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プロジェクトレポート

神はお忘れになったのか?

文:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

ウクライナ情勢が緊迫する中、現地で暮らすユダヤ人高齢者の生活は厳しさを増しています。
数々の辛酸をなめてきた彼らは今、極度の貧しさを味わっています。

ユダヤ人女性が暮らすウクライナの自宅 Photo by Project Tikvah

現在ウクライナで暮らす高齢のユダヤ人たちは、これまでも過酷な人生を送ってきました。第二次世界大戦中のホロコースト時代には、ゲットー(ユダヤ人強制隔離地区)や強制収容所で過ごし、その後はスターリン(旧ソ連の独裁者)の圧政を経験しました。そして今は極貧の中にいます。苦しみの波は幾度となく彼らの人生を襲ってきました。

私はかつて、今にも壊れそうな彼らの自宅を訪ねたことがあります。室内に一歩足を踏み入れた途端、そこに充満する貧困の空気を感じ取り、絶望を目の当たりにしました。その境遇を目にした時、胸が張り裂けそうでした。台所の戸棚には何も入っておらず、空っぽです。預言者イザヤが語った次の言葉は、まさしく彼らの絶望を的確に表現していると言えるでしょう。「しかし、シオンは言った。『主は私を見捨てた。主は私を忘れた』と」(イザ49:14

こうした過酷な人生を送っているのは高齢者だけではありません。子どもや孫たちも、貧困と絶望の連鎖に巻き込まれています。

そんな彼らの苦しみを少しでも和らげようと、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)は「希望の糧」というプロジェクトを通じて食料などを提供しています。神はご自分の民であるユダヤ人を決して忘れたりしない――そのことを示したいと切に願っています。

「希望の糧」プロジェクトの責任者は、スロバキア在住のポーランド人クリスチャン、スタニスローです。彼は、スロバキアとポーランドとウクライナを駆け巡りながら、この活動に愛と涙をもって取り組んでいます。このプロジェクトが継続できているのは、ユダヤ人を愛するウクライナ人クリスチャンたちのおかげです。スタニスローや同僚たちは、世界中から忘れ去られたような、苦境にあえぐユダヤ人に、実際に手を差し伸べる英雄たちです。

BFPは長年にわたり、食料支援の他、暖房器具や医薬品、防寒着を支援してきました。以下、スタニスローが分かち合ってくれた、ある支援家族です。

「父親のイワンさん(61)は、2年前に足に小さな傷を負ったことがきっかけで、片足の切断を余儀なくされました。糖尿病を患っていたため傷口があっという間に広がり、足を切らざるを得なかったのです。彼は他にも心臓や肺、腎臓に問題を抱えています。収入は『障害者年金』だけで、月々わずか60ドル(日本円にして約7千円)です。

イワンさん(写真中央)一家。左端が妻のオルガさん
Photo by Project Tikvah

ご自宅にお邪魔した時、悲惨な状況が目に飛び込んできました。家は2部屋しかなく、狭い空間に家族6人で住んでいます。イワンさんは、自らの収入だけでは家族を養うことができず、他人の助けを必要としていることにやりきれない思いでいます。

妻のオルガさんは現在55歳です。幼少期から病弱だったそうです。ナターシャさんとアンナさんという2人の娘さんがいて、一緒に暮らしています。ナターシャさんには2人の子どもがいます。ミーシャ(13)とイヴァンカ(5)です。子どもはもともと3人いましたが、もう1人は1歳の時に亡くなってしまったそうです。ご主人は家を出て行ってしまいました。

ナターシャさんとアンナさんは短期の仕事に従事していますが、家族の中で定職に就けている人は誰もいません。フルタイムの仕事を見つけることは大変困難です。とはいえ、パートタイムの収入だけでは生活はぎりぎりですから、とても普通の生活は送れません。

オルガさんは、いつも家中の食材をかき集めて食事をつくっています。スープやパスタ、小麦粉でつくった料理です。食材は、BFPの『希望の糧』で支援した物になります。

『希望の糧』では毎月このご家族に二つの食料袋をお届けしています。彼らにとってはそれがメインの食材です。このような支援がなくなれば、おそらく生活していくのは困難でしょう。

彼らを訪問した際、自分たち家族のために祈ってほしいと頼まれ、彼らの心身が守られるように祈りを捧げました。どうかこのご家族のためにお祈りください」

こうした境遇を聞くたびに打ちのめされそうになります。けれども、苦境に置かれているのは残念ながら彼らだけではありません。私たちは、ウクライナに住む、忘れられたユダヤ人たちに神の愛を示したいと切望しています。ぜひこの働きに加わっていただけませんか。神は彼らを決して見捨てたりしないことを示せるよう、皆さんのお力を貸していただけたら幸いです。

預言者イザヤは続けてこう言いました。「女が自分の乳飲み子を忘れるだろうか。自分の胎の子をあわれまないだろうか。たとえ女たちが忘れても、このわたしは、あなたを忘れない。見よ、わたしは手のひらにあなたを刻んだ。……」(イザ49:15〜16)。この章をさらに読み進めていくと、ユダヤ人に対する主の約束が記されています。「見よ。わたしは国々に向かって手を上げ、わたしの旗を諸国の民に向かって揚げる。彼らは、あなたの息子たちを懐に抱いて来る。あなたの娘たちは肩に担がれて来る」(イザ49:22

神が「忘れない」と語られた人々に慰めを与え、差し迫った必要を満たすために召されているとは、何という特権でしょうか。皆さんのご支援は、神が彼らを心配しておられることを示す贈り物となるでしょう。

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