TEXT. レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)
インドに住むイスラエルのマナセ族は2700年もの間、異国の地でユダヤ人として生きてきました。その彼らがついに現代、イスラエルの地に帰還する動きが始まっています。
今、私と主人は引っ越しの準備をしています。より小さいアパートに移るのですが、かなりのストレスです。専門家によれば、引っ越しは人間が直面する最も大きなストレスの一つになり得るそうです。正直に言いますと、今私たちの部屋の中は大小の箱でいっぱいで、売るものや捨てるものを分別するのに苦労しています。引っ越し業者が荷物を受け取りに来るまでに、間に合うかどうかすら分かりません。
そういうわけで、今私はイスラエルに移民してくるユダヤ人に深く共感できる状況にあります。私たちは単にエルサレム内の一つのアパートから別の部屋へ引っ越すだけですが、彼らは一つの国から別の国に移動するわけですから、ストレスの大きさは比べようもありません。また、多くの場合、彼らは資金不足の中でそれを行うのです。私たちは小さいけれど快適なアパートに住むことができます。必要なものはすべて身の回りに揃っています。それでもなお、引っ越しは一苦労です。
皆様も引越しの苦労は、一度や二度はご経験があるのではないでしょうか。まして新移民の緊張と不安はいかばかりでしょう。彼らは家具も電化製品も何も無い空っぽの部屋に到着して、何か必要なものを調達しようにも、十分な現金も無いという場合が多いのです。まさにこの状況が、毎年何千人も移住してくるユダヤ人の現実です。彼らはベングリオン空港で、飛行機から降り立ちます。両手に提げたスーツケースと胸に抱いた希望だけが彼らの持ち物です。
そんな彼らを、私たちはロシア語とヘブライ語、そしてスペイン語を話せるスタッフで迎え、新移民がイスラエルで最初に直面するさまざまな問題を苦労なく解決することができるよう支援しています。
スーツケースと希望を胸に
新移民はしばしば、彼らが聖書の預言の成就であることを知らずにイスラエルに帰還してきます。過去100年の間に、ユダヤ人が大挙して祖国に帰還して来ました。100カ国以上の国々からです。多くはユダ族の子孫で、祭司職に就いていたレビ族もいます。北イスラエル王国の10部族は歴史の早い段階で離散してしまいましたが、現在のイスラエル国家には10部族の子孫も多くいます。聖書はユダ王国、イスラエル王国の双方がやがて共に帰還し、イスラエルの地で一つになると言っているのです。
「主は、国々のために旗を揚げ、イスラエルの散らされた者を取り集め、ユダの追い散らされた者たちを地の四隅から集められる。エフライムのねたみは去り、ユダに敵する者は断ち切られる。エフライムはユダをねたまず、ユダもエフライムを敵としない」(イザヤ11:12,13)
「その日、ユダの家はイスラエルの家といっしょになり、彼らはともどもに、北の国から、わたしが彼らの先祖に継がせた国に帰って来る。」(エレミヤ3:18)
祖国を忘れなかったユダヤ人
現在、イスラエルには、北イスラエル国家の子孫が帰__還しています。そのようなグループの一つに、インドのブネイ・メナシェ(マナセの息子たち)という人々がいます。シャベイ・イスラエル(イスラエルへの帰還)という団体の代表であるマイケル・フレウンドはこのマナセ族の子孫をイスラエルに認知させ、移住させ、吸収させる働きの立役者です。多くの交渉の末、彼らはイスラエルに帰る許可を得ました。しかし実際に彼らを受け入れるには、巨額な費用が必要です。
マイケル・フレウンドは5年前に最初のブネイ・メナシェが帰還したときのことをこのように記しています。
ウズベキスタン航空の飛行機がゆっくりと下降し始めたとき、53組の目が一斉に窓の外を凝視し始めました。彼らの、古くて新しい故郷を、少しでも見逃してはなるものかという気持ちです。およそ27世紀以上もの間、彼らの祖先はイスラエルを追われ放浪していました。あり得ないほど低い確率ではありますが、何とかして、いつの日か、祖国に戻れることを夢見ながら。そして今、ついにこの年来の夢が実現しようとしているのです。53人のブネイ・メナシェ族が、北インドから、安全に、イスラエルの地に降り立とうとしているのです!
マイケル・フレウンド(中央)©Ashernet
もはや奇跡はないと信じる人はいないでしょう。紀元前722年にアッシリアによって故郷を追われたマナセ族の子孫がこうして帰ってきたのですから。何世紀もの間、他のユダヤ人社会から切り離されて生活していたにもかかわらず、ブネイ・メナシェは彼らのユダヤ人としての伝統を熱心に守りました。頑固とも言えるほどに、彼らの父祖たちの信仰を貫き通したのです。安息日を順守し、コーシェル(食物規定)を守り、聖書時代の祭りを祝い、いけにえの儀式を行い続けてきました。ユダヤ人がはるか昔からそうであるように、彼らの間で絶えず議論する性質まで受け継いでいるのです。
ブネイ・メナシェは、自分たちが何者であるか、どこから来たのか、そして、どこに帰りたいと夢見ているのか、片時も忘れたことはありませんでした。
皆様のような世界中のクリスチャンのご支援により、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)はブネイ・メナシェを助ける重要な役目を担わせていただいています。もちろんインドからのブネイ・メナシェだけではなく、多くの国々から、ユダヤ人の帰還を助けることができています。何カ月か前、皆様にペルーから帰還する200人のユダヤ人についてお伝えしましたが、覚えておられますか。彼らは今、無事にイスラエルに帰り、ラムラの町で暮らしています。
ユダヤ人を連れ帰ってください
ほとんどのイスラエルの新移民は、生活に欠かせないすべてのものを必要としています。何も無い空っぽの部屋に引っ越すのに、非常に限られた資金しか持っていないという状況を想像してみてください。想像するのも困難なほどだと思いますが、それが、新移民を待つ現実です。皆様が「新移民ウェルカムギフト」に捧げてくださる尊いお捧げ物によって、私たちは彼らに毛布、鍋、フライパンや聖書などを寄贈することができます。また、「食料」を指定してくださるご支援によって、愛と共に食料をお渡しすることができます。
新移民ウェルカムギフト
聖書は異邦人がいずれイスラエルの人々を彼らの故郷に連れ戻すだろうと言っています。「神である主はこう仰せられる。『見よ。わたしは国々に向かって手を上げ、わたしの旗を国々の民に向かって揚げる。彼らは、あなたの息子たちをふところに抱いて来、あなたの娘たちは肩に負われて来る。』」(イザヤ49:22)
イスラエルの子らをふところに抱き、肩に負ってくる、と神さまが呼ばれる一人になれるとは、何というこの上ない特権でしょうか。どうぞ、このような新移民のために、お祈りください。彼らが不安でいっぱいの中にあっても、イスラエルの地に無事に根付くことができるように。また、神さまがイスラエルに戻ってほしいと呼んでおられる一人ひとりのユダヤ人を覚えてお祈りください。一人でも多くのユダヤ人が、再び大きな苦難の日が来る前に、イスラエルに帰還できるように。そして、御心であると感じたならば、ぜひ実際的な支援を通して彼らを祝福してください。蒔く者に種を与える神は、蒔く人と刈る人、双方の必要を満たしてくださると信じます。