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ハイメール通信No. 153 どう出る!?オバマ大統領

来年1月に就任が決まっているオバマ大統領。世界中から嘆願書が集まってきています。パレスチナ側、イスラエル側双方もそれぞれ要請を出しています。
今週、オルメルト首相がワシントンを訪問、ブッシュ現大統領、並びにオバマ氏と会談しました。中東和平だけでなくイラン攻撃についても話し合われた模様です。

イスラエルでは1967年の国境線まで撤退するのはやむをえないとする政府に対し、撤退はせずにパレスチナ側の経済を活性化する案を打ち出す右派リクードのネタニヤフ氏の人気が高まっています。

来年2月に行われるイスラエルの総選挙。だれが首相になるのか、オバマ氏の出方が大きく影響することになります。

金融危機の影響で、アメリカから帰国するイスラエル人が増えています。経済の悪化が予想される中、イスラエルはエチオピアから1100人の移民を受け入れを決めました。
今週も主の守りと経済の祝福がイスラエルの上にあるようにおとりなしください。

わたしが主である。他にはいない。
わたしは光を造り出し、やみを創造し、
平和をつくり、わざわいを創造する。
わたしは主、これらすべてを造る者。(イザヤ45:6-7)



■ イラン情勢

先週、イランは核燃料向けの630Kgの低濃縮ウランを所有しているだけであると報告し、ウランの濃縮を停止するようにとのIAEAの勧告を拒否しました。これはすでに核兵器へ転換する可能性のある量であると専門家は分析しています。

イギリスの有力紙ロンドンタイムスによれば、IAEA(核拡散防止機構)は、イランが長崎に投下されたものと同じ破壊力のある核爆弾を保有しうると予測しています。
(写真:長崎に投下された原子爆弾ファットマン Wikipediaより)*当時長崎市人口の3分の2にあたる7万4000人が死亡)

もしイスラエルがイランを攻撃するとしたら、戦闘機が、イラク上空を通過するためアメリカの協力が必要になります。今週、オルメルト首相はワシントンを訪問し、ブッシュ大統領、オバマ次期大統領と会談を持ちました。公にはなされていませんが、イラン攻撃に関する話し合いもなされたと言われています。

現時点に置いてオバマ大統領はイランとの直接対話を重視しており、攻撃への協力は得にくいものと考えられています。アメリカの雑誌タイムもイスラエルがイランを攻撃する可能性がここ数週間でさらに高まったと報じています。

<イラン-スパイを公開絞首刑>

イスラエルがイランを攻撃する可能性が高まる中、テヘランでは、イスラエルの諜報機関モサドに協力してスパイ活動をしていたとされるアリ・アシュタリを絞首刑に処しました。

イスラエルだけでなく、あらゆる国のスパイ活動に協力しないようにと、全国民へ向けた強力な警告です。アフマディネジャド大統領は、国内での支持率が下がってきており、それに対する恐れのあらわれではないかと推測されています。

<祈り>

  1. 主があわれんでくださり、すべてを支配し、中東の平穏を守ってくださるように
  2. イランの過激な政権が、イラン人自身の選択で穏健な政権と変えられるように

■ パレスチナ側の嘆願とイスラエルの動き

オバマ次期大統領には、すでに世界中からの嘆願書がよせられており、全部読むだけでも10年はかかると言われています。その中の一つがパレスチナ自治政府からの嘆願書で、「アラブ和平案」を再度検討するよう要請しています。アッバス議長はオバマ氏と電話で対談し、オバマ次期大統領は、“2国家設立への努力を惜しまない”ことで合意したと発表しました。

*アラブ和平案(アラブ・イニシエチブ)

2002年にサウジアラビア国王の発案で出されたアラブ側主導の中東和平案のこと。

穏健派アラブ諸国39ヵ国との国交正常化(イスラエルの存在を認めること)とひきかえに、

①イスラエルが1967年の国境線(グリーンライン)まで撤退すること、
②パレスチナ人のイスラエル領内への帰還
が盛り込まれています。

この案に最も積極的だったのがヨルダンです。ヨルダンは、この案のヘブライ語訳を作成し、エルサレムで宣伝活動を展開。これまでに国会議員50名に直接会談しています。今年、10月バラク国防相が、ヒズボラやハマスと対峙するにあたり、穏健派アラブ諸国を味方につけることはイスラエルにとって益となるかもしれず、検討の余地があると語っています。

イスラエル政府は、1993年のオスロ合意以降、西岸地区における自治政府の自立を促進する動きをすすめており、治安維持の権限をすでにカルキリヤ、エリコなどでパレスチナ自治政府警察に委譲してきました。

今年12月のクリスマスから、ベツレヘムでも自治政府警察に治安が委ねられることになっています。(写真:ベツレヘムに勤務するパレスチナ自治警察官たち BBCより

この動きと矛盾しますが、では実際にイスラエルが1967年ラインまで完全に撤退できるのかといえば事実上不可能に近く、歴代の米大統領がすべて挫折してきた事項です。しかし、今回はオバマ氏が黒人初の大統領であり「変革」を打ち出していることからパレスチナ人は大きな期待を寄せています。

<グリーンラインまで撤退できない複雑な事情>

1.イスラエルの聖地をすべて失う(メシアが帰ってくる場所を失う)

1967年の国境線とは六日戦争以前の国境線のことで、通称「グリーンライン」と呼ばれます。この国境線によると、西岸地区、ガザ地区、ゴラン高原がイスラエルに入らないことになります。

さらにエルサレムが東西に分割されることとなり、嘆きの壁を含む旧市街、その東にあるオリーブ山がパレスチナ側に入ることになります。

2.グリーンラインからはみ出している分離壁の存在を変えることが困難

シャロン前首相の時代から「一方的分離案」の一環として、グリーンラインにほぼそうようにして分離壁が立てられ、実際はすでに国境線が策定されたかの様相を示しています。

しかし、西岸地区にはアリエルなど人口1万7千人の「市」としてすでに存在が確立しているユダヤ人の入植地があり、壁の一部はアリエルを取り込むようにして大きくパレスチナ側へ食むことになります。

1967年ラインまで撤退する場合、アリエル市をまるごと引っ越しさせ、分離壁の位置を変えなければなりません。

前回、オルメルト首相がイスラエルは1967年の国境線まで撤退する必要があると公言したことをお伝えしました。さらにペレツ大統領もヨーロッパ連合の総会において同様の発言をしました。

二人とも上記のような事情を知った上での発言です。国民に多大すぎる犠牲を強いてでもグリーンラインまで撤退する以外にイスラエルが生き延びる選択肢はないと考えていることになります。

<対案はある!:右派リクード・ネタニヤフ氏の経済活性化案>

政府案に対し、右派ネタニヤフ氏は、撤退はせずに、まず西岸地区の経済活性化を行い、その上で二国家設立をすすめるという案を提案しています。

エルサレムについて、パレスチナ人の帰還については、まだ交渉のテーブルに乗せる時ではないと考えています(実際は「メシアが来るまで交渉はしない」と冗談で言われるほど、ネタニヤフ氏はエルサレム分割に反対しトいます)。この点について、ユダヤ教政党派のシャスは、リクードと同意しています。

またシャロン政権時代にイスラエル国防軍参謀総長だったモシェ・ヤアロン氏がリクードに入りました。リクードが与党となった場合は国防相になるとみられています。ヤアロン氏は国民に広く指示されている人物で、現在リクードの支持率が政府与党を越えて上昇傾向にあります。(写真:ヤアロン氏とネタニヤフ氏(右))

オバマ氏がアラブ和平案を支持した場合、与党カディマのリブニ氏が次期首相になる可能性が大きくなり、西岸地区撤退、エルサレム分割が現実味を帯びてきます。

もし逆ならば、野党右派のリクードのネタニヤフ氏が首相となり、和平ムードは頓挫し、テロが活性化する可能性が高まりますが、エルサレム分割の危機は遠のきます。

オバマ氏が中東和平についてどのような方針を打ち出すかによってイスラエルの次期首相が決まってきます。イスラエルの次期首相が誰になるかによってオバマ氏が方針を決める可能性もあります。先行きはまだ不透明なままです。

* 2008年旅行者でうるおった西岸地区

パレスチナ側の情報によると、2008年9月までで、西岸地区の町エリコとベツレヘムを訪問した旅行者は112万3000人にのぼり、昨年の2倍近くになっています。これはイスラエル国内でテロが減少し、イスラエルへの旅行客が急増したためです。

クリスマスにはさらに多くの観光客が押し寄せることが予想されており、さらに大きな経済効果が期待できます。

<祈り>

  1. オバマ氏、イスラエル政府の動きを主が支配してくださり、平和への最善の決断ができるように
  2. エルサレムが分割されないように
  3. クリスマス時期に旅行者が増し加えられ、パレスチナ人がイスラエルと平和に暮らすことの祝福を見いだすことができるように

■ 金融危機で帰国するイスラエル人

世界的な金融危機のあおりを受けて、アメリカ在住のユダヤ人が財産を失いイスラエルに帰国したくても飛行機代すら払えなくなっているケースが増えています。

彼らは最寄りの領事館、シナゴーグやユダヤ系団体に支援を求めています。日々の食料を買う資金もなく、ハバッド派のユダヤ教シナゴーグが支援活動を行っています。外務省も彼らを帰還させるための支援策を検討しています。

<祈り>

  1. イスラエルの経済が祝福され、雇用が促進するように
  2. 政府に知恵が与えられ、よい経済政策をうちだすことができるように

■ エチオピアで移住を待つ人々

イスラエル政府は内務相シェトリト氏の要請により、「ファラシャ」と呼ばれるエチオピアのユダヤ人1100人を受け入れることを決めました。(写真:イスラエルへ出発前に指示を受ける移民者)

2009年3月から毎月100人ずつ受け入れることになります。1100名を移住させたところで、政府は次の1900人について検討します。

エチオピアにはまだ8700人のユダヤ人がイスラエルへの移住を希望しつつ収容キャンプで移住の日を待ち望んでいます。しかし、ファラシャの移住には多くの課題があります。

イスラエルには現在までに10万人以上のファラシャが移住してきました。しかし、彼らの65%がまだなんらかの社会保障に頼っています。

さらにファラシャの青年の4分の1が麻薬使用者となり3分の2はアルコールを経験するようになっています。イスラエル政府はファラシャの社会保障のためにすでに2億ドルを使っていますが、状況は改善されていません。

イスラエル北部の町ネタニヤ市の人口のうち6.5%がファラシャです。そのうちの多くが高齢者、障害者で60%が市の社会保障を必要としており、大きな経済的負担となっています。

さらにソーシャルワーカーが不足しているため、麻薬中毒や家庭内暴力などの課題に対処しきれず、社会問題は悪化する一方となっています。最近ではイスラエル国内でも「ネオナチ」と称する若者たちが現れ、ファラシャなどの移民者を襲撃するようになり、社会問題となっています。(写真:逮捕されたネオナチの若者たち)

それでも「すべてのユダヤ人にいつでも門戸を開いている」とするイスラエルの方針に変わりはないとシャトリト内務相は語っています。

<祈り>

  1. ファラシャの若者たちが早く自立できるように
  2. 移民者を受け入れているイスラエルの町々の経済が祝福されるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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