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ハイメール通信No. 60 撤退日は7月20日:現実に直面する入植者たち

ガザからの撤退がいよいよ7月に始まります。現実に直面し、対象となる入植者の多くは撤退準備に入りました。現在補償について政府と交渉が進んでいます。テルアビブでは自爆テロで市民4人が死亡。イスラエルはパレスチナ自治政府がテロを取り締まるまで、ロードマップに進展はないと表明しました。

主を待ち望め。その道を守れ。
そうすれば、主はあなたがたを高く上げて、
地を受け継がせてくださる。(詩篇37:34)



■ 撤退日は7月20日:ガザ入植者の半数が撤退準備始める

イスラエル政府は、ガザと西岸地区北部の入植地から撤退することについて最終的な議決をとり、賛成17、反対5で可決されました。

これを受けてシャロン首相は撤退日を7月20日と定め、それ以降の滞在は違法とする書類にサインしました。

閣僚らは、撤退について「イスラエルにとっては歴史的なこと」とし、「入植者だけでなく、イスラエル市民、政治家にとっても大変な痛みを伴う決断」と語っています。

イスラエルはこれに伴い、建設中の防護壁についても新しいルートを策定しました。(ハアレツ2月20日)

*撤退プランは8週間

イスラエル国防軍のヤアロン総参謀長は、ガザの24入植地とサマリア(西岸地区北部)の2入植地の撤退に要する期間を、8週間との見通しで計画案をまとめました。

国防軍自体は、撤退後も入植地にしばらく駐屯を続け、完全撤退は今年中との計画です。

しかし、モファズ国防相は、撤退反対派との衝突を避けるため、短期間で撤退する計画を立てるよう指示を出したもようです。

ヤアロン総参謀長は、入植者を撤退させる役務を拒否する兵士らに対し、その対処を定めたガイドラインを次のように承認しました。

直接入植者を撤退させるのは警察で、国防軍はその周囲を防護するのが担当となります。

この役務に服するのは職業軍人、士官候補生、女性兵士、女性軍警察官となります。派遣前には「精神的準備」のためのプログラムも計画されています。(ハアレツ2月24日)

*ヤアロン総参謀長は撤退直前に任期を終えるため、実際に撤退を指揮するのはダン・ハルーツ氏に決まっています。

警察の撤退案

撤退の準備から終了までにはのべ18,000人以上の警察官が必要と見られています。そのうち7,000人以上が、国防軍とのジョイント訓練を受ける予定です。

反撤退派との衝突に対処するため、4,000人が撤退開始前から配備されます。

実際に撤退が始まると、1シフト12時間勤務が予想されます。ちょうど夏休み期間中であるため、子持ちの警察官には課題となりそうです。(ハアレツ2月21日)

入植者の反応

ガザ撤退補償問題を担当するヨナタン・バシ氏によると、グシュ・カチーフ(ガザの代表的な入植地)の住人の半数が撤退を承認し、補償問題についての交渉をしています。

バシ氏によるとガザ南部の入植家族1,700世帯のうち、800世帯がすでに撤退を表明したのに加えて、600世帯が2カ月以内に撤退することに合意しました。

残り300世帯については交渉が続けられます。45人分のユダヤ人墓地も引越しの対象です。

入植者が設営した4,000デュナミスのグリーンハウスも、第三者を通じてパレスチナ人へ譲渡することが始まっています。

タル・シャダールさん(30)入植地に6年間在住

「私たちは経済的な理由でここに来ました。ここで得たような環境を他で得ることはできませんでした。でもカッサムロケットが自宅に打ち込まれたときから、ここを出ることを考えていました。

部屋には4カ月になる息子がいました。私たちがもう数秒遅れて彼を抱き上げていたら、今頃彼は死んでいました。撤退します。心の準備はできています。庭や家の手入れはもう意味がないのでやめてしまいました。」

シュロモー・ヴィセルタールさん(56)入植地に27年在住

「私はゼラニウムを栽培しています。子供たちも孫たちもいます。私はシャロン首相の分離案の目的は十分理解しています。

しかしシャロン首相は一度も私たちに直接会って、ことの経過を説明しなかった。そうしてくれたら、私たちもイスラエルのために喜んで撤退したでしょう。政府は説明する代わりに、私たちに対する中傷を浴びせたのです。

私は壁に掛けた絵を一つ取り外そうとしました。できませんでした。荷造りする気になれません。そのうち警察が来て、期限内に引っ越せと言う。もし引っ越さなかったら、私が今まで築き上げてきたものがすべて没収されてしまうのです。

私はもう56歳です。政府がくれる補償金は今の収入の10%にしか過ぎません。お金ではなく家が必要です。でも今のような場所は他にないのです。行く所がありません。」

アヤラ・アズランさん(47)入植地に18年在住

「こんな不幸が私たちに降り掛かってきたのも、天からのものかもしれないと時々思います。

私たちは、ここから出て行くことで、私たち自身のアイデンティテイをあらためて発見することになるでしょう。

この分離政策は、私たちの歴史と今まで持っていたアイデンティティからの分離だからです。私の息子は一月以内に従軍することになっています。

彼が撤退の任務につくことはないと思いますが、今彼は国と政府に対してどのような態度をとるべきなのか混乱しています。」

<祈り>

  1. 撤退者家族それぞれに落ち着き先が与えられるように。
  2. 撤退者家族が主に立ち返り、希望をもつことができるように。
  3. 撤退の具体案に携わっているすべての関係者に知恵が与えられるように。
  4. シャロン首相他、政府要人の身の安全のために。

■ テルアビブ自爆テロ:その背景と影響

2月26日(金)、テルアビブで自爆テロがあり、イスラエル市民4人が犠牲となりました。

イスラム聖戦が犯行声明を出しました。自爆テロを決行したのは、西岸地区在住のパレスチナ人青年(21)。自爆前の遺言ビデオで、青年は「アメリカの言いなりになっているパレスチナ自治政府の政策を妨害する目的で、自爆を決行する」と言っていました。

アメリカのライス国務長官は、パレスチナ自治政府に対し、直ちに犯人の責任を追及し、テロは赦されないという明らかなメッセージを出すよう要求しました。

今回のようなテロは単に人命を奪うだけでなく、平和への希望をも破壊するからです。

国連のアナン事務総長も非難声明を出しました。(ハアレツ2月26日)

テルアビブでの自爆テロを受けて、イスラエル政府は直ちにイスラエルに収監しているパレスチナ人の返還、ならびに予定されていた西岸地区の町の返還を凍結しました。

イスラエル軍が報復処置に出たという報告はありません。シャロン首相はライス国務長官に対して、このようなテロがある限り、イスラエルはロードマップの第一段階すら受け入れることはできないと明言しました。

シャロン首相は、パレスチナ自治政府(以後PAと略す)に対しても、イスラム聖戦やその他のテロ組織を押さえ込むまでは、イスラエル軍による武力行使も辞さないことを警告しました。

イスラエルのモファズ国防相はPAにテロリストのリストを提供し、逮捕するよう要求しました。

同時にイスラム聖戦の本部があり、支援しているシリアに対しても圧力を掛けました。(ハアレツ2月28日)

*ロンドン・パレスチナ改革会議

ロンドンで、パレスチナの改革のための一日会議が開かれました。

会議ではロードマップを推進するカルテット(アメリカ、UN、EU、ロシア)が、パレスチナ人はテロを止めない限り国家建設の夢は実現しない、と警告しました。

PAのアッバス議長はすでにテロ行為に対する非難声明を出しています。この会議で、PAは支援国より1億2,000万ドルを2005年内に受け取ることになりました。

今までの最高額で、これ以上の収入も予想されています。

この会議のホストを務めたイギリスのブレア首相は、パレスチナ国家樹立の一歩になったと語りました。(ハアレツ3月1日)

<祈り>

  1. 和平を妨害するテロが起こらないように。
  2. アッバス議長、シャロン首相が和平の道を守り切ることができるように。

■ 4月の過ぎ越しシーズン:イスラエルへのフライトはすでに満席

今年の過ぎ越しの祭りは4月末になります。

この期間、アメリカからイスラエルへのフライトが、すでに満席となっていることが分かりました。

アメリカだけでも3,000人がキャンセル待ちをしています。イスラエル観光相は各航空会社社長に会い、増便の打診をしています。

かつてイスラエル国営だった航空会社のエルアルは、民間になってから便数を減らしていました。観光客が増えればホテルや観光産業の回復も早期に期待できるため、観光省の努力に期待が掛けられています。(ハアレツ2月23日)

<祈り>

  1. フライトが増便され、観光客が多くイスラエルを訪問できるように。
  2. すべてのフライト、観光客がテロから守られるように。

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