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プロジェクトレポート

過越を前に ―食物による愛の贈り物―

昨年末の『エルサレムポスト』紙に、イスラエル国内での所得格差が広がっているという記事が載っていました。1990年よりイスラエル経済は成長を続けてきましたが、一般大衆はその恩恵を今ひとつこうむることができず、経済的な格差が広がっています。最新の報告では、最高所得者層(10%)は、最低所得者層(10%)にあたる人々の12倍以上の収入を得ています。この最高所得者層が、国内の富の大部分を掌握しています。

イスラエル経済の中心地、テルアビブ。この都市のトップ40に入る人々の収入は際立っています。彼らの所得は最低所得者層の実に43倍、平均所得の19倍です。

過越の食卓に飾られる特別な皿

産業間でも格差が広がっています。打撃を受けている織物工業や食品産業は1990年から見て4%の伸び率。対して、ハイテク分野の伸び率は100%となっています。

ハイテク産業の成長

2000年から2004年まで、インティファーダ(パレスチナ武装組織による蜂起)の悪化によって、イスラエル経済は大打撃を受けました。イスラエルは危険な土地だから……と、旅行者のキャンセルが続出しました。ホテルや土産物店、レストランなど、影響は観光業のみならず、さまざまな産業に波及しました。この影響はイスラエル人のみならず、パレスチナ人にも及びました。テロの取り締まりのために、行き来を制限するというイスラエル政府の政策によって、イスラエルで働き口を得ていたパレスチナ人は職を失い、失業率は一気に上昇しました。こんな状況からの回復が始まったのは、ここ1、2年の間のことです。

インティファーダの影響を受けずに、唯一、イスラエルで伸びを見せてきたのがハイテク関連の産業です。イスラエルのIDF(イスラエル国防軍)壁を透視してテロリストの動きを把握できるカメラ、爆弾を発見するための高精度なスキャナーなど、驚異的な技術が次々に生み出されました。こうした技術がやがてイスラエルの民間企業に流れ、ハイテク産業の成長につながりました。

イスラエルではハイテク産業に限らず、さまざまな分野で驚くような技術革新が行われています。今やイスラエルは、ライセンスビジネスにおける宝の山なのです。

テルアビブを中心とするハイテク関連企業のオーナーや関係者は、どんどん裕福になっています。しかし、この分野で働くことができるのはイスラエルでも一部の人々です。

変わらないイスラエルの現状

BFPが有する『イスラエル支援センター』は、国内でも最大規模の食料配給施設です。ここ1年、イスラエル国内でも、「貧しい人々を助けよう!」と、フードバンクやスープキッチンが次々とオープンし、さまざまな団体の広告が、新聞やインターネットなどで目立ち始めました。ハイテク産業だけが飛躍的な成長を続ける中、先進国並みに物価が高いイスラエルにおいて、貧困という問題は解消されていません。むしろ冒頭の報告にある通り、貧富の差は広がっています。人口の20%以上がその日の食物に事欠き、25%の子供がおなかを空かせてベッドに入るという現状は打開されていません。

イスラエルで最も貧しい人々―物乞いをするユダヤ人親子

貧困だけでなく、他の国々と同じく、イスラエルもモラルが低下し、社会問題が悪化しています。多くの子供が親に捨てられたり、あるいは親が経済的に破綻して養えなくなったため、ストリート・チルドレンになって生活したり、慈善団体の保護を受けて生き延びています。また、働けなくなった高齢者がホームレスとなってゴミ箱をあさっています。同胞愛の強いユダヤ人社会では、もともと慈善事業が盛んですが、ここへ来て、さらにこうした活動が増えていることも、現実の厳しさを物語っています。

こうした中、20年近くにわたってイスラエル人の社会に分け入り、貧しい人々と共に生きてきたBFPの存在の真価が、ますます認識されるようになりました。全世界の皆様の助けによって、こんなに早くからクリスチャンの働き人としてイスラエルと共に立ち、多種多様なプログラムによって現地の人々の必要に応え続けることができたのは、何と幸いなことか……と深く思わされます。皆様のお助けに、改めて心から深く、お礼を申し上げます。

過越の祭りに、愛のギフトを

4月、イスラエルでは、3千年以上前から祝ってきた過越の祭り(ペサハ)が祝われます。神がモーセを遣わし、イスラエルの民を、奴隷の地とされていたエジプトから連れ出してくださったことを祝うこの祭りを、2千年前に主イエス・キリストも祝われました。主が十字架の上で死んでくださり、復活のいのちをもって私たちの救いとなってくださったのも、この祭りの時に起こった出来事です。

ペサハはユダヤ人にとっては、スコット(仮庵の祭り)、シャブオット(七週の祭り……ペンテコステ)と並んで三大例祭と呼ばれる大切な祭りの一つです。家の中から一切のパン種(小麦粉製品全般)を取り除き、「マッツァ」と呼ばれる、平たくボコボコ穴が開いた種無しパンを食べて過ごします。その他、過越のためにさまざまな料理が用意されます。特に、祭りが始まる夜に囲む食卓を「セデル」と言い、「ハガダー」と呼ばれる伝統的な典礼に従って食事が進められていきます。主イエスが十字架刑を前に、弟子たちと共に最後に囲んだのも、このセデルの食卓でした。

貧しい人々も、ユダヤ人として、この祭りを心地よくお祝いすることができるよう、毎年BFPでも、この過越の祭り用の特別な食料を、支援を受けている人々に贈っています。これらの中には、欠かすことのできない種無しパンも入っています。BFPが配給している食料品はどれも、最高水準のものと、ラビのお墨付きを受けています。過去には、イスラエル政府の依頼を受けて、6千の貧困世帯に、過越の食料パッケージを贈ったこともあります。

家族で囲む過越の食卓(セデル)

ぜひ、この機会を生かして、皆様も、過越の食卓を祝福なさってみてはいかがでしょうか。祖母や祖父が、両親が、幼い子供たちが、何の心配もなく、食卓を囲んで楽しい笑顔を浮かべている姿を想像しながら……。主イエスも、過越の食卓を囲みながら、弟子たちを前に、その愛を余すことなく示されました。私たちも主の弟子たちとして、私たちに大切なものを贈ってくれたイスラエルの人々を愛し、祝福しようではありませんか!

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