TEXT.レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)
世界では、毎日平均30件以上のテロが起こり、80人以上の尊い命が失われています。テロがあまりにも日常的になり過ぎて、今や被害者の少ないテロは報道もされなくなってしまいました。中でもイスラエルでは、痛ましいテロが後を絶ちません。
今年7月、テロリストたちがイスラエルの警官二人を殺害後、神殿の丘に逃走しました。事件を受けて、イスラエルは神殿の丘を閉鎖。これに激怒したパレスチナ指導者たちがイスラエルへの暴力をあおり、一時、怒りが爆発したかのような過激な暴力事件が次々と発生。イスラム教徒たちは「アル=アクサ・モスク(神殿の丘)を守れ」とイスラエル各地でテロ行為に走りました。
Salomon family:Michael Oren/Facebook
この時、犠牲になったのがサロモン一家でした。安息日を守っている最中に、三人が殺害されました。イスラエルに住む私たちは現場の写真を目の当たりにし、言葉を失いました。私の脳裏にもこの画像は焼き付いて、今でも離れません。悲しいことに、二人の女性が夫を失い、五人の子どもが父親を失いました。「もう家には入れません。家の中には殺された父と夫、そして姉の血痕が残っているのです」という遺族の嘆きを聞き、誰もが痛みを感じました。
一方、病院のベッドに横たわる負傷したテロリストの写真を見て恐ろしくなりました。大きな笑みをたたえ、落ち着いた様子でとても満足げに写っているのです。19歳のこの愛想の良さそうな青年から、あのような残忍な怒りが引き起こされたとはとても想像できません。この怒りの時代にあって、ほぼ毎日のようにこのような残虐なニュースが聞こえてきます。
サロモン一家殺害事件が発生した小さな町、ハラミシュは実は昨年11月に放火テロが起きた町の一つです。当時多くの家が全焼しましたが、すべてを失ってしまった方々を支援することができたのは、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)にとって大きな祝福でした。こうした世界中のクリスチャンからの親切を思い出し、この小さな町から再び支援の要請がありました。いつ次の攻撃があるかとおびえて暮らす住民たちが、私たちに叫び声を上げたのです。その叫びに応え、彼らがより安全な生活を送れるよう、皆様が立ち上がってくださり、クリスチャンの愛の結集として最新式の防犯システムを購入することができました!二度と再び同様の悲劇が起きないように、この町に安心・安全をお届けできたことは、言葉に言い尽くせない恵みです。
いつもそうですが、日本の皆様は彼らの窮状を覚え、今回も真剣に祈り、捧げてくださいました。私にとって日本のクリスチャンはミステリーそのものです。欧米の私たちとは違い、身近に「ユダヤ人」がいないにもかかわらず、彼らをまるで家族のように考え大切にし、痛みを共に担っておられる…、誰でもできることではありません。皆様は自分のために貯蓄できたお金を、彼らの安全のために捧げてくださいました。しかも日本人クリスチャンの祈りは、イスラエル建国前から始まり、80年以上もの長きにわたって継続され、一度も途切れることなく現在に至ります。神さまはどんな思いでその姿を見ておられるのだろうと考えるだけで、深く頭が下がります。今回も皆様はイスラエルの小さな町を救ってくださったのです。
BFPの危機基金はこのような時のために存在しています。サロモン一家のように、テロにより家族の大黒柱を失い家計が困窮する方たち、嘆きの中にいる方たちをBFPは支援してきました。また家族を失った方、特に子どもたちにセラピー支援を行い、負傷して医療器具やケアを必要とする方々にも支援を提供してきました。
詩篇121篇はこのような時のために書かれたのではないでしょうか。「見よ。イスラエルを守る方は、まどろむこともなく、眠ることもない。…主は、すべてのわざわいから、あなたを守り、あなたのいのちを守られる」。今、この時、イスラエルを見守り、神の手足となってイスラエルの人々に具体的に手を差し伸べる働き人となるように、神が私たちを呼んでおられるように思います。ぜひ皆様のとりなしを継続してください。そして、ハラミシュのように日々危機を感じている町々にも、天からの平安と守りがあるように、お祈りのご支援をお願いいたします。皆様の祈りに耳を傾けてくださる主に栄光をお返しします!