ツアー体験談

栗﨑 路くりさき あゆみ先生 (リバー・オブ・ブレッシングチャーチ)

今回のツアーに参加させていただけたことは本当に大きな恵みでした。これまで何度も聖書で読んできた物語の舞台を実際に訪れ、感動を覚えました。そしてそれと同じように、心揺さぶられ、深く考えさせられたことがあります。それはユダヤ人のことです。

B.F.P.Japan 20周年に当たる今回のツアーでは、イスラエルを訪れる前にポーランドのアウシュビッツを見学させていただくことになっていました。当初、私以外に牧師がいない教会を2週間近く空けてイスラエルのツアーに参加することは難しく感じましたが、私にとってポーランド、特にアウシュビッツはぜひとも訪れたいところでした。オーストリアの精神科医であり、自身も強制収容所の生き残りであるユダヤ人作家のヴィクトール・フランクルの著作を十代のころに読み、人生の意味について考え、結果クリスチャンとなった私にとっては、ポーランドとイスラエルのツアーがセットになっているとは夢のような話でした。周りの方々に支えられ、ZION2016に参加できたことを感謝します。以下、聖地についての証しは他の方にお譲りして、ユダヤ人迫害ということに焦点を当てつつ、私がこの旅で感じたことを短くまとめたいと思います。

実際にアウシュビッツを訪れて、大変なショックを受けました。これまで本で読み、映画やドキュメント番組などでも観てきたのですが、実際に現場を訪れ、部屋いっぱいに積まれた靴やトランク、刈られた女性の髪の毛、乳児用の衣服などを見ると胸が詰まりました。子どもたちのほとんどは到着と同時にガス室送りになり、他の子たちは人体実験のために使われたと言います。二人の小さな息子がいる私は、もしこのことが自分の家族に起こっていたならと考えざるを得ませんでした。毎日平均6千人の命がこの場所で消えていった。そしてそれぞれに私たちと同様に人生があり、生活があり、家族があった。このことを思う時、きっとアウシュビッツを訪れたすべての人に突きつけられる怒りにも似た問いが、私の心にも起こりました。それは「なぜこんなことが?」というものです。

この問いは多くの人が問い続けてきたものです。これに対して「ドイツ人が野蛮だったから」とするのは間違っていると思います。戦時中ユダヤ人虐殺の責任者だったアドルフ・アイヒマンの裁判は世界中に衝撃を与えました。それは彼が見るからに邪悪で野蛮な男だったからではなく、逆に気の弱そうな紳士であり、「自分はただ命令にしたがっただけ」と供述したからです。置かれた状況によって人はとんでもなく残酷になりうる、ということをこの裁判は私たちに教えるし、後に行われたアイヒマン実験として知られる各種の心理学の実験もそのことを証明しています。アイヒマン裁判を傍聴した哲学者ハンナ・アーレントは、このことを「悪の凡庸さ」と表現しています。相手の立場になって物事を考えることをストップした時、誰もがアイヒマンのような迫害者になりうるのです。

しかし、クリスチャンである私たちがホロコーストを考える際、もう一つの視点も重要であると思わされています。それは霊的な視点です。歴史を通してユダヤ人は他に類を見ないほど迫害され続けています。「それはユダヤ人移民がどこに行っても固有の文化を保持しようとするからで、その土地固有の文化と衝突するからだ」という社会学的な見方をする人たちもいるでしょう。しかしユダヤ人の歴史を見る時、また彼らに対する異常なまでの憎悪を見る時、歴史の裏側に働く悪魔の存在を思わずにはいられないのです。聖書によればユダヤ人は約束の民であり、イエス・キリストの救済の完成にはユダヤ人の救いが不可欠です(ローマ11:25-26)。逆に言うなら、もしユダヤ人が救われなければ救済は完成せず、新天新地もないのです。悪魔にとって一番恐れている事態は何でしょうか。それはユダヤ人が主に立ち返り、救いが完成することです。そうなれば彼は永遠に滅びる運命にあるからです。この滅びを回避するために、悪魔は徹底的にユダヤ人を攻撃して絶滅させようとし、時にクリスチャン嫌いにして福音から遠ざけ、何とか神の計画の成就を妨げようとしているのではないでしょうか。

私は、問題をすべて霊的なことに置き換えて、責任のすべてが悪魔にあると言いたいわけではありません。ユダヤ人迫害の歴史にはクリスチャンの責任も大いにあります。これはハンナ・アーレントがアイヒマンについて言ったように、「相手の立場になって考える能力の不足」に大いに関係していると思います。ユダヤ人の気持ちを完全に理解することは到底できなくても、私たちは考え続けなければならない。今こそ私たちは、クリスチャンとして、押しつけではなく、ユダヤ人の立場に立った支援をしていくべきだと改めて思わされました。

BFPの働きに心より賛同します。そしてこれからもユダヤ人のために祈り、彼らのために少しでも助けになれればと願います。この機会を与えてくださった神さまに心から感謝いたします。

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