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プロジェクトレポート

イスラエル全土へ食物を ―ダンからベエル・シェバに至るまで―

TEXT:B.F.P.Japan編集部

タウンサポート担当の
ピーター・マライ

ユダヤ人帰還者や地元生まれのイスラエル人と、日々、顔と顔を合わせて働くBFP本部フードバンクのスタッフたち。ここには神さまが与えられた素晴らしいビジョン、そして、さまざまなストーリーがあります。今回はタウンサポート・プログラムの働きをご紹介します。

人々の心を神に向ける

タウンサポート・プログラム担当のピーター・マライは南アフリカ出身で、つのぶえを吹くのがとても上手です。フードバンクを訪問したB.F.P.Japanのスタッフも、まずは雄ヒツジのつのぶえで歓迎を受けました。

この地に住むユダヤ人に食物を届けることは、ピーターにとって大きな喜びです。BFP配給センターは、イスラエルすべての都市を対象に食物を配給している唯一のフードバンクです。タウンサポート・プログラムは当初、500キロ分の食物支援からスタートしましたが、今では1カ月に50トン以上もの食物を各都市へ提供できるほどに成長しました。

現在、イスラエルでは120万人もの人々が十分な食料を得られずに苦しんでいます。この数はイスラエルの人口の25%に当たります。そして、イスラエルに住む子どもたちの30%は栄養失調状態です。

フードバンクが提供している食物は、61の団体と12の都市、そして4つのアラブ人クリスチャン団体を通して、人々へ配給されています。種類は30種類ほどです。

あまりの貧しさのために、4、5年間肉を食べたことがない家族もいます。そのことにショックを受け、フードバンクでひき肉を配給したこともあります。ただ、重要な点は、BFPは飢餓の救援のみを目的としているのではなく、食物支援によって「人々の心を神に向けること」を第一の目的としていることです。

祭りは絶好のチャンス

ピーターたちは出会ったユダヤ人に、燭台を2つ立てて、シャバット(安息日)用の食事をすることを勧めています。というのも、人々がそうして神さまに心を向けるとき、自然に救い主がその心を見て、現れてくださることを信じているからです。

過越の祭りの時期には、グレープジュースやマッツア(種なしパン)などを提供しています。約5千家族、約1万9千人の人々にそうした食事を提供しています。過越の祭りはユダヤ人にとって非常に重要な祭りです。それと同時に、この祭りは、救い主に出会う絶好のチャンスでもあるのです。だからこそピーターたちスタッフは、グレープジュースやマッツァを、より多くの人々へ届けられるように働いています。

もう一つ重要なラッパの祭り(新年の祭り)には、りんごとはちみつを配っています。このりんごは渋い味のものです。それは、エジプトの地での苦労と、神さまがユダヤ人をイスラエルへ導いてくださったことを忘れないようにという意味があります。それで、渋いりんごにはちみつをつけて食べるのです。これには、「甘い一年でありますように」という意味も込められています。祭りを守ることは、神さまの御心を知り、主と出会うことにつながります。プリム祭は子どもたちが楽しむ祭りです。ですからピーターはお菓子やキャンディを配っています。

フードバンクでは、食物を届けている人々はもちろんのこと、食物の仕入先である業者の人々とも個人的な関係をもつように心掛けています。ある業者は、フードバンクにただコーヒーを飲みにきたりします。「ああ、ここは天国みたいなところだなぁ?」などと言いながら、くつろいでいくのです。こうして個人的な関係を楽しみ、神さまの話をする機会が与えられていきます。また、農家から落穂ひろいをしてよいとの申し出があった際には、フードバンクのスタッフは落穂ひろいに出掛けます。トマトやキュウリなど、落穂ひろいで得られる食物もあります。

ピーターは言います。「最も素晴らしいことは、フードバンクはエルサレムにだけあるのではなく、支援者の皆さんや、各国のスタッフ一人ひとりの心の中にもあるということです!」と。働きを皆で分かち合うことによって、栄光の冠を一人ひとりが受け取ることができます。だからこそ、この働きは素晴らしいのだと感じます。

フードバンクを訪ねてくる人々の中には、決してBFPの方向に背を向けないという人までいるそうです。ユダヤ人が嘆きの壁で祈るときに、壁に背を向けず、後ろ向きに歩いて離れる人がいるそうですが、それと全く同様のことをBFPの建物に対してするのです。それは、BFPの食物支援によって、自分たち家族の命が守られたことを、心から感謝しているからこその行為なのです。

破産状態の小さな町々へ

ピーターは以前、BFPの経理を5年間担当していました。2003年のある日、ガリラヤ湖畔のギノサールというところで集会があったとき、神さまからはっきりとビジョンを頂きました。それまでもずっと、フードバンクで働きたいと願ってはいましたが、そのときに、「ダンからベエル・シェバに至るまで、イスラエル全土の町々に対してフードバンクの働きを行う!」というビジョンが与えられたのです。神さまはピーターに、幻の中で、生まれたての小鹿を見せてくださいました。その小鹿には母親がおらず、周りには休むための木陰もありませんでした。そこで、「その小鹿の母親になり、あなたが世話をするように」と語られたというのです。こうして、願っていた道は開かれました。

タウンサポート・プログラムではまず、町の市長や重職にある人々との関係を築いていきます。そして、その町に住む、食物や物資を必要としている人々をピックアップしてもらいます。このプログラムが始まって3年、北はダンから約2・5キロ離れたキリヤット・シモナという町から、南はベエル・シェバより遥かに南の町々にまで支援を行っています。現在は12のコミュニティー(共同体)に捧げています。

イスラエルにある小さな町々は、町自体が非常に貧しく、賃金が低いうえ、将来なんとか支払ってもらえるだろうとの希望的観測のもとで働いており、3年間給与が支払われないままの人もいます。町の経済政策として、工場や会社に対してさらなる課税を行っていますが、そうすることで工場や会社はどんどん町から出ていきます。残るのは税金のみで、町にかかる負担はさらに大きくなり、破産状態になっていくのです。

町々へ届ける食物を運ぶスタッフたち

このような小さな町々でさらに問題になっていることがあります。それは、エチオピアから帰還したユダヤ人移民です。彼らは何か特別に手に職をもつような人々ではないため、当然、すぐに働ける状況にありません。しかし彼らのような帰還民をイスラエルのどこかに住まわせないといけないので、政府は小さくて貧しい町々へ彼らを送っているのです。彼らの98%は働くことができていない状況です。今ではこうした移民が、お荷物的存在になってしまっています。

だからこそBFPは、このような町々と提携し、関係を築き上げながら、支援を必要としている人々を援助していくのです。“ゴールデンチャンス”とスタッフが呼ぶこのような機会を通して、いろいろな町々へ入り込んでいます。

「今この時代に神さまは何かを始めようとしておられます。天の窓を開き、私たちに祝福を与えようとしておられます。勝利がほしいときは、このつのぶえを吹き鳴らしてください!そして神さまに祈ってください」と、ピーターは勝利のつのぶえを日本の支援者やスタッフのために吹き、励ましてくれました。(その後、ピーターのつのぶえはB.F.P.Japanに贈られました)

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