TEXT：B.F.P.Japan編集部
イスラエルの教育事情
週末になると、イスラエルの公園の至る所で、「アバ～（お父さ～ん）」、「イマ～（お母さ～ん）」と大声を上げてはしゃぐ子どもたち。面倒見の良い父親の姿もあちこちで見られます。
イスラエルの親たちは、学校教育に頼り過ぎることを良しとしません。物事の見方や考え方を、親子で多くの時間を共有することによって教えていきます。好奇心をかき立て、何に対しても疑問をもち、結論に至るまで考え、調べ、追及する習慣を身に付けさせます。そして聖書はその中心です。ですからユダヤ人の教育は、自らを豊かにするのみならず、他者のために生きるという社会貢献の意識を育成します。また、彼らの頭の良さは魔法のようにもたらされたものではなく、両親による日々の教育への努力から生み出されていると言っても過言ではありません。
移民も同様です。ロシアから帰還してくる家族は、残念ながら言葉のハンデや貧しさのゆえに、差別やいじめに遭いやすいという悲しい現実もあります。それでも、経済崩壊下のロシアから、明るい未来を求めて帰還した彼ら。そのゴールは、豊かな人生を子どもたちに与えることです。イスラエルの土地に深く根差し、社会の一員として国に溶け込むことができるように、教育は死活問題となっています。
愛のベルト
不動産や宝石などの財産以上に、知的財産を残すことに重きを置くユダヤ人にとって、教育は子どもたちの頭の中にコツコツと貯金をするようなもの。何よりも教育を大切にしている彼らにとって、学用品さえままならないという貧しさは、本当に胸の痛い現実です。
子どもと遊ぶことは父親の優先事項ＢＦＰではそんな彼らに学用品をプレゼントしています。学用品の中には、筆入れ、えんぴつ、消しゴム、ハサミなど、勉強に必要な文房具一式が詰め込まれています。学用品を受け取って子どもたちが大喜びすることはもちろんのこと、親にとっても大変うれしいプレゼントになります。学用品を受け取って、飛び上がって喜ぶ子どもの姿を見つめる親たちの笑顔は、本当に美しいものです。
しかも、日本から捧げられる学用品の一部は、教会学校の生徒たちから捧げられたものであり、さらに意味深いものとなっています。お互いに顔を知らない同士ですが、日本とイスラエルの子どもたちの間には、見えない愛のベルトが架けられているのです。私たちは彼らの笑顔を見るたびに、この愛のベルトがはっきりと見えるような気がしています。
宝物のような文具を
学用品は子どもたちにとって素晴らしい祝福です。しかし、B.F.P.Japanはそれをさらに大きな祝福にしたいという願いと祈りがあります。イスラエルでは日本のアニメが大流行しています。エルサレムにはアニメカフェなども出現し、毎日テレビでアニメが放映されています。アニメから日本語を習得してしまう子どももいるほどです。
ＢＦＰが配っている学用品は現在、何の飾りもありません。デニム素材のペンケースは、大人でも持てる平凡なデザインです。しかし、もしこれがイスラエルの子どもたちも大好きな、ドラえもんのペンケースだったらどんなに喜ぶことでしょう。えんぴつにキティちゃんの絵がプリントされていたら、どんなに大切にすることでしょう。
ヘブライ語を学ぶ新移民の子どもたち(C)Israelimages.com/LevBorodulin
B.F.P.Japanの中にも、物がなかった時代を生きてきたスタッフがいます。「初めて文具を買ってもらったとき、うれしくてうれしくて、かばんの中にしまってもまた何度も取り出しては眺め、匂いをかぎ、布団に入ってからも握って離さなかったことを思い出すな～。そんなことを聞いてもピンとこないでしょう!?でも、あのときのワクワクした気持ちは、今でも思い出すことができるよ」と、懐かしそうに語っていました。
そんな生涯忘れ得ない思い出を彼らに捧げたいと思います。そのためにも、性別や年代別に分け、それぞれのニーズに合った学用品を用意できたとしたらどんなに素晴らしいだろうと思います。もちろん、キャラクターが付いているものは普通の文具よりも高く、今ほどの品目を中に入れることはできなくなるかもしれませんが、彼らの宝物になるような文具を提供できたらどんなにいいだろう……と夢見つつ、B.F.P.JapanとしてＢＦＰ本部への提案を行っています。
学用品は決して小さな贈り物ではありません。皆様が送ってくださった学用品で勉強する子どもたちが、イスラエルの未来をつくるのです。昨年は日本から730セットの学用品を捧げることができました。今年は何とか1500セットを捧げたいと願っています。ぜひお祈りとご協力を宜しくお願いいたします。
