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プロジェクトレポート

寒さに凍える人々…… ―「希望の糧プロジェクト」の取り組み―

旧ソビエト、そして東ヨーロッパでは、共産主義の崩壊後、資本主義システムが次々と導入されました。西側の製品が並び、新しい事業が起こされ、アメリカ・ヨーロッパの文化がどんどん流入しています。ブランド物で着飾った女性たち、BMWを乗り回す男性たち……ここはパリかロンドンか……と見まごう光景の中、貧富の差はさらに拡大しています。物価は高騰し、給料の支払いが何カ月も滞り、失業者が増え、犯罪率は一気に上昇しました。

そればかりではありません。マイナス何十度という厳しい寒さの中、イスラエルに帰ることができず、現地に残留しているユダヤ人は、過酷な暮らしを強いられています。今月は、彼らの現状について、またこれらの人々を救うべく取り組んでいる、BFPの働き『希望の糧プロジェクト』についてお伝えします。

ウクライナの厳しい現実

このたび、BFP国際本部のレベッカ・ブリマーが、BFP『希望の糧プロジェクト』の現地スタッフとともに、ウクライナに住むユダヤ人を訪れました。そこでまず目に入ったのは、今にも廃虚と化しそうな、崩れかかった、小さな家屋でした。中に入ると、古びたにおいが鼻を突きました。戸棚の中には食料はおろか、食器も入っていません。どこを見回しても、パンひとかけらさえ見当たりませんでした。

あまりの惨状を、にわかには信じられず、映画のセットを見ているのではないか……と錯覚を起こす中、ぼろを敷き詰めたベッドの上に、一人ぽつんと、座るユダヤ人のおばあさんの姿がありました。背中を丸め、深くうなだれたその姿は、レベッカを現実に引き戻しました。こんな生活が存在するのか……と、品物でいっぱいになった自宅の戸棚を思いながら、彼女は激しく胸を突かれました。

ウクライナ現地のユダヤ人女性

このような環境に住んでいるユダヤ人の多くが、ナチス迫害を経験した人たちですから、現在どれほど高齢であるか、容易に想像がつくと思います。そして、ほとんどの人が病に苦しんでいます。イスラエルに帰りたくても、彼らはそれを成し得るだけの体力も財力もありません。唯一の収入源は、政府から支給される28.40グリブニ(約3,250円)の年金だけです。ここから食費に平均約2,700円が費やされ、足りない分は、家庭菜園で補っています。

しかし、菜園がない者は、ただひたすら飢えに耐えるしかありません。そして、余ったわずかな金額で、家賃、電気・ガス・水道代などを支払わなければなりません。一体どのように生活しているのか……想像を絶する貧困が、そこに存在しました。

農村部にあるユダヤ人宅。今にも廃虚と
化しそうなほど崩れかかっている。

ウクライナの食料事情

以下は、ウクライナの二人家族が、一週間に必要とする最低限の食料です。

  • ジャガイモ……5キロ
  • パン
  • タマネギ…1キロ
  • キャベツ…2キロ
  • ソバの実(ウクライナの主食)…1キロ
  • 牛乳…3リットル
  • バター…250グラム
  • お茶…1パック
  • スープの素

この品目を見ただけで、厳冬の中、エネルギーになるだけの十分な食料を得ていないことが分かります。食料どころか、体を温めるための暖房も、病気を治すための医療費もなく、生き地獄のようなありさまです。想像を絶する迫害を逃れてきた人々が、今は病と寒さに打ち震えている……主イエスの愛する民が置かれているこのような状況に、胸が痛みます。

かつてクリスチャン国で行われた過去の迫害の傷を、何とか癒やしたい。温かい毛布で彼らを包み、熱い一杯のスープを差し上げたい。クリスチャンの手による支援をとおして、主イエスの愛と希望の糧を知って生きてほしい……。『希望の糧プロジェクト』は、そんな願いを込めて運営されています。

愛と希望を与えるプロジェクト

このプログラムの支援対象は、もうイスラエルに帰還できる体力もなくなり、弱り果てたユダヤ人の高齢者です。このプロジェクトに従事しているのは、BFPから派遣されたスタッフだけではありません。かつてはユダヤ人を迫害する側に回っていた現地のクリスチャンが、ボランティアとして、食料の配達部や、スープ・キッチン(食糧配給所)で働いています。まさにこれは地元と一体になって運営されているプロジェクトです。

BFPが運営しているスープ・キッチンでは、一日に一回、温かい食事をユダヤ人に配給しています。食料のほか、毛布や衣料品、暖房器具など、彼らの必要を満たすべく、イスラエル現地さながらの支援が行われています。一カ月約3,900円の献金で、ユダヤ人一人に毎日温かい食事を一回配給することができます。「これが一日で手にすることのできる唯一の食料」という人がたくさんいます。

ユダヤ人に物資を手渡すBFPスタッフ。
遠隔地に住んでいる人、体が弱っているために
物資を直接取りに来ることができない人のために、
こうして配達を行っている。

スロバキアで働いているBFPスタッフから、こんなリポートが届いています。

「前回、ウクライナを訪問しました。このたびはトランス=カルパチア地方にあるハストという町の、ユダヤ人家族30世帯を訪問しました。これらの家族のうち、7人がアウシュビッツの生き残りでした。(中略)そのうちの1人、アーネスト・フリードマンが住むアパートはとても寒いのですが、セントラル・ヒーティングは、12月半ばにならないと運転されないということでした。私たちは彼に、ハロゲン・ヒーターを送ることを約束しました。彼にとっては、またとないうれしい贈り物でしょう。

この旅の中で、私たちは60台の暖房器具を調達しましたが、それも全部人手に渡ってしまい、アーネストや他の多くの人々に渡す分が残りませんでした。」

希望の糧プロジェクトのスタッフは、諸国を駆け回り、助けの必要な人々の発見に努めています。愛する皆さまと、地元教会の協力を得て行われているこのプロジェクトをとおして、できるだけ多くの人々に支援が行き渡り、ユダヤ人にイエス・キリストの愛を注ぎ込むことができるよう、どうぞお祈りください。寒さの厳しい現在、最も必要を抱えているプロジェクトの一つですので、特に覚えてご支援いただければ幸いです。

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