ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 56 巨大災害に祈る
この苦しみのときに、彼らが主に向かって叫ぶと、
主は彼らを苦悩から救い出された。(詩篇107:6)
南アジアの巨大津波による被害が深刻です。14万人もの犠牲者が出ただけにとどまらず、これからの二次災害が大変懸念されています。かつてない巨大災害にイスラエルも支援にのりだしています。
イスラエルのトラウマ(外傷)医療は世界一優秀と言われています。戦争やテロでひどい外傷を経験してきたからです。
南アジアを襲った巨大津波による災害に,イスラエルも支援に乗り出しました。
12月27日、イスラエルは約50人の医師・看護師などの救援チームをプーケット島、及びピピ島、スリランカに派遣しました。
派遣されたのは、エルサレムのハダッサ・ヘブライ大学病院トラウマ・ユニットのチームで、外傷治療に欠かせないアルブミン4080本(10万ドル・1000万円以上)をはじめとする医薬品や医療機器、ベビーフードも持参しています。
チームは現地で病院を建てることも念頭に調査を進めています。イスラエル政府はインドにも支援を送るべく、インド政府と話し合いが持たれています。
イスラエル政府は、イスラエル国防軍兵士らのチームも人道支援のために送りました。今のところ政府から提供された物資は医療品の他、毛布1万枚、ミネラル・ウォーター3680リットル、食料12トン、ベビーフード、テント、ベッドやマットレスなど支援物資は計82トンにのぼります。
*民間でイスラエルの救急医療を担うのは、マーゲン・ダビッド・アドン社(以後MDAと略す)です。MDAも国際赤十字社や赤い月社(イスラム教国の救急医療)と全面的に協力することを表明し、国際的な医療支援チームに参加する準備を進めています。
MDAは4000人のボランティアを動員して、全国のスーパーマーケット前で、一般市民の手から直接の支援物資を集めました。
東エルサレムなどイスラエル在住のアラブ人を含め、初日1日で寄付された食料は、2.5トンの小麦粉、米4トン、油920リットル、砂糖2.5トン、パスタ1.5トン、3万9000リットルの飲料水、乾燥豆900キロ、ジャムなど700キロでした。(ハアレツ、イスラエル外務省ホームページ)
シャロン首相は労働党を含む連立政権を計画していますが、UTJ(ユナイテッド・トーラー・ジュダイズム:超宗教派)も連立政権に参加することを決めました。
ただしお試し期間としての3ヶ月間だけです。UTJが連立政権に参加することによりシャロン政権は過半数を超えます。連立政権のねらいはガザ・西岸地区の入植地からの撤退を早期に実施することです。
シャロン政権は撤退対象となる入植者に5-6ヶ月の予告期間を発令する法案を今月中にも審議すると予想されています。
西岸地区北部の入植地で住民と撤去に来たイスラエル国防軍(以後IDFと略す)兵士らとの衝突が激しくなってきました。
3日に次いで5日にも大きな衝突がありました。かつてパレスチナの若者がIDFに投石したと同様に過激なユダヤ人青年らが、石や金属を兵士らに投げつけ、顔につばを吐きかけました。
ユダヤ教シナゴーグでは霊的指導者がイスラエル政府と軍隊に抵抗するよう呼びかけています。反対者には女性や子どもも多く、彼らは聖書のことばを引用しながら体をはって抵抗しています。
IDF司令官のひとりは、次に衝突が起こったら、流血さわぎもまぬかれないと語っています。過激派らは、IDFが発砲したと偽って武力行使を正当化する懸念もあり、内乱すら危ぶまれています。
IDF兵士の中には、入植地撤去に反対の者も少なくなく、すでに5000人の兵士が、様々なレベルで、撤去任務拒否に署名しています。(ハアレツ、エルサレムポスト)
一方クネッセト(イスラエル国会)前広場には入植者1000人が抵抗の座り込みを始めました。寝袋などを持参しています。
2004年の統計によると、イスラエル国内での治安は大幅に改善しました。テロで殺害されたイスラエル人の数は144人から55人と45%の減少でした。
死傷者の主な原因である自爆テロも26件から15件に減少していました。これは主に防護壁の効果であると分析されています。
防護壁のにより、テロリストの侵入が減少しましたが、女性や子どもなど一般のパレスチナ人がテロリストになるケースが増えたというのが2004年度の特徴でした。
2004年のもう一つの特徴は、イランとヒズボラ(レバノン南部からイスラエルを攻撃するテロ組織)の影響が強くなってきたということです。
ヒズボラの他、ハマス、イスラム戦線など外国に本部をおくテロ組織がパレスチナ人の重要な資金源になり影響力を伸ばしました。
これらのテロ組織のなかでも特に、ハマスが攻撃数を218回から555回に増やして、イスラエルとの対立路線を鮮明にさせました。
ガザでは依然IDFとパレスチナ人との攻防が続いており、双方に死傷者が出ています。イスラエル南部の町スデロットではガザからのカッサムロケットによる攻撃が相次いでいるもようです。
今後の防衛対策が注目されます。
イスラエルの子どものうち31%が貧困線以下となりました。2003年の29.6%から増加しています。
貧困から心が不安定となり、学校での暴力も増えています。特に旧ソ連から来た子どもたちを中心に9万4000人の子どもたちがきちんとした社会的環境に置かれていないと言われています。
子どもを取り巻く状況が悪化する反面、子どもを支援する福祉や人員はますます削減されています。(ハアレツ)
1月9日のパレスチナ自治政府議長選挙をひかえ、昨年末より選挙運動が行われています。
最有力候補と呼ばれるアッバス氏もキャンペーンを昨年12月25日より開始しました。穏健派でイスラエルやアメリカからも支持されていたアッバス氏ですが、予想外の過激発言に27日、イスラエルのシャロム外相は公に不快感を表明しました。
アッバス氏はキャンペーン開始をラマラで行いましたが、その中で、イスラエルが次の3つを受け入れるまで和平はないと断言しました。
3つの条件とは(1)イスラエルが1967年のライン、すなわち全ての入植地を撤去すること(2)パレスチナ国家の首都をエルサレムとすること(3)パレスチナ難民の帰還とイスラエルに収監されているすべてのパレスチナ人を解放すること。(イスラエルにとってはどれも実行不可能な内容)
アッバス氏は故アラファト議長とは関係がぎくしゃくしていたにもかかわらず、選挙ポスターにアラファトの肖像を使い、アラファトの意志を次いでいくことをアピールしている模様です。
イスラエルはキャンペーン中だけの発言としては考えられないと懸念しています。イスラエルは選挙がスムーズに運ぶようにIDFを少しづつ撤退させるなどの配慮は続けるものの、選挙後に新しいパレスチナ自治政府指導者が、直ちにテロ対策に実質的な動きがあるかどうかに注目しています。
ハマスは地方選挙では予想外の勝利をあげていました。アッバス氏は、選挙後半年以内に議会選挙をすると公約しており、ハマスは歓迎しています。ハマスが議席をのばすものと予想されます。(ハアレツ)。
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