ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 63 撤退まであと95日
ガザ撤退まであと95日になりました。イスラエルでは撤退者の行き先や補償について、さまざまな案が出されています。そんな中、ガザの入植地ではロケット弾が計80発打ち込まれました。幸い怪我人も出ず、イスラエルは冷静な対応をとりました。イスラエルでは来週4月24日から、過越の祭り、種無しパンの祭りとホリデーシーズンを迎えます。ガザ撤退者の支えと備えのために、またホリデー期間中の安全が守られるようにとりなしましょう。
人の日は、草のよう。
野の花のように咲く。
風がそこを過ぎると、それは、もはやない。
その場所すら、それを知らない。
しかし、主の恵みは、とこしえから、とこしえまで、
主を恐れる者の上にある。(詩篇103:16-17)
ガザの代表的な入植地グシュ・カチーフからの撤退者を、アシュケロンの北、ニツァニム砂丘に移動させ、一家族500平方キロの土地を提供する案を政府が進めているという情報を、イスラエルの新聞『ハアレツ』紙が明らかにしました。
農園を所有していた住民にはさらに大きな土地が与えられ、家も2件建てる権利がついてきます。
またこの案によると、撤退者には“ネゲブ(砂漠)手当て”として30,000ドルも与えられる予定です。
実際にはニツァニム砂丘に現存する町・ニツァンを拡張して1,700家族すべてを移動させるか、ニツァン周囲に4つの地域を開拓して、分かれて移住させるかの二つの案があります。
しかし問題は、土地を提供されても、とりあえず住む家が必要であるということです。
とりあえずホテルに入るという案は当事者たちが拒否しています。またニツァニム案は費用がかかりすぎることもあり、反対者も少なくありません。
グッシュ・カチーフには徹底抗戦の構えを見せ、どんな交渉にも応じない住民がおり、この案が受け入れられるかどうかはまったく不透明です。
ニツァニム砂丘の自然破壊にもなることから、環境省はこの案に反対です。撤退まで3カ月の今、住宅省は撤退者の住宅対策に追われています。(ハアレツ4月13日)
『エルサレム・ポスト』紙の調べでは、撤退者をネゲブ地方にいったん移動させ、トレーラー(移動式のキャンピングカーのようなもの)か仮設住宅に住まわせる案があることを報告しています。
トーイラーや仮設住宅は最長18カ月無料で提供され、その間に定住先を確保する考えです。住宅省では10の町を撤退者のために開拓する方針で、一時住居となるトレーラーや仮設住宅の建設を進めています。
政府の提供するトレーラーは70-90mで、3~5つの部屋がついています。ユダヤ・サマリヤ・ガザ入植者協会スポークスマンのアムラジー氏は次のように語っています。
「50-60歳になる人々をトレーラーに住まわせるなど大変な恥辱です。彼らは人生をかけてようやくすばらしい家を建て、快適な生活を築き上げてきた人たちなのです。政府は彼らを難民にしてしまうのです。」(エルサレム・ポスト4月12日)
*4月14日の「ハアレツ」「エルサレムポスト」によると、グッシュ・カチーフの住民代表団と政府との5時間の交渉の後、住民側がニツァニム案を条件つきで受け入れた模様です。
住民らは100人の弁護士団を設立し、移住計画の法整備を進めていく予定です。
現時点の案では現存する町ニツァンに新たに住宅を建てて100戸から650戸に増やすとともに、周辺に3つの地区を開拓して1780件を新築、8500人が移住することになります。
この地域に新しく「ニツァニム」管区ができあがります。(ハアレツ4月14日)
イスラエル政府は、撤退後、パレスチナ人たちが略奪にくることを懸念していましたが、シャロン首相はパレスチナ自治政府が撤退に協調するならば、空き家や水道光熱設備を破壊しないことを表明しました。
ガザの入植地の家々は美しく、良く手入れがなされています。撤退する住民の中には、心を込めて手入れしてきた家に、パレスチナ人の幹部らが住み込むようになるだろうと、不快な思いをもつ人もいます。
シナゴーグ(ユダヤ教会堂)と墓地については、入植地に残さず、住民と一緒に移動させることになっています。(ハアレツ他)
シャロン首相とアッバス議長が、暴力の停止に合意して2カ月になります。
4月9日、ガザとエジプトの国境線に近づいてきた少年ら5人(14-15歳)のうち3人を、イスラエル国防軍が射殺しました。残りの2人は逃走して、パレスチナ警察に保護されました。
国防軍は詳細を調査中ですが、少年らは武装して侵入を試みていたようです。しかし、パレスチナ側からは報復として、計約80発のカチューシャ・ロケット、30発の迫撃砲がグシュ・カチーフに打ち込まれました。
幸い、少しの器物破損だけで怪我人は出ませんでした。
モファズ国防相は、アッバス議長に、直ちに暴力を停止するように訴えました。モファズ国防相はこの件を国家的な危機としてではなく、地域紛争とみることで、事態の悪化を防ぐことにしています。
今年過ぎ越しの祭りは4月24日に始まります。イスラエルでは過越から種無しパンの祭りへと、8日間の大型連休となります。
過去、過越の祭りで自爆テロが頻発し、多くのイスラエル人が犠牲となりました。この期間の安全をとりなしましょう。また多くの人々が海外に出かけます。旅先でテロに遭わないように祈りましょう。
ガザの住民にとっては自宅で祝う最後の過ぎ越しとなります。彼らを覚えて、主の慰めとあわれみと希望、救いを祈りましょう。
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