B.F.P.Japan事務局長 石田陽子
BFPイスラエル支援センター。国際会議最終日、私たち各国から集まったBFPスタッフは、センターの各プログラムの責任者たちから報告を聞く機会に恵まれました。
フードバンク――ビジョンの実現
支援センター中にある食料配給部門、それが『フードバンク』。2003年、この場所から、皆様の尊いご支援によって賄われた合計625トンの愛の食糧が、貧しいユダヤ人たちのもとに送られました。現在、援助を受けているイスラエル人(移民+地元民)は約14,000人。提携して食料を届けている団体の数は75です。
そして、すばらしい報告がなされました。もともとエルサレムの貧しい人々を助ける目的で始まったこのフードバンクですが、エルサレムを越えて他の町々にも手を差し伸べたい、やがてはイスラエル全土に……という願いをもっていました。それが現在、最北はゴラン高原の果てのキリヤット・シュモナから、最南はネゲブ砂漠のディモナまで、支援の手が伸びている、ということでした!!
聖書時代のイスラエルの境界線は「ダン(ゴラン高原)からベエル・シェバ(ネゲブ)まで」です。このビジョンは、今、着々と実現しつつあります。
フードバンクに、支援を受けている町々を記した手書きの地図が掲げてありましたが、その一つ一つがまるで、クリスチャンの良き行いを表している印のように、輝いて見えました。長い年月が今、ここに来て実を結びつつあります。
最善を尽くそうとするスタッフたちの努力
イスラエル人が口にする食物にはすべて、「コーシェル」と呼ばれる食物規定が課せられています。これはユダヤ教のラビたちによって定められる基準で、認定を受けた食物は「コーシェル(宗教的にきよい)」とされます。
例えば、汚れた生き物である豚のエキスが入った食品はコーシェルにはなりません。そしてこのコーシェルにも度合いがあり、宗教的に厳格であればあるほど高まっていくのです。
BFPからは、律法を厳しく守る超正統派の人々にも支援を送っています。フードバンクで取り扱っている食物が果たして彼らの厳格な規定に合っているかどうか、調査を行ったところ、すべての食物が“最高水準”に達していることが分かりました。どのユダヤ人にも、抵抗なく受け取れるようになっています。
また、仕入れにかかる費用をできるだけ安く、できる限り良質のものを入手することにも成功しています。イスラエルで最も安いスーパーで同じ物を揃えたとしても、さらにフードバンクがそれらを揃えた場合の金額の方が安値です。
支援者の方々が血のにじむような思いで送ってくださった尊い献金を、最大限活用すべく、また「どうせ贈るのなら、最良のものを贈りたい」という思いで、エルサレムのみならず、イスラエル国内の市場をくまなく調べ、実績を上げてきたフードバンクのスタッフたちの努力の実がここにあります。
証しの実は結ばれている
最後に、イスラエル人スタッフとして、主に交渉、仲介の労を長い間担ってきた、エリ・ケンが、輝きに満ちた笑顔で次のことを証ししてくれました。
「今日(金曜日)の朝、フードバンクで使用しているバンが壊れてしまったので、修理のためにガレージに持って行きました。金曜日は夕刻には安息日が始まるので、何かを成し遂げるとすれば実質、午前中しかありません。でも、ガレージにはすでに20台ほどの車が修理待ち状態でした。ああ、仕上がりは来週になるだろうな……と予想し、車を置いて帰ってきました。
その2時間後、ガレージのメカニックから電話がかかって来ました。何と、もうバンの修理が終わった、と言うのです!!『あなたたちがどんな働きをしているのか分かっている。だから2時間だって遅らせられないと思ったのです。』と、彼は私に言ってくれたのです!!」
これらの報告を、私は嬉しさのあまりため息をつき続けながらノートに書き取りました。「まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。」(マタイ20:25)。
エリが語ってくれた話は、小さな出来事かもしれませんが、大きな証しです。皆様が、主のためになさっているこの働きは、“同胞であるユダヤ人にしたこと”として、外部のユダヤ人の目からも、麗しく映っているのです。遠い日本の地で、ただ聖書のみことばのご命令に従い、見も知らぬ人々のために心を砕いて祈り、ご支援くださっている皆様に、改めて心から感謝をお捧げします。
これからもどうぞ、BFPのイスラエル現地での働きを覚え、共に歩んでくださいますよう、よろしくお願いいたします。