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ハイメール通信No. 157 停戦、それから・・・

1月18日、「イスラエルはガザでの戦いで目標を達した」として、オルメルト首相が一方的な停戦を宣言しました。続いてハマスも独自の停戦宣言を出し、3週間に及ぶガザでの戦闘が一応の停戦となりました。

今後、ガザをどう復興させていくか、イラン、シリアなどの過激派とエジプト、サウジアラビアなどの穏健派諸国の動き、またオバマ新大統領の中東和平チームの動きに注目されます。

イスラエルがガザと再びいたちごっこを繰り返さなくてもいいように、このチャンスが生かされてガザが変えられるように祈りましょう。

(写真:撤退するイスラエル兵)

この苦しみの時に、彼らが主に向かって叫ぶと、主は彼らを苦悩から救い出された。(詩篇107:6)



■ 停戦のいきさつ

ガザでの戦闘が始まってから2週間目、国連安保理が8日、最初の停戦案を出しました。この案は具体性に欠けていたため、イスラエルは拒否、続いてハマスもこれを拒否しました。

イスマイル・ハニエなどハマス幹部はシーファ病院の地下や、ガザ市内のモスク、国連施設など攻撃できない場所を点々と移動しながら隠遁していると見られていました。イスラエルは空爆を続け、地上軍はいよいよガザ市内に突入する直前までハマスを追いつめました。

国連は、ハマスによって武器の密輸が行われ、問題となっているガザとエジプトの国境(フィラデルフィ回廊)を、トルコとフランスが監視する新たな停戦案を出し、カイロで双方の代表者が出席する会議が開かれることになりました。

当初ハマスはこれに賛同する動きを見せていましたが最終的には拒否。イスラエルも代表を送ると言いながらリブニ外相は、急遽アメリカを訪問、ヨーロッパではなくアメリカがフィラデルフィ回廊の監視に一役買うことで合意をとりつけました。

これを受けて1月17日、イスラエル閣議は、ガザ市内部への最終突入をやめ、停戦の道を選びました。18日深夜、オルメルト首相は「イスラエルは目的を達した」として一方的に攻撃を停止すると発表、午前2時、停戦に入りました。

オルメルト首相は「もしハマスがイスラエルへのロケット攻撃を続けるならイスラエル軍は躊躇なく攻撃を再開する。しかしもし攻撃がなければイスラエル軍は直ちにガザから撤退する」とも表明しました。

同じ日の午後、ハマスも独自の停戦を宣言。「攻撃を停止する代わりにイスラエル軍は7日以内に撤退せよ」と要求しました。ガザからは一時ロケット弾による攻撃がありましたが、その後は静寂が続いています。(写真:逮捕されたハマス・メンバー)

イスラエル軍はオルメルト首相の停戦宣言から直ちに撤退を開始、20日のオバマ米大統領の就任までにすべての撤退を完了しました。現在、スデロットなどガザ周辺の町では、8年ぶりにロケット弾攻撃のない日が訪れています。学校が再開され、子どもたちがシェルターから出て、学校に通い始めました。

今回の戦闘で死亡した人はガザ地区で1,300人、イスラエル側では13人となっています。負傷者は数えきれず、回復を祈る必要があります。

イスラエルの推測によると、イスラエルはガザ密輸トンネルの80%を破壊、ロケット弾1,200を破壊したため、現在ハマスに残されたロケット弾の数は数十基のグラッド・ミサイルを含めて1,000を下回るということです。

拉致されているイスラエル兵シャリートさんを取り戻すことはできませんでした。


■ 今しなければならないこと

1.ガザ復興支援

停戦となり、ガザの復興支援がはじまりました。ガザで支援活動をしている人々が大変な惨劇を報告しています。手や足を失っている子どもたち、両親と子どもを失って泣いている男性。

市民は皆、また戦争が始まるのではないかという心理的な恐怖で、動けなくなっています。子どもたちは学校へ通い始めましたが、集中して勉強できる状態ではありません。

イスラエル側からは、いろいろな国際組織から送られた人道支援物資4,946トンを満載したトラック195台が日々ガザ内部へ運び込まれています。ヨルダンやエジプト、イスラエルのチャリティ団体もこれに参加しています。(写真)

イスラエルはガザとの国境に緊急のクリニックを開設し、負傷者を受け入れ、イスラエル国内の病院に送って治療をすすめています。これまでに33人がイスラエルの病院で手当を受けています。残念ながらこのクリニックに受診に来る人は予想を遙かに超えて少ない状況で、ハマスへの恐れとイスラエルへの憎しみが強いことが原因と見られています。

今、イスラエル、また国際社会が最も注意しなければならないことは、ガザの復興支援にイランが介入しないことです。

2006年のレバノン戦争では、停戦後イランが強大な石油資金を投入して、がれきの山と化していた南レバノンの道路やインフラをあっというまに回復させました。イランは家を破壊された家族それぞれに12,000ドル(約120万円)を支給しました。当然、ヒズボラの戦力を戦争前よりも強大にしたのもイランです。

2.ガザの社会生活回復をだれが導くのか

第二次世界大戦後、焦土と化した日本を近代国家にするために、アメリカが介入しました。かつての敵国ではありましたが、日本はアメリカに助けられ繁栄の道を歩みはじめることができました。ガザも今、そのチャンスにあると言えます。

国際社会は、今、エジプトやヨルダンなどの穏健派アラブ諸国の支援で、パレスチナ自治政府のアッバス議長にガザを管理させ、治安と社会生活の回復を計画しています。アメリカ、EU,イスラエルは、戦後ガザを、イランとシリアの枢軸から切り離したい考えです。

1月17日、EU6ヵ国首脳(フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、チェコ(現EU大統領)はシャルム・エル・シェイク(シナイ半島)で会談を持ち、イスラエルが8年間ハマスの攻撃に耐えてきたことを確認、再びハマスが攻撃を再開することのないよう、武器の密輸を食い止めると同時に、パレスチナ人の経済を活性化させることで合意しました。(写真)

この合意はアメリカとエジプトが賛同することになっています。6人のEU首脳は翌日、エルサレムのオルメルト首相を訪問し、合意を確認しました。EUとイスラエルはかつてなかったほどの合意に至っています。

一方、1月18日、カタールのドーハでアラブ諸国のサミットが行われました。参加したのはハマスとイラン、シリア、イラクで、穏健派といわれるエジプト、ヨルダン、サウジアラビアは参加ませんでした。アラブ諸国内の過激派と穏健派の対立が大きくなっているようです。

3.イスラエルへの攻撃が再開しないために

ガザとイスラエルがもとの「いたちごっこ」に戻らないようにするために最も重要なことは、ガザとエジプトの間のフィラデルフィ回廊に地下密輸トンネルを再開させないことです。

イスラエル軍はイランが新型ミサイルをガザへ導入することを恐れています。このミサイルは射程70Kmあり、テルアビブを余裕で射程に入れています。長さは10mありますが、分解すれば地下トンネルを通過することができます。ミサイルが導入されるかどうかは密輸トンネルを十分取り締まれるかどうかにかかっています。しかし、このトンネルは次のような理由で、なかなか取締るのが難しい状況です。

<地下トンネルで生計を立てるラファの人々>

フィラデルフィ回廊のガザ側の町はラファ。ここに住む人々はトンネルを掘って生活をしています。(地図:黄色線がフイラデルフィ回廊でトンネルのあるところ。その中にラファがある)

ハマスがガザを占拠してからは、イスラエル、エジプト双方が国境を閉鎖したため、日常生活の流通までもがトンネルに頼らざるを得なくなっています。トンネルは市民生活に深く根付いてしまっているのです。

特にトンネルを掘るのは体の小さい少年たちです。彼らはこの町に生まれ、この町で育ち、イスラエルと戦うことと、トンネルを掘ることしか知りません。彼らはグーグルアースを使ってトンネルのコースを決め、友人たちと協力しながら数キロにも及ぶトンネルを掘っていきます。

大変危険な作業ですが、一本100ドルという低賃金で少年たちは使われているようです。ラファではどの家もトンネルで生きているということです。

以前、エジプトとの国境壁が一時打ち倒され、ガザの人々が自由に行き来することができた時がありました。ガザのためには良かったと言いながら、トンネルで稼げなくなった少年たちはどうして生計を立てたらいいのかと、悩んでいる姿がありました。

<エジプトは信頼できるか>

トンネルを取り締まる立場にあるのはエジプトです。しかし、エジプトが二枚舌であることを知らない者はいません。

エジプトは、トンネルを取り締まるジェスチャは見せていても、実際は地下トンネルが開通していることに目を閉じてきました。そうでなければこれほどまでに多くのトンネルが掘られるはずがありません。

これはエジプトの兵士、警官の給与が低く、彼らが賄賂によって動くという悪習慣が原因です。以前、エジプト軍がトンネルを検挙したというニュースが流れましたが、それは単に十分にわいろを支払わない密輸業者へのみせしめだったと言われています。

またトンネルを実際に使うのは、ハマスやイラン人というよりは、シナイ半島に住むエジプト系ベドウィンです。彼らは武器だけでなく、女性や麻薬をトンネル経由で密輸し(最終地点はイスラエル)、莫大な利益を得ています。

彼らはベドゥインなので正確にはエジプト人ではありません。エジプト政府は彼らの密輸を取り締まろうとしますが、そのたびに彼らはタバやシャルムエルシェイクなどシナイ半島のリゾート地で大規模爆弾テロを決行しました。それがエジプトの観光業に打撃を与えるからです。

今回も、トンネルを取り締まる責任はエジプトが負うことになっていますが、エジプトに期待することはできません。

<オバマ大統領の動き>

20日にアメリカの大統領に就任したオバマ氏は、中東和平チームにジョージ・C・ミッチェル氏を指名しました。ミッチェル氏は北部アイルランド問題において和平交渉にあたった人物です。

ミッチェル氏は、まもなく現地を訪れる予定で「どんな紛争も解決できないことはない。」と語っています。オバマ大統領はクリントン国務長官とともにハマスが8年間もイスラエル市民に対してロケット攻撃を行ってきたことを非難し、ハマスが暴力とガザの支配をやめるべきであると語っています。

<祈り>

  1. イランがガザの復興に関わることのないように。
    国際社会の指導者たちに知恵が与えられるように。ハマスが再び影響を及ぼさないように。
    特にトンネルがまた掘られることのないように
  2. 心身に大きな傷を負っているガザの人々を覚えて
  3. 戦後ガザに主の介入があるように。
    福音が広まり、人々が恐怖と憎しみの連鎖から解放されるように。
    特にガザのクリスチャンを覚えて

■ ガザ地区内部の真相~ハマスの実態を証言する兵士たち~ (アルーツ・シェバ記事より抜粋)

停戦となり、兵士たちが家族の元へ帰ることができました。彼らはガザ内部で起こっていたことを次のように証言しています。

1.爆弾が仕掛けられた家々

地上戦を戦った兵士たちは、ガザの家々を一件ずつ回ってハマスの検挙を行いました。ほとんどの家に爆弾が仕掛けられており、イスラエル兵が入るのを見計らって爆破するようになっていました。

実際に民間人家族が住んでいる家屋にも爆弾が仕掛けられていました。ハマスはイスラエル兵と一緒に一家を全滅させることをなんとも思っていないのです。

戦争中、ガザで一家が全滅したニュースが流れましたが、イスラエルによる殺害ではなく、ハマスの爆弾で死亡した可能性も否定できません。ハマスは小学校や幼稚園、動物園にも爆弾を仕掛けていました。

ある時、部隊がアパートに入ろうとしたところ、女性がアラブ語で「出て行け!出て行け!ここは危険だ」と叫びました。司令官は、危険を冒したくなかったのでそのアパートへの侵入をやめました。

しばらくして次のアパートに入ろうとするとまた同じ女性が出てきて同じことを叫びました。同じ事がもう一回繰り返されました。調べると、どのアパートにも爆弾が仕掛けられており、部隊が侵入したところで爆破されるところでした。

世界中のクリスチャンが日夜捧げた祈りが用いられ、主の奇跡的な守りがあったひとつの証です。

2.トンネルがくまなく連絡するガザ

ガザでは、あらゆる家々が地下トンネルで連結されていました。どの家にもトンネルの口があります。トンネルは物流のためだけではありません。イスラエル兵を拉致するためのものでした。

藪が急に動いて腕が現れ兵士の足をひっぱって引きずり込もうとしたことが数え切れないほどありました。また一件の家で寝ていると、床が突然ひらいてトンネル内へ連れ込まれそうになることもありました。兵士たちは決して一人で行動しないように、いつもともに動いていたようです。

3.子どもや老人を使うハマス

イスラエル軍は作戦遂行に先立ち、電話などのコミュニケーションをまず断ちました。ハマス幹部たちは病院の地下などに隠れており連絡が取れないため、子どもを連絡係に走らせていました。イスラエル軍は連絡メモを持って走る子どもを実際に保護しています。

ある時、背が曲がり、杖をつきながら歩く高齢の男性が何かを探しながら歩いていました。彼はイスラエル兵を見つけると杖を放り出して兵士たちの方へ走ってきました。自爆攻撃でした。兵士が彼を射殺したため、イスラエル兵には被害はありませんでした。

イスラエルでは緊急事態に備えて、ガザから数十キロもはなれた町でも休校にして子どもの安全を確保しました。

しかし、ガザではイスラエルの空爆が日夜行われているようなところで、150~200人の子どもたちを保育園に登園させていました。さらに驚いたことに、その保育園には爆弾が仕掛けられていました。さらにハマスはそのような場所からロケット弾をイスラエルへ向けて撃ち込んでいたのです。

4.テフィリン(詩篇の小さな祈祷書)とともにガザへ入る

ガザへ侵攻前、地上軍兵士には、ラビからテフィリンが贈られました。普段は無神論者で、宗教に反論していた兵士が、一つ、二つ、三つとテフィリンを受け取って、あたかも防弾グッズのようにテフィリンを身につけました。

ガザでは、世俗的な兵士も祈りを口ずさみ、神がともにいてくださることを願いました。-実際、兵士たちは神がそばにいること、神の御手があることを感じたといっています。

ガザにいる兵士には、それぞれイスラエルの子どもたちから甘いものの入ったパッケージが届けられました。食べ物そのものよりも、添えられている手紙がうれしく、戦場で何度も取り出しては読んで励まされたといいます。

停戦後、兵士たちはパッケージを贈ってくれた子どもたちに個人的に電話をかけて感謝を伝えました。今度は子どもたちが励まされたと言います。

<祈り>

  1. 神を意識した兵士たちが福音にまで導かれるように
  2. 重症を追って入院中の兵士が早く回復できるように

■ 総選挙にむけて

2月10日、イスラエルでは予定通り、総選挙が行われます。

世論調査では現在、リクードのネタニヤフ氏がトップで29議席、次にカディマのリブニ氏25議席、続いて労働党のバラク氏17議席となっています。

リブニ氏とバラク氏はテレビ討論をネタニヤフ氏に呼びかけていますが、ネタニヤフ氏は応じない構えです。

<祈り>

  1. 何よりもイスラエルと主を愛する人を主が選んでくださるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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