文:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)
3月末以来、イスラエルはガザ地区での大規模デモに対処する一方、ガザ地区から飛来する火炎凧の対応にも追われています。火炎凧による火災でイスラエル南部の広大な土地が焼失し、甚大な被害が出ています。
聖書は、やがて次のような日が来ることを告げています。「主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない(イザ2:4)」。その日が来るのを私たちは切望していますが、現在イスラエルでは反対の事態が起きています。子どもたちのおもちゃである凧(たこ)がテロ行為に使われているのです。
ガザ地区を実効支配するテロ組織ハマスは、イスラエルを恐怖にさらす新たな方法を見つけ出しました。それは「火炎凧をイスラエルに向けて飛ばす」という方法です。6月12日現在、イスラエル南部では今も火が燃え続けています。このテロによって引き起こされた火事は数え切れず、南部のコミュニティーを恐怖に陥れています。
イスラエル南部に向けて飛ばされた火の付いた凧や風船の数は、過去2カ月だけでおよそ600。収穫前の小麦や果物の多くが焼失し、美しい自然保護区と森林地帯も破壊されました。消防士や地元ボランティアたちは、火災がユダヤ人コミュニティーに及ぶのを防ぐため、24時間体制で懸命に働いています。
ハマスが新しいテロ行為に使っている武器は、単なる手製の武器ではありません。イスラエルの政府当局者から聞いた話によると、これらの凧はガザ地区に住むパレスチナ人の子どもたちに楽しんでもらおうと、善意の国から寄付された立派な凧で、精巧なつくりになっているそうです。本来であれば子どもたちに喜びと楽しみをもたらすはずの凧を、イスラム過激派ハマスのテロリストたちが奪い、イスラエルを滅ぼすという破壊的な目的のために使っているのです。この悲惨な出来事を目にしたイスラエルの子どもたちは、おそらく今後二度と無邪気に凧で遊ぶことはないでしょう。子どもたちは凧を見るたびに恐怖を思い出すことになるからです。
イスラエル南部はまさしく大惨事に見舞われており、いまだ落ち着く兆しは見えていません。凧は約10㎢の広大な農地を焼き払い、億単位の被害をもたらしました。作物は失われ、灌漑(かんがい)システムは炎の熱で溶け、野生動物は殺され、森林は燃え上がっています。こうした光景を目の当たりにした子どもたちは、恐怖で泣いています。疲れ果てた消防士たちはそれでも勇敢に火災に立ち向かっていますが、火炎凧による被害はとどまるところを知りません。
私たちの目に飛び込んでくるニュースは、恐ろしい状況ばかりです。神がイスラエル国民を守ってくださり、この新たな脅威から救い出してくださるようにと神に叫ばずにはいられません。
どうしたら私たちが助けることができるのか尋ねてみたところ、ガザ地区と接するエシュコル地方が今回のテロで最大の打撃を受けていることが分かりました。彼らは小型の消防用トレーラーを何とか手に入れようと必死です。これらはイスラエルで製造されているものなので、すぐにでも彼らのもとに届けることができます。BFP(ブリッジス・フォー・ピース)は直ちに2台分の購入費用を送金しました。膨大な必要がある上に緊急を要していたため、皆様にご支援を呼び掛けている余裕はありませんでした。しかしながら危機基金の資金も底をついていたため、一時的に別の資金を用いることにしました。エシュコル地方の治安担当者はその知らせを聞き、文字どおり涙を流しました。あまりにも切羽詰まっていたからです。
使徒ヤコブは「あなたは行いのない信仰がむなしいことを知りたいと思いますか(ヤコブ2:20)」と語っています。BFPファミリーの皆様は偉大なる信仰者です。私たちの信じるイエスは、神を愛し、また隣人を愛するようにと教えられました(マタ22:37-39)。私たちの隣人であり、イエスの同胞でもあるユダヤ人が今この時も苦しんでいます。私たちは愛をもって速やかに応答しましたが、イスラエルが抱える必要は私たちの今持てる力をはるかに超えています。イエスさまを愛し、クリスチャンの愛を示したいと願っておられる皆様のお力がぜひとも必要です。破壊された町々を回復するために寛大なご支援をもってお応えいただけたら幸いです。まずは火を消し止めることが第一段階ですが、その次には灌漑システムの回復、最終的には土地をよみがえらせることが必要になってきます。
危機基金は、イスラエルの人々に皆様の愛と思いやりを伝える基金です。皆様からの迅速なご支援をイスラエルにお届けすることができますようお祈りしています。