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プロジェクトレポート

ゾハルよ、あなたは一人ではない

文:ピーター・ファスト(BFP CEO)

昨年10月7日、ハマスのテロリストの攻撃を受けながら、
命懸けでコミュニティーを守った人々がいました。
そのおかげで町の破壊は免れたものの、
人々が負ったトラウマははかり知れません。

ゾハルの住民たちと面会したBFPスタッフら
Photo by Michio Nagata/bridgesforpeace.com

イスラエル南部の小さなコミュニティー「ゾハル」は、ガザ地区からわずか5kmの距離にあります。10月7日、車を慎重に走らせ町の門を出た時、ハイム氏の心臓は早鐘を打っていました。

ハイム氏はゾハルの警備責任者です。テロ組織ハマスから住民を守るため、副責任者と共に防壁の役割を果たしました。空を見上げれば、ガザからイスラエルへ発射された数百発のミサイルが飛び交い、ミサイル警報アプリ「レッド・アラート」が鳴り続けています。

10月7日午前6時29分。攻撃が始まった瞬間から、ハイム氏はこれが単なるミサイル攻撃ではないことを肌で感じていました。本格的な攻撃を受ければゾハルが破壊されるのは時間の問題です。武器を持って防衛できるのはハイム氏と副責任者の2人しかいないからです。

加えてゾハルの家屋は70年代に建てられた家々がほとんどで、安全室(防空シェルターとなる部屋)を備えた家はありません。ミサイル攻撃を受けた場合、住民600人は周辺にある12の公共防空シェルターに駆け込むことになっていました。

シェルターはいずれも同じような構造になっています。出入り口から狭い階段を下りると、地下広場のようなセメント製の安全室に到達します。ただし、シェルターはロケット弾から身を守るものとして設計されているため、鍵などはありません。

過去のロケット攻撃では、シェルターに住民が押し寄せ、ほとんど身動きが取れませんでした。ただし通常は10〜20分もすれば、住民は帰宅できます。しかし、10月7日は違いました。ミサイル攻撃はやむ気配がなく、恐怖におののいた子どもたちが泣き叫びます。ロケット弾が次から次へと降り注ぐ中、住民は何時間も身を寄せ合いました。

一方、ハイム氏と副責任者はゾハルの門の外にとどまり、やって来るであろうテロリストたちに備えていました。予想どおり、重武装した約80人のハマスのテロリストたちが姿を現しました。ハイム氏によると、彼らはイランで訓練されたハマスの部隊でした。

突然テロリストたちが発砲してきたため、ハイム氏らは車を飛び降り、車の後ろへ避難。「自分たちが殺されれば、ゾハルの全住民が虐殺されてしまう」。そのことを心に刻み、2人は反撃に転じました。

命懸けで防衛する2人のイスラエル人に圧倒され、テロリストは戦意を喪失し、倒れた12人の仲間を残して退却していきました。ハイム氏と副責任者が生き延びたことは、まさに奇跡です。2人は神に感謝せずにはいられませんでした。

ところが、この日はこれで終わりではなかったのです。周辺にいるテロリストとの戦いは、日中から夜にかけて続きました。全焼した何百台もの車、逃げようとして銃殺された人々、車の中で生きたまま焼かれた若いイスラエル人の遺体を至る所で目にしました。

シル・ヤロンさん

銃弾にまみれた車から体が垂れ下がっている遺体がありました。ハイム氏の義弟でした。後部座席では、彼の親友とその婚約者の女性、シル・ヤロンさんが前のめりになって命を落としていました。

ハイム氏と副責任者の勇敢な行動のおかげでゾハルは破壊を免れた一方、コミュニティーの外で6名の住民が命を落としました。

支援に涙し、歓喜する住民

BFP(ブリッジス・フォー・ピース)は、地域リーダーのヤニヴ氏を通じてハイム氏に会い、当日の恐ろしい映像を見せてもらいながら話に耳を傾けました。その後、案内されたコミュニティー内で目にしたのは、雑草が生い茂り荒れ果てた家々です。公共シェルターもひどい有様でした。コミュニティーセンター内には犠牲者の写真が飾られ、私たちはその前で静かに哀悼の意を表しました。

10月7日、1300人以上のイスラエル人が殺害され、数百人がガザに拉致され、数千人が負傷しました。ゾハルもその恐ろしい日の一部です。イスラエルの主なる神がハイム氏と副責任者に勇気と強さを与えてくださったおかげで、共同体は残りました。しかし、住民たちは帰宅できなかった人々を深く悼んでいます。

私たちBFPはゾハルを訪れ、支援を申し出ました。ヤニヴ氏は「人々がここへやって来て夢を語ってくれると、希望をもらえる」と語り、私を抱き締め、神に感謝しました。私たちは、世界中のクリスチャンがイスラエルと共に立ち、イスラエルのために祈り、神が愛するものを愛そうとしていること、BFPもゾハルを支援したいと思っていることを伝えました。ヤニヴ氏は何度も何度も「アーメン」「バルーフ・ハシェム」(御名に祝福があるように)と応じました。

彼らと別れた後、ヤニヴ氏が涙ながらに電話を掛けてきました。BFPチームが去った後、住民が神を賛美し、「ついに私たちを気に掛けてくれる人たちが現れた! 私たちは一人じゃない!」と喜んでいたそうです。

BFPは、このコミュニティーが貧困とトラウマから立ち上がれるよう、神の愛を示したいと願っています。今の願いは、青少年向けのクラブハウス(音楽や美術などさまざまなことを学べる教育施設)の修繕、防空シェルターの改良、子どもたちへの教育支援を行うことです。さらに、ガーデニングやコミュニティーのプロジェクトも支援したいと願っています。今まさに計画が始まろうとしているところです!

ガザ地区近郊のこの美しいコミュニティーに私たちの足跡を残しましょう。彼らが孤独ではないことを伝えていきましょう。ゾハルの人々を助けるために、ぜひBFPのパートナーとなってください。

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