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プロジェクトレポート

家庭の祝福 ―当たり前だと思っていた鍋一つでさえも……―

人が生きる。生きるために仕事をする……その根本をたどると“食を得る”に行き着きます。世界を覆う“生きる悩み”、その多くが、十分な食物を得られないという、飢えと貧しさに結び付いています。

イスラエルへの移民は、一部の豊かな国々からの移民を除き、まさに“着の身着のまま”の帰還となります。彼らにとって、言葉が全く通じない、中東・ユダヤ教を土台とした未知の文化、毎日のように起こるテロ、パレスチナとの暴力の連鎖という恐ろしい現実……そんなハードな環境に適応しながら、なおかつ“食”を得るべく、家族、そして自らを支えるのは、並大抵の苦労ではありません。

それほど苦労するなら、帰って来なければいいのに……と、単純に結論付けることができないのが「ユダヤ人の帰還問題」です。なぜなら、イスラエルが再び建国され、そこに世界の四方からユダヤ人を連れ戻すことは、神の御手によって行われていることだからです。ユダヤ人が帰還する決意をする背景には、さまざまなストーリーがあります。

  • 故郷における反ユダヤ主義(就学時の差別、就職差別、反ユダヤ主義者による強盗、レイプなどの深刻な犯罪の横行)
  • 経済の問題(個人的な経済崩壊、および国単位の破たんによる崩壊)
  • 神の直接介入(「シオンに帰れ」という不思議な声を夢や幻で聞く、イスラエルへの思いが離れない、その他の神秘的な体験)
  • みことばによる促し(みことばから、自分がイスラエルへ行くことは導きであると確信したユダヤ人、クリスチャンの使命感をもった帰還)
  • その他の諸事情

吟味を重ねて……

事情は個々に違いますが、多くの移民が直面するのが、とにかく物が何もないという現実です。食事をしようにも、それを作るための台所用品がありません。ところが日本並みに物価が高いイスラエルで、一通りの台所用品をそろえようとするなら、それはもう大変な出費です。

そのような方々に、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)では、『台所用品セット』をお贈りしています。中を開けると……奥様方は思わず“ニッコリ”満面の笑みを浮かべてしまう品物がたくさん詰まっています。フライパン、フライ返し、大・小サイズが違う鍋、まな板、包丁……イスラエルでまともにそろえるとしたら、貧しい人々のお財布があっという間に空になってしまうようなものばかりです。受け取ったその日から、食事作りに必要なものが一式揃っています。鍋だけでは食事は作れませんから、パスタや油、缶詰など、すぐに料理ができそうな食物も一緒にお贈りします。

満面の笑顔で物資を受け取る
移民の女性

フライパンや鍋など、どのメーカーが一番長持ちし、末永く使えるかを時間をかけて吟味し、最高品質のものを、交渉に交渉を重ねて、安値で仕入れています。長年イスラエルに本拠を置き、移住してきた人々の苦労をつぶさに見てきたBFPだからこそ、彼らの具体的な必要に的確に応えたい……台所用品は、そんなBFPの思いが詰まった支援項目の一つです。

批判の中でも

「BFPは、物品でユダヤ人の心を釣ろうとしている。」「物品を配ったからといって、何になるのか!?トラクトを配るなどの直接伝道をしなければ、意味がないではないか。」「善良なクリスチャンのお金を、物資に使うことは間違っている。」等々……。十人十色の厳しい批判を頂くこともあり、心痛むこともありますが、彼らの笑顔と涙は、その痛みを癒やすに余りある力があります。また、「あなた方のおかげで、私は本当の神さまに出会いました。」「あなた方といると、なぜか心が癒やされるのです。」と言って、力強い腕で私たちを抱きしめてくれるとき、主にある共通の愛が、私たちを包んでいることを感じます。

彼らに対して、「何もしないこと」も「何かをすること」も、私たちの自由意志に委ねられています。しかし、現場にいる私たちは、神さまの御手で集められた人々の叫び声に、これからも応え続けていきたいと願っています。そして必要に応える愛によって、彼らの固い石の心を肉の心に変え、福音の種をまく土壌作りに励みたいと思っています。
共に立って……

まさに“無”の状態からイスラエルで新生活を始める移民が、BFPでの支援の始めに受け取る、大きな喜びと祝福をもたらすこの“台所用品セット”。ぜひ、皆様のご支援によって、お助けくださいますようお願い申し上げます。イスラエルにこれから植えられようとしている家族が、皆様のご支援によって祝福されます。皆様が送ってくださった台所用品は、静かに、しかし確実に彼らの食を支えることになるでしょう。そんな愛の台所用品を通して、家族のだんらんや、温かな食事が毎日用意されるようになり、彼らのお腹を満たすことになります。

これまでもたくさんの台所用品セットが、日本の皆様の手を通してイスラエル現地に届けられました。私どもBFPは、彼らの苦しみをわが事として受け止め、共に立ってくださる皆様の存在とご支援に、ただただ感謝しております。

イスラエルの神が、聖書の視点をもってこの国を愛し、支えてくださる皆様の上に、今月も豊かに臨んでくださり、力と励まし、祝福を注いでくださることを、心からお祈り申し上げます。

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