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プロジェクトレポート

はかなく消えた生活の再構築

文:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

5月下旬、イスラエルは大規模な火災に見舞われ、甚大な被害を受けました。
BFPは、壊滅状態となったメヴォ・モディン村への支援を続けています。

全50軒のうち40軒が焼失したメヴォ・モディン村 Photo by Jordan Miles/www.bridgesforpeace.com

イスラエルの中央に位置するメヴォ・モディン村。この日、住民たちは、すべてを置いて直ちにコミュニティーの入り口に集まるよう指示されました。周りを取り囲む森は既に火の海で、火は瞬く間に村の外れに迫っていたのです。荷づくりしている時間などなく、重要書類も、お気に入りの思い出の品や貴重な写真も手にする余裕はありませんでした。かばんに着替えを詰め込み、避難した住民たちは、「また家に戻ることができるように火をしずめてください」と祈りました。その願いは、かないませんでした。炎は村の家々を舐め尽くし、メヴォ・モディン村を壊滅させたのです。かつてここに豊かな生活があったことを示す物は、今や焼け焦げた家の骨組みと車だけ。しかし、住民たちは惨状の中にあっても、犠牲者が一人も出なかったことを神に感謝し、ほめたたえていました。その時、私の脳裏に真っ先に思い浮かんだのはイザヤ書43章2節です。「…火の中を歩いても、あなたは焼かれず、炎はあなたに燃えつかない

これは5月下旬のことです。イスラエルは国中を襲った壊滅的な山火事と闘っていました。記録破りの猛烈な熱波に見舞われ、国内はうだるような暑さとなり、1023箇所という驚くべき範囲で火事が発生。火は41時間も燃え続けました。計算上では、2.5分ごとに新たな火事が発生したことになります。一部の地域では気温が48℃を超える中、消防隊員とボランティアたちが24時間体制で格闘し、消火活動を行いました。彼らの必死の努力が実を結び、最初の火事が発生してからおよそ2日後、当局はついにすべてが鎮火に至ったことを発表しました。

最終的に炎に勝利したとはいえ、火事はすさまじい被害をもたらしました。約7.94km²の森林、果樹園、畑が灰と化しました。避難したイスラエル市民は3500人。その犠牲の一つがメヴォ・モディン村です。炎が奪い去った物は、家具や車、衣類や思い出の品だけではありません。村の貴重な思い出も、安心も、生活基盤も、すべてが跡形もなく消え失せてしまいました。友人のシュルリー氏は、150年前に書かれたトーラー(モーセ五書)の巻物を失ってしまったと話してくれました。それは、ホロコーストも生き延びた貴重な巻物でした。音楽家であるシュルリー氏にとって貴重な楽器、掛け替えのない手書きの譜面も焼失してしまいました。炎にすべてを奪われてしまった人々に残されたのは、破壊された物を再建するという現実だけです。

Photo by Jordan Miles/www.bridgesforpeace.com

しかし、この過酷な現実に彼らは一人で立ち向かうわけではありません。BFP(ブリッジス・フォー・ピース)は彼らと共に立ち、痛みを共有して寄り添い、物質的に支援し、彼らの切実な必要に応えてまいります。鎮火から数時間後、私たちはメヴォ・モディン村を訪れ、火事の残骸の中を住民たちと共に歩く機会が与えられました。イスラエルの歴史上、これまで町全体が完全に破壊された例はありません。家屋や車、家具はもちろんのこと、すべてのインフラ、電気配線、配管も燃え尽きてしまいました。インフラが破壊されてしまったため、火災を免れた家の住人でさえ、簡単には自宅に戻ることができません。しかし、村全体が荒廃しても、住民は毅然(きぜん)とした態度で黒焦げの廃屋の中に立ち、神への賛美を歌っていました。その声が、今も耳にこだまします。

住民たちに今すぐ必要な物についてお聞きしたところ、避難する時にコンピューターを持って出ることができなかったと教えてくれました。私たちはすぐに知り合いの会社に連絡を取り、50台のコンピューターを発注し、2日後にお届けすることができました。コンピューターを受け取ったショシャーナさんは心から喜び、「あなたは天使よ!」と歌いながら、部屋の中を踊り回って感謝の心を表してくださいました。彼女とハグをした時、その目には涙があふれていました。彼女は夫のダニーさんと共に4人の幼い子どもを連れて逃げたので、何も持って出ることができなかったのです。

数日後、私たちはラビのトゥーリー・ワイズ師と協力して、ショッピングモールに住民たちを招待しました。300人の方々に夕食をご馳走し、子どもの遊び場の入場券をプレゼントし、それぞれが必要な品を買えるようギフトカードを贈りました。

ちょうど各国のBFPリーダーが年に一度会議で集まっている時期で、その場所にはユダヤ人とクリスチャンの笑顔があふれました。ユダヤ人たちは好奇心の塊(かたまり)と言われる民族性をフルに発揮し、私たちクリスチャンを捕まえて次々思いつく限りの質問をしてきました。「あなたたちはなぜここまでしてくれるの?!」「あなたたちのイスラエルへの愛はどこから来ているの?」「なぜ、なぜ、なぜ?」…と。

私たちは、いかにユダヤ人から聖書を始めとする霊的なもらいものをしたのか、個人的な証しをする機会を得ました。彼らは自分たちのライフストーリーも分かち合いたがり、話しは尽きることがありませんでしたが、残念ながら時間となり、後ろ髪を引かれる思いで、「いつか必ず再会しましょう」と約束して別れました。それが地上なのか天国なのか分かりませんが、主が私たちの会話を現実にしてくださることを信じます。

彼らが自分たちの生活を再建するまでに、おそらく2年は掛かることでしょう。私たちの願いは、再建に向かう過程に寄り添い続けることです。仮設住宅に入居できた後は、家具や電化製品が必要になってきます。文字どおり、すべてを一からそろえる必要があるのです。

このミッションにぜひ皆様もご参加いただけませんか。危機基金に捧げられる皆様の惜しみないご支援は、村全体の祝福となり、クリスチャンの愛を具体的に示すことにつながります。皆様の愛の贈り物は、すべてを失ったイスラエル人家族が生活を建て直し、家を再建し、もう一度安全を確保するのに役立てられます。

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