府やアラブ諸国との関係も良好に保ちました。しかし平和に関しては“平和への道などというものはありえない。ジハード(聖戦)と抵抗運動あるのみ”と繰り返し表明。2003年のアカバ・サミット(アッバス元首相、シャロン首相、ブッシュ大統領)も非難。

当時はアッバス元首相の要請で、一時的停戦を宣言したものの、エルサレムの自爆テロでイスラエル人21人を殺害。これをうけて、イスラエルがハマス幹部2人を暗殺し、停戦は破棄されるに至りました。

ハマスは1993年のオスロ合意(イスラエルとPLOの和平合意)、それに基づく1996年のパレスチナ自治政府首相選挙も否定しています。

ヤシン師は、霊的な影響力を行使して、若いパレスチナ人たちに“平和に希望はない”と教えました。むしろ“イスラムの敵との闘争で死ぬことが、パレスチナの栄光のためである”と指導しました。その結果、多くの若者が自爆テロに走りました。(ハマスオンラインには殉教者の遺言ビデオが数多く載せられています)

最近では女性が自爆することをヤシンが承認、実行者を賞賛しました。以来、女性や子どもが自爆テロリストして活動するようになりました。

ハマス・スローガン

“アラーを仰ぎ、預言者をモデルとし、コーランに従う。
アラーのために聖戦で死すことは最高の栄誉である”

ハマス基本信条

すべての賛美と感謝はアラーに。終わりの日に私たちは裁かれるためにアラーのもとに帰る。

私たちはアラーをほめたたえ、アラーの助けと赦しを求める。魂の罪、悪い行いの実からアラーが守ってくださるように。アラーがお導き下さるとき、道を踏み外すことはない。アラー以外にほめたたえられるべきものはない。アラーこそ唯一のお方。そしてムハマドはアラーの僕、アラーのメッセンジャーであることを証しする。

殉教について

殉教者は、アラーにすべてを信頼したイスラム教徒である。なぜなら殉教作戦を実行したからといって、必ずしも死ぬとは限らないからである。死を決めるのはアラーの御心のみである。殉教者が目指すのは、ただイスラムの敵に害を与え、アラーに従ってパラダイスを求めること。

だから殉教は純粋で自己否定であり、これこそイスラム教徒なのである。

ハマスはイスラム原理主義の組織です。今回、ハマスの目標や考え方を彼らのHPから抜粋しました。驚いたことに、そこには“イスラエル”という文字はほとんど出てきません。「イスラムの敵」ということばは多く使われています。彼らがテロを起こし続けるのは、イスラエルやイスラエル人への憎しみというよりは、ただジハード(聖戦)をすることが目的であるような印象を受けます。平和は彼らの目的を達成するものではなく、聖戦の機会を失わせるものに過ぎないのかもしれません。


■ イスラエル政府のねらい:ヤシン師暗殺

イスラエル政府は、シャロン首相の一方的分離政策に従って、ガザの入植者を撤退させる計画を進めています。ハマスはこれを、イスラエルの敗北と呼び始めていました。ヤシン師暗殺は、イスラエルのガザからの撤退が決してハマスの圧力に屈したものではない、という表明でした。

今回のことについて、イスラエルが取った行動が正しい、あるいは間違っている、という判断は私たちにはできません。

しかし、一般の報道で取り上げられているような情報に基づいて「パレスチナの霊的指導者をイスラエルが一方的に殺害した」と判断するのではなく、イスラエルがこの決断に至るまでの経緯にはよくよくの背景があったことを、よく理解してこの出来事をとらえる必要があると思います。

<祈り>

  1. 過ぎ越しの期間中、イスラエルでのすべてのテロが未然に阻止、発見、もしくは失敗に終わるように。
  2. 憎しみにかられているパレスチナのハマスの戦士たちの心から超自然的にその心が取り去られるように。
  3. 世界各地、特にヨーロッパのユダヤ人地域、施設、学校、人々が守られるように。
  4. パレスチナの真の平和は主イエスを通してでしか絶対に成り立ちません。
    イスラエル、そしてパレスチナ双方の魂の救いのために。

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