文:ピーター・ファスト(BFP CEO)
ウクライナで戦争が勃発し2年以上がたちました。
今も攻撃はやむことがなく、戦争は続いています。
戦禍を逃れ、イスラエルにたどり着いたユダヤ人は、
BFPの支援を通じて神の愛を受け取っています。
Photo by Michio Nagata/bridgesforpeace.com
アナトリーさんは防空壕の暗闇の中に座り、人々と肩を寄せ合いながら涙をぬぐいました。キーウに撃ち込まれるロケット弾の衝撃が、容赦なく防空壕を揺らします。ロシアのロケット弾が標的にぶつかるたび、パニックに陥った人々のすすり泣きが聞こえてきます。狭い防空壕の中はすし詰め状態で、人々は恐怖を抱えながら無言で床を見つめていました。キーウは再び攻撃にさらされていました。
12月のひんやりした空気に手が凍え、アナトリーさんは手をこすり合わせました。電気も暖房も水も無い、そんな日がもう三日も続いています。10カ月前、戦争を逃れてイスラエルへ避難した妻と娘のことが頭をよぎり、思わず笑みがこぼれました。明日60歳の誕生日を迎えたら、アナトリーさんはウクライナを離れ、家族がいるイスラエルへ向かう予定です。神は、ユダヤ民族を再集結させるという預言を成就させるため、アナトリーさんをイスラエルへ導かれました。
キーウの防空壕にとどまってから数週間後、ついにイスラエルに到着したアナトリーさんは、10カ月ぶりに妻と娘と抱き合いました。しかし、喜びもつかの間、新生活の現実に直面し、難民家族として経験するあらゆる課題に圧倒されそうになりました。
戦争の渦中から逃れてきたものの、気付けばイスラエルでも新たな戦争に直面していました。もちろん、イスラエルにいるほうがずっと安全だと感じています。その一方で、戦争は物価の高騰を招き、経済的な負担が増しました。
アナトリーさんはヘブライ語をほとんど話せません。年齢を考えても、仕事を見つけるのは容易ではありません。「どうやって食べていけばいいのか?」。そんな不安が心の中に渦巻き、やがて食べ物を確保することに心が縛られるようになっていきました。ユダヤ機関から幾らかの援助を受けてはいたものの、何千人もの難民が押し寄せてきている状況では援助も手薄になりがちです。
転機となったBFPとの出会い
そんなある日、アナトリーさん一家は転機を迎えます。BFP(ブリッジス・フォー・ピース)のクリスチャンと出会い、BFPの食料支援に加えられたのです。世界中のクリスチャンが彼の家族を救いました。
食料袋が定期的に届くようになると、アナトリーさんは家族と共に喜びの涙を流しながら主を賛美したそうです。言葉を失うほどの感動だったと言います。毎日食事ができるという事実は、どれほどの平安をもたらしたことでしょう。食料袋に描かれたBFPのロゴを見るたびに、アナトリーさんは笑顔になりました。
さらに重要なことは、アナトリーさんの内側に起きた変化です。世界中のクリスチャンからの愛を受け、「この支援は主から直接もたらされたものだ」という思いがわき上がってきました。その愛と思いやりに支えられ、彼はヘブライ語を学び、仕事を探し始め、ついには大きな工場に就職が決まりました。その時の彼の喜びを想像してみてください!
アナトリーさんはイスラエルに来るまでの間、深刻なトラウマと苦しみの中を生きてきました。家族と離れ離れになり、無人機やロケット弾が頭上を飛び交う中、何度も防空壕に逃げ込む毎日……。多くの隣人や友人が戦地に赴き、帰らぬ人となりました。キーウの町が猛攻撃に遭う中、迫りくる暗闇を感じたこともあったそうです。
しかし、彼は決して希望を捨てませんでした。それは主への希望であり、主が自分の家族を顧みてくださるという希望です。彼が目の当たりにしたのは、BFPのクリスチャンたちが家族に食事を与え、生活必需品を備え、イスラエルでの新生活が軌道に乗るよう助ける姿でした。それは輝く希望の光でした。ある時、アナトリーさんは次のように胸の内を語ってくれました。「皆さんの善良さは、暗闇に打ち勝つ一筋の希望の光です!」
共に希望の光をともすために
皆さんにお願いがあります。私たちが食事を提供している2万4千人以上の貧しい方々に、希望の光をともしていただけませんか。特に、10月7日の恐ろしい攻撃以降、今も戦争が続き、これまで以上に助けを求める家族が増えています。アナトリーさんとそのご家族のように、私たちの食料を頼りにする人々が大勢いるのです。BFPのパートナーとして、ユダヤの民を再びこの地に集め、飢えに苦しむ人々に食事を与え、神が私たちの時代になさろうとしている預言成就の祝福に加わりませんか。神の愛と光がイスラエル国家を満たしますように。希望を失ったユダヤ人のご家族にぜひクリスチャンの希望の光を届けてください。
「異邦人は彼ら(ユダヤ人)の霊的なものにあずかったのですから、物質的なもので彼ら(ユダヤ人)に奉仕すべきです」(ロマ15:27b、追記筆者)
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